I.基本的知識 |
CT |
青木 重陽 |
頭部CTはリハビリテーション関係者にとっても最も接する機会の多い画像検査の一つである.特性を正しく理解して,実施や読影に臨みたい. |
PET |
石井 賢二 |
PETによる脳機能診断の基本的技術について述べる.特に脳循環代謝測定法,神経伝達機能評価法,アミロイドイメージングの基礎を解説する. |
MRI |
妹尾 淳史 |
MRIの撮像法の種類と撮像パラメータを関連させて理解すれば,MR画像に記載されているパラメータから撮像法を判別することができる. |
SPECT |
成田 浩人 |
SPECT装置の検出器は不安定であり,安定に保つためには十分な精度管理を必要とする.脳血流定量は阻害要素が多く,品質管理が決め手である.特に患者の動きの抑制は重要. |
NIRS |
星 詳子 |
NIRSの原理と問題点をまとめ,本法の限界を超えることなく,利点・長所を生かすことができる使用法について概説する. |
II.トピックス 各論 |
急性期脳梗塞における早期CTサインの重要性 |
平野 照之 |
脳梗塞急性期のrt-PA静注療法におけるCT所見について述べる.早期CTサインの意義,見逃さないためのCT撮影法,読影のコツ,ASPECTS評価について解説する. |
Stroke MRIの実際―PWI/DWIミスマッチとmicrobleeds― |
角田 亘ほか |
救済可能領域を示すPWI/DWIミスマッチと,脳出血の既往を示唆するmicrobleedsをstroke MRIで診断することで,脳卒中の治療方針が決定できる. |
脳血管評価としてのMRAおよび3D-CTA |
和田 邦泰 |
脳血管障害診療で,診断装置の発達や簡便性,非侵襲性から脳血管評価の主たる検査法となったMRAと3D-CTAについて病態に合わせて概説する. |
脳血管障害における脳血流SPECT診断―バイパス術・CEAの適応を含めて― |
中川原譲二 |
脳血流SPECTは,急性期~慢性期のアテローム血栓性脳梗塞に伴う血行力学的脳虚血に対する血行再建術の適応判定に有用である. |
脳血管障害のPET―misery perfusionとluxury perfusion― |
前田 哲也ほか |
血管閉塞時の脳血流量低下,酸素摂取率亢進状態がmisery perfusionであり,脳酸素摂取率低下,脳血流量増加状態がluxury perfusionである. |
失語症患者に対するfMRIを基準にした連続経頭蓋磁気刺激と言語聴覚療法の併用 |
安保 雅博ほか |
失語症患者に対して頭蓋磁気刺激療法を行う場合,fMRIなどを用いて,少なくとも左大脳半球と右大脳半球のうち,いずれが言語機能回復により大きく関与しているのかを明らかにして,連続経頭蓋磁気刺激を打ち分けるほうが良い.また,言語聴覚療法を組み合わせて治療を行い,失語症の改善に一定の効果を得ている. |
全身動脈硬化の指標としての頚動脈エコー―プラーク診断を含めて― |
阿部眞理子ほか |
頚動脈エコーでは,血管壁の構造,プラーク,動脈狭窄などを非侵襲的に評価することができる.観察局所のみならず,IMTの計測などにより,全身の動脈硬化を早期より診断しうる点に注目されたい. |
脳血管障害におけるTCDの有用性 |
立花 正輝ほか |
TCD,TCCSでは頭蓋内血管の狭窄や閉塞,右左シャント,術後過灌流症候群やくも膜下出血後のスパズムの評価が可能である. |
頭部外傷におけるCT/MRI |
谷 諭 |
頭部外傷時はCT scanによる早めの診断とそれに基づく即座の対応が重要であるので,典型的画像を理解しておくことは,臨床現場では重要と考える. |
軽症脳外傷におけるイオマゼニルSPECTの有用性 |
橋本 圭司 |
