感染症の最新動向 |
石井 則久 |
皮膚感染症は皮膚科学のなかで重要な部門である.感染症のサーベイランス,検査,早期診断,早期治療,ワクチンなどで疾病予防,患者のQOLなどが改善する.新たな感染症,再興感染症,熱帯にもある感染症など,皮膚科医が闘うべき感染症がある. |
単純ヘルペスウイルス感染症のすべて |
石井賢太郎 |
単純ヘルペスウイルス感染症の全容について大まかに解説した.初感染・再発時の一般的な治療法に加えて,近年行われている性器ヘルペスにおける予防投与法についても記載した. |
水痘・帯状疱疹ウイルス感染症のすべて |
岡﨑 愛子 |
水痘・帯状疱疹ウイルスは初感染で水痘,再活性化で帯状疱疹を起こす.高齢者の帯状疱疹では合併症として痛みの治療に難渋することが多く,予防ワクチンの開発が期待されている. |
EBウイルス感染症のすべて |
山本 剛伸ほか |
EBウイルス感染症は自然治癒するものから,化学療法や造血幹細胞移植が必要な疾患まである.検査にはEBウイルスRNAを検出する方法が有用である. |
CMV,HHV-6,HHV-7感染症のすべて |
水川 良子 |
DIHSとHHV-6の再活性化や各種疾患の経過中に認められるCMVの再活性化など,ヘルペスウイルスは皮膚疾患をみていくうえで無視することのできないウイルス感染症である. |
いぼウイルス(HPV)感染症のすべて |
川瀬 正昭 |
ウイルス性疣贅の臨床像,ダーモスコピー像,病理組織所見の特徴,HPV診断,治療,発がんとHPVの関連性,予防ワクチンについて解説した. |
麻疹・風疹ウイルス感染症のすべて |
永田 由子ほか |
麻疹の症例数は減少している.それに対して,風疹は2012年に大流行し,その後も風疹に感受性がある人が成人男性に多く残されており,予防接種による対策が重要である. |
手足口病とパルボウイルスB19感染症のすべて |
藤山 幹子 |
手足口病,伝染性紅斑は臨床症状から診断される疾患である.しかし,非特異的な皮疹を生じることもあり,生じうる皮疹のタイプやウイルス感染の流行情報を把握しておく必要がある. |
忘れてはいけないウイルス感染症 |
馬場 直子 |
伝染性軟属腫は,局所麻酔含有テープで疼痛緩和してから早期に治療することを推奨したい.Gianotti病はHBVの初感染であり,家族内感染やキャリアへの移行に注意する. |
レンサ球菌感染症のすべて |
山﨑 修ほか |
レンサ球菌は,皮膚科領域では重要な細菌である.まずレンサ球菌総論について述べ,レンサ球菌による皮膚感染症,毒素性疾患,関連皮膚疾患について概説する. |
黄色ブドウ球菌感染症のすべて |
中村 和子 |
黄色ブドウ球菌は皮膚の細菌感染症において最も多く検出される原因菌である.近年,病原性が高く伝播力の強い市中感染型MRSAによる皮膚感染症が増加しているため,注意が必要である. |
忘れてはいけない細菌感染症 |
多田 讓治 |
自覚症に乏しく稀な細菌感染症でも,これら特異的疾患を常に念頭に置き,少しでもその疑いがあれば培養同定感受性試験を行って,個々の疑問点解決の一助としてほしい. |
梅毒とHIVのすべて |
白井 浩平ほか |
近年梅毒が再流行の兆しをみせている.梅毒の臨床症状,検査法について概説する.また梅毒と密接な関連があるHIVについても併せて述べる. |
結核菌,BCG菌のすべて |
関根 万里 |
結核菌感染およびBCG接種後副反応に伴う皮膚症状,その免疫反応,病理,診断のプロセス,さらに治療方法について知る. |
ハンセン病のすべて |
山口さやかほか |
ハンセン病の多彩な臨床像は患者の免疫応答の指向性が深く関与している.近年らい菌の生体内での拡散様式や,らい菌による末梢神経細胞のリプログラミング能が解明された. |
ブルーリ潰瘍のすべて |
菅原万理子ほか |
