Monthly Book Orthopaedics（オルソペディクス） 27/6|全日本病院出版会

肩関節拘縮の診療

高岸　憲二/編

2014年5月

or2706

定価2,420円(税込み)

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＜総　論＞
肩関節拘縮の分類と病態	小出　将志ほか
肩関節拘縮における分類と病態について解説を行った．肩の運動には肩甲上腕関節以外にも肩甲胸郭関節や胸椎の可動性などが絡んでおり，機能的な評価による理学所見が大切である．
＜診　断＞
肩関節拘縮の理学所見の手順	矢野雄一郎ほか
肩関節拘縮は日常診療で遭遇することが多いが，様々な原因で起こるため病因を究明することが重要となる．診察の手順は，はじめに問診をとり拘縮肩の原因となりうる疾患がないかを検索，また姿勢異常の有無を評価．その後，腫脹や筋萎縮の有無，疼痛・圧痛部位の観察や可動域測定，腱板機能テストなどを行う．さらに拘縮の原因となり得る肩甲上腕関節以外の胸椎，肋骨，鎖骨，肩甲骨の機能評価を部位別に行う．
肩関節拘縮の画像診断の手順	小林　　勉ほか
肩関節拘縮を症状とする代表的疾患は，狭義の五十肩である．本疾患を診断するうえで鑑別診断は重要であり，そのために単純MRIが最も重要な画像検査といえる．所見としては，肩甲上腕関節水腫，腱板輝度変化，上腕二頭筋腱腱鞘内水腫，肩甲上腕関節包肥厚，the superior subscapularis recess signなどが挙げられる．その他の画像診断法として超音波検査が有用である．超音波検査では，上腕二頭筋腱腱鞘内水腫や肩甲上腕関節包肥厚の評価が診察の場で簡便に行える利点がある．
＜治　療＞
肩関節拘縮(凍結肩)をどう治療するか？―各保存療法の治療効果の比較―	高瀬　勝己
凍結肩の治療には運動療法は必須であるが，単独ではなく物理療法，内服療法，注射療法の組み合わせが必要である．内服療法では保険適応上での問題はあるが，経口ステロイド投与が除痛および可動域改善の両者に有効でかつ症状の早期改善に役立っている．
肩関節拘縮の保存的療法	西中　直也ほか
肩関節拘縮に対する保存療法のうち，機能の評価，機能訓練の選択，実施上の注意点について述べた．個々の症例についての病態の把握を十分に行ったうえで治療方法を選択することが重要である．
凍結肩に対するマニピュレーション	相澤　利武
凍結肩に対する全身麻酔下のマニピュレーションは，患者や術者にとって安心して行うことができ，疼痛や可動域を短期間に改善する有用な手技である．
＜手術療法＞
鏡視下関節授動術(術後リハビリテーションを含めて)	伊藤　陽一ほか
拘縮肩に対する鏡視下関節授動術(腱板疎部リリース・関節包リリース・肩峰下滑液包内リリース)は，肩甲上腕関節，肩甲胸郭関節および体幹に対する術後リハビリテーションの併用で，良好な治療成績が期待される．
関節不整を伴う拘縮に対する治療	櫻井　　真ほか
関節不整を伴う拘縮に人工肩関節置換術を行う場合，可動域や疼痛の改善のため，関節包や腱板の解離，インプラントの設置位置が重要である．
＜各　論＞
原因不明(五十肩など)	橋口　　宏
肩関節拘縮に対しては現病歴・既往歴・理学所見・画像診断などから確実な診断を行い，五十肩などの原因不明な特発性拘縮と診断した症例は病態に応じた適切な治療法を選択することが重要である．
術後ならびに外傷後の関節拘縮	林田　賢治
術後・外傷後の肩関節拘縮は，病態が多数存在し，治療に際しては拘縮の原因となっている病態をできる限り正確に把握し，それぞれの病態に対するアプローチが必要である．
小児の肩関節拘縮の治療	西須　　孝
小児の肩関節拘縮は，一見治療手段がなさそうなものでも，早期に手術を行うことによって改善できるものが少なくない．適切な治療時期を逸してはならない．

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