小児反復性中耳炎 |
丸山裕美子 |
反復性中耳炎はなぜ乳幼児に起こるのか.西洋医学では予防困難な感染反復に対し漢方薬がいかに美しく力強く医療を支えてくれるかを知ることができた.経緯を含め紹介する. |
低音障害型感音難聴 |
真鍋 恭弘 |
難治性の低音障害型感音難聴症例に人参養栄湯,桃核承気湯が有効な場合がある.それらの方剤の持つ微小循環障害改善作用が効果を発揮した可能性が考えられる. |
耳 鳴 |
齋藤 晶ほか |
耳鳴以外の症状・所見を把握し,集めた情報に近い特徴を持つ漢方薬を選ぶ方法を中心に説明する. |
耳管開放症に対する第1選択薬としての補中益気湯の有効性 |
竹越 哲男ほか |
耳管開放症を「虚証(気虚)」と考え,「補剤」である補中益気湯を病名投与的に使用した.有効率は95.9%で,7割の症例が2週間以内に改善を自覚した. |
めまい |
渡辺 行雄 |
めまいに対して有効性があるとされている漢方薬と,その生薬成分および薬理作用を理解するとともに,これに基づいてめまい症例に対してどのように漢方薬が応用されているかの実際を理解していただきたい. |
慢性副鼻腔炎 |
稲葉 博司 |
漢方薬による慢性副鼻腔炎の基本的な漢方治療法と炎症を実熱,虚実間熱,虚熱に分け,炎症の病勢から得られる随証診断をもとにした漢方治療法の解説. |
アレルギー性鼻炎 |
荻野 敏 |
実証で熱証の症例には麻黄湯,越婢加朮湯などが,中間証には小青竜湯,虚証で鼻水タイプには,苓甘姜味辛夏仁湯,麻黄附子細辛湯などが有効. |
嗅覚障害 |
三輪 高喜 |
嗅覚障害に有効な漢方治療について,「漢方薬」,「嗅覚障害」をキーワードとして医中誌webから検索し,抽出された論文をもとに解説した. |
舌痛症 |
藤吉 達也 |
舌痛症の自験例を過去5年の間隔を置いて2グループで比較検討した.西洋医学的視点で概ね良好な治療結果が得られたが,難治例については,漢方医療の有用性も経験した. |
口腔乾燥症 |
五島 史行 |
口腔乾燥症に対する漢方治療薬として代表的な麦門冬湯,白虎加人参湯について概説した. |
咽喉頭異常感症 |
山際 幹和 |
咽喉頭異常感症に対しては,半夏厚朴湯やそれに小柴胡湯を加えた柴朴湯がベストマッチになる.難治例に対しては漢方薬と西洋薬との有機的併用治療が有用である. |
閉塞性睡眠時無呼吸症候群と漢方治療 |
秋定 健 |
睡眠時無呼吸症候群に対する漢方治療として,実証には大柴胡湯,柴胡加竜骨牡蛎湯,桂枝茯苓丸,桃核承気湯,大黄牡丹皮湯,黄連解毒湯,防風通聖散,大承気湯があり,虚証には防已黄耆湯がある. |
喉頭肉芽腫に対する漢方治療―六君子湯の使用経験― |
和田倫之助 |
喉頭肉芽腫に対する漢方治療として,六君子湯が有効であるが,特に痩せ型,虚証の女性の気管内挿管による肉芽腫に対して有効であった.一方で,実証,肥満型の男性では有効性を示さなかった. |
胃食道逆流症:何を目指して治療すべきか?―重症喉頭痙攣,乾性咳嗽の1症例よりの考察― |
三枝 英人 |
近年,胃食道逆流症に対して漢方製剤の有効性が報告され,海外でも注目を集めている.しかし,如何に有用な薬剤があろうとも治療の中心に据えられるのは,やはり生活指導,食事指導である.漢方治療は,患者自身の消化管運動とこれに伴う症状,病態に“目覚め”をもたらすものである可能性がある. |
音声障害 |
望月 隆一 |
音声障害に対する漢方製剤の効果について,咽喉頭逆流症に対する六君子湯と半夏瀉心湯,老人性嗄声に対する補中益気湯を,それぞれ具体的な症例を挙げて紹介した. |
慢性咳嗽 |
内藤 健晴 |
耳鼻咽喉科で代表的な慢性咳嗽は慢性副鼻腔炎による後鼻漏,喉頭アレルギー,咽喉頭逆流である.後鼻漏は葛根湯加川芎辛夷,喉頭アレルギーは麦門冬湯や麻黄附子細辛湯,咽喉頭逆流症では六君子湯が有効とされる. |
悪性腫瘍治療の副障害と漢方 |
室野 重之ほか |
頭頸部癌治療は薬物療法の発展とともに急速に進歩し,それに伴い,有害事象も程度・頻度ともに高くなってきている.治療を適切に遂行するための有害事象対策は重要であり,漢方薬の役割が注目されている. |