鼓膜炎の病態と対処 |
大島 英敏ほか |
鼓膜炎は急性鼓膜炎と慢性鼓膜炎に分類される.局所処置のみでほとんどの症例で改善が得られるが,難治性のものも存在する.鼓膜の正確な状態を把握し,治療を行うことが大切である. |
炭酸ガスレーザー(OtoLAM®)による鼓膜切開 |
澤田 正一 |
OtoLAM®は炭酸ガスレーザーにより鼓膜開窓するものであり,自在な大きさの開窓をすることで,難治な中耳炎における治療に有用性が高い. |
外傷性鼓膜穿孔の治療とインフォームドコンセント |
三代 康雄 |
外傷性鼓膜穿孔は約80%(熱傷を除く)が自然閉鎖することを初診時に説明し,安心させることが重要である.保存治療で3ヶ月以上閉鎖しない穿孔は手術の適応である. |
成人急性中耳炎での骨導低下の原因と対処 |
工田 昌也 |
成人急性中耳炎では稀に骨導低下をみることがある.対処は鼓膜切開により,見かけ上の骨導低下を排除し,内耳障害が原因の場合にはできるだけ早期に治療を開始する. |
急性難聴の問診・随伴症状・経過からの診断フローチャート |
隈上 秀高 |
急性難聴は,(1) 短期間に悪化,(2) 緩徐に進行中に急激に悪化,(3) 階段状に悪化,(4) 変動を繰り返しながら緩徐に悪化の4つの進行型があり,問診で難聴がどの型に属するか考えると診断に役立つ. |
急性低音障害型感音難聴の治療とインフォームドコンセント |
福田 宏治ほか |
急性低音障害型感音難聴は治癒しやすいが,反復が多く,一部はメニエール病に移行する.耳症状の出現時には再受診するように指示しておく. |
効率的な外来での平衡機能検査 |
結縁 晃治 |
ENGなど従来の定量的平衡機能検査を行わなくても,外来で赤外線フレンツェル眼鏡を使った定性検査の手順を工夫して行えば効率的なめまいの診断が可能となる. |
問診からめまいはどこまで診断できるか? |
船曳 和雄 |
問診のみで診断できるめまい疾患は多い.頭位眼振検査は感度と所見の特異度の高さから必須といえる.歩行障害の有無は危ないめまいの除外に重要なポイントである. |
高齢者の平衡障害 |
谷口雄一郎ほか |
高齢者の平衡障害は年々増加しており,適切な対応が今後ますます重要になる.本稿では加齢による平衡障害の機序とアンチエイジングを含めたその対応法について述べる. |
めまいのリハビリテーション |
新井 基洋 |
簡単に外来で指導できる代表的リハビリを提示し,その原理と対象疾患,禁忌,外来でのコツ,その効果を簡潔に述べたので,明日からのめまい治療に取り入れていただきたい. |
嗅覚障害の的確な診断法 |
松野 栄雄 |
嗅覚障害は,原因診断が重要であり詳細な問診,鼻腔の診察,特に後鼻内視鏡,画像検査,嗅覚機能の評価を行い治療に繫げることが重要である. |
外来におけるアレルギー性鼻炎の手術治療 |
鴻 信義 |
アレルギー性鼻炎に対する手術は下鼻甲介手術と神経切断術に大別されるが,外来手術になるのは主に下鼻甲介手術(レーザーによる粘膜蒸散術),高周波電気凝固装置による粘膜凝固術である. |
味覚障害の診療 |
田中 真琴ほか |
味覚障害の原因には,亜鉛欠乏性,特発性,薬剤性などがある.味覚機能検査は簡易的にでも行うことが望ましい.治療は亜鉛補充療法が主体で,最低3ヶ月は投与を継続する. |
舌痛症 |
井野千代徳ほか |
舌痛の中に意味がある.患者は孤独・孤立状態にありコミュニケーション不足がある.治療は症状ではなく患者を診て行われるが治療の本筋はコミュニケーションの回復にある. |
一側性口蓋扁桃肥大 |
福角 隆仁ほか |
一側性口蓋扁桃肥大は臨床上稀に遭遇する疾患であるが,その鑑別診断は多岐にわたる.検査・診断・治療方針の明確なガイドラインもないため,文献的考察も含めて解説する. |
口腔粘膜病変の鑑別 |
山本 祐三ほか |
口腔粘膜疾患の病因はきわめて多く,口腔に限局する疾患のみならず,全身性疾患の部分症状としてしばしば発症する.代表的な疾患を取り上げ,特徴,鑑別点を述べる. |