四肢・顔面に存在する痛みの少ない潰瘍については必ずブルーリ潰瘍を鑑別に入れ,擦過塗抹検査(抗酸菌染色),培養(抗酸菌培地,25℃,37℃)の検査とともに皮膚病理組織検査を行う. |
非結核性抗酸菌症(NTM症)のすべて |
石田 修一 |
非結核性抗酸菌症(NTM症)は稀ではあるが診断には検査が必須であり,また検査には特殊なものも含まれる.皮膚科における本症の診断と治療についてまとめた. |
皮膚糸状菌症(白癬)のすべて |
山田 七子 |
日常診療に生かしたい皮膚糸状菌症の基礎知識,臨床症状と原因菌の関係,全国的な疫学調査の結果,抗真菌外用薬や基礎研究に関する最近の話題について述べる. |
カンジダ症のすべて |
畑 康樹 |
カンジダ属は粘膜の常在菌であり,病原性を示すには菌糸形を証明する必要がある.皮膚科でよくみる皮膚・粘膜カンジダ症について解説し,診断・治療についてまとめた. |
マラセチア感染症のすべて |
原田 和俊ほか |
Malasseziaはヒトに常在する脂質要求性の真菌である.種々の皮膚疾患の発症に関与するが,そのメカニズムに関して新しい知見が蓄積されつつある. |
忘れてはいけない真菌症 |
北見 由季 |
感染症では非特異的な結節,膿瘍,局面形成などの臨床も多い.深在性皮膚真菌症を常に鑑別として考えておけば,治療を始める前に適切な菌学的検査を行える. |
寄生虫症(Creeping eruption(皮膚爬行疹)など)のすべて |
谷口 裕子 |
寄生虫症の診察では,生の食物(淡水産物,海産物,生肉など)の摂取歴,海外渡航歴,居住地,発症時期などの問診と,皮疹の部位,Creeping eruptionでは伸長速度の観察が重要である. |
疥癬のすべて |
吉住 順子 |
5%フェノトリンローションは成人の通常疥癬なら週1回,1週間隔で2回,頸部以下全身の外用で治癒が期待できる.小児,妊産婦,授乳婦の治療についても概説. |
虫による病気のすべて |
和田 康夫 |
マダニ咬傷のとき,感染症(ライム病,日本紅斑熱,SFTS)に注意するとともに,肉アレルギー,セツキシマブアレルギーについても留意する. |
ツツガムシ病,紅斑熱のすべて |
山藤栄一郎 |
ツツガムシ病では,皮疹を主訴で初診時に来院するのは約30%である.日本紅斑熱は近年患者数が急増しており,西日本だけでなく東日本にも患者の発生がある. |
顔にできる感染症と常在微生物関連疾患 |
出来尾 格 |
顔の皮膚には多彩な感染症と常在微生物関連疾患が生じる.ヒトと病原体の関係性は多様で,各疾患について正しい理解が必要である. |
急患・重症な感染症のすべて |
高河 慎介 |
蜂窩織炎と壊死性筋膜炎の鑑別,壊死性軟部組織感染症の診断過程と対処,さらに劇症型をとる各感染症の特徴について理解し,患者が歩いて帰れることを目標に治療する. |
人獣共通感染症 |
原 弘之 |
皮膚科で診る可能性がある,ペット,家畜動物および野生動物からヒトへ感染しうる人獣共通感染症について,疾患概念,臨床症状,診断に必要な検査や治療を概説する. |
熱帯皮膚病のすべて |
村瀬 千晶ほか |
国内で稀な熱帯皮膚病は,診断や治療の遅れにより重症化しやすく注意を要する.国際化が進む昨今,多様な輸入感染症に対応できる知識を持った皮膚科医の存在が求められる. |
ウイルス感染症と悪性腫瘍―カポジ肉腫,メルケル細胞癌を中心に― |
粟澤 遼子ほか |
ヒト癌ウイルスのうち皮膚悪性腫瘍の発症に関与するHHV-8とカポジ肉腫,メルケルポリオーマウイルスとメルケル細胞癌について詳述する. |
学校保健,学校感染症と皮膚科医 |
大川 司 |
学校保健における皮膚科医の担う役割は増してきており,学校感染症にも多くの関連疾患が含まれることから,積極的に関与し,指導・助言を行っていくことが求められている. |