発熱のない咽頭痛の診断手順は |
千年 俊一 |
診断に難渋することの多い「発熱のない咽頭痛」を訴える患者の診察にあたっては,視診はもとより問診が非常に重要な原因検索のツールとなる. |
耳鼻咽喉科における嚥下障害のリハビリテーション |
鮫島 靖浩 |
嚥下障害診療ガイドラインに沿って,嚥下障害の病態に応じたリハビリテーションについて,代償的アプローチ法と治療的アプローチ法に分けて解説した. |
外来レベルでのいびきの治療 |
小島 卓朗ほか |
日帰りのいびきの手術にはlaser-assisted uvulopalatoplasty,radiofrequency palatoplasty,The Pillar® Palatal Implant System,舌扁桃減量手術,鼻手術治療などがある.しかし,適応を誤ったり,粗暴な操作で思わぬ合併症をきたすことがある. |
下咽頭癌を見逃さない診療とは? |
杉本 太郎ほか |
下咽頭癌の内視鏡診断は,痰の喀出と水の嚥下を行った後のsniffing positionでの観察が適切で,Valsalva手技やModified Killian法を行うと下咽頭深部の癌の見逃しが減少する. |
急性喉頭蓋炎の迅速な治療法と気道確保 |
大脇 成広 |
急性喉頭蓋炎の中でも1日程度で症状が急激に悪化し,喉頭所見では披裂部にも腫脹がみられ,声帯が十分観察できない症例は気道確保の適応があり,要注意である. |
急性気道狭窄・閉塞への対応 |
金谷 洋明 |
急性気道狭窄・閉塞の対応は,気道確保の必要性を判断することから始める.様々な病態があるが,成人では炎症性疾患と非炎症性疾患に,小児では先天性疾患と後天性疾患に分けて考える. |
頭頸部外傷の初期対応 |
嶋田 喜充 |
頭頸部外傷のmajor traumaとminor emergenciesに対する救急外来での初期対応について概説した. |
頸部先天性囊胞・瘻孔 |
金子 賢一 |
正中頸囊胞の手術はSistrunk法に準ずる.側頸囊胞は転移性リンパ節との鑑別が重要である.下咽頭梨状陥凹瘻は急性化膿性甲状腺炎の原因となり左側に多い.治療は瘻開口部の焼灼である. |
最新の頭頸部癌化学療法 |
安松 隆治ほか |
甲状腺癌を含む頭頸部癌に対するエビデンスに基づいた最新の化学療法,分子標的薬レジメンについて各治療法別に分類し,解説を行っている. |
頭頸部癌治療後のリハビリテーション |
大月 直樹ほか |
頭頸部癌治療後のリハビリテーションは,個々の患者に起こりうる機能障害を推測し,その対応は治療終了後ではなく,治療前から開始されなければならない. |
外来レベルでの頸部超音波検査 |
古川まどか |
外来診療に超音波検査を取り入れ,簡易検査,頸部スクリーニング,疾患診断のための精査といった場面で正しく活用することは,耳鼻咽喉科・頭頸部外科の発展に非常に役立つ. |
診療所で使える最先端の内視鏡 |
野村 文敬ほか |
日常診療に使用可能な電子内視鏡システムとその付加機能の詳説およびこれらを用いた検査の進め方や注意点,ポイントについて概説した. |
小児内視鏡検査のコツと注意点 |
平野 滋 |
小児内視鏡検査のコツは,複数の人員で行うこと,細径・超細径内視鏡を用い極力痛みを与えないようにすること,迅速かつ効率よく観察することにあり,必ず録画することを忘れてはならない. |
外来で可能な穿刺吸引細胞診と生検 |
堀 龍介ほか |
穿刺吸引細胞診では5mlの注射器を用い,吸引量は1mlで十分である.外来手術室での生検の条件として,病変が触診で触れる,抗凝固薬を内服していないことなどが挙げられる. |
耳鼻咽喉科外来におけるインフルエンザに対するアプローチ |
高野 賢一 |
迅速診断キットによる診断ピットフォールや,外来で投与される抗インフルエンザ薬の使い方のポイントについて概説する. |
耳鼻咽喉科とステロイド薬―適応と禁忌― |
神崎 晶 |
耳鼻咽喉科疾患に対するステロイド投与の適応と禁忌についてポイントを述べる. |