軽症脳外傷(MTBI)による脳機能障害を,123I-イオマゼニルSPECTによって検出する試みをMTBIの定義や特徴とともに紹介する. |
頭部外傷のtractographyとテンソル画像 |
浅野 好孝ほか |
びまん性軸索損傷による白質損傷の程度を,拡散テンソル画像のFA/ADC値のROI解析,FA mapのSPM解析とTBSS,そしてtractographyを用いて視覚的あるいは定量的に評価した. |
認知症のCT/MRI―VSRADを中心に― |
松田 博史 |
VSRADによるアルツハイマー病診断では,内側側頭部の萎縮度を示すZスコアの値と,頭頂側頭葉皮質および後部帯状回~楔前部の萎縮の有無を脳表画像で評価する. |
認知症における脳血流SPECTの役割―加齢による記憶障害とアルツハイマー病との鑑別― |
石渡 明子 |
SPECTを用いたアルツハイマー病の早期診断を目的として軽度認知機能障害の画像の特徴を概説する.また統計画像のpitfallに対し最大値参照法による再現性の検討を紹介する. |
アルツハイマー病における脳アミロイドの画像化 |
岡村 信行ほか |
アミロイドイメージングを用いた最近の研究成果,プローブの開発状況を紹介する.さらに本検査がアルツハイマー病の診断や治療戦略にいかなる恩恵をもたらすのかを考察する. |
Treatable dementia(治療可能な認知症)を見逃さないために |
大槻 俊輔ほか |
治療可能な認知症treatable dementiaを必ず念頭に鑑別診断する.早期診断がより良き転帰につながる(the earlier diagnosis, the better outcome). |
高次脳機能障害におけるMRI・SPECT診断 |
粳間 剛 |
高次脳機能障害の一般的な支援と訓練を行った症例の画像所見を提示し,その診断と支援構築の根拠およびその機能的再構築を画像が客観的に示しうる可能性を示した. |
脳腫瘍の画像診断のポイント |
成相 直ほか |
治療を目指した脳腫瘍の画像診断にはMRIによる形態診断,MRIによる脳機能診断,PETによる腫瘍代謝診断の総合的理解が必要である. |
脳変性疾患におけるCT/MRI―スクリーニングとして知っておくべきこと― |
高橋 哲哉ほか |
主な神経変性疾患の各疾患の臨床的特徴を概説し,鑑別診断に役立つ画像上のポイントを簡潔に説明する. |
3D-SSPを用いたSPECTによるパーキンソン症候群の鑑別診断 |
鈴木 正彦 |
パーキンソン病,多系統萎縮症,進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症には疾患特異性のある相対的脳血流不均衡分布パターンが存在するため,3D-SSPによる統計画像は鑑別診断に有用である. |
多発性硬化症の画像診断―他疾患との鑑別を中心に― |
石橋 哲 |
多発性硬化症は治療可能な疾患であることから,典型的なMRI所見を把握し,多発性脳梗塞,脳腫瘍などとしっかり鑑別を行うことが重要である. |
小児神経画像診断 |
堤 義之ほか |
成人と比較した場合,小児では中枢神経の画像所見は成長に伴う変化が大きい特徴がある.年齢ごとの正常所見を理解したうえで,画像診断を行う必要がある. |
脳ドックのポイント―無症候性脳梗塞,未破裂脳動脈瘤などが見つかった場合の対処法― |
松井 龍吉ほか |
無症候性脳梗塞,未破裂脳動脈瘤が見つかった場合,危険因子としての血圧管理を十分に行っていく必要がある.未破裂脳動脈瘤に関しては特に定期的な病変の評価が必要となる. |
脳機能画像としての近赤外分光法(NIRS) |
渡邉 修ほか |
近赤外分光法は,身体的拘束が極めて少なく,時間分解能も良好であるが,空間分解能は低く,大脳皮質のみの活動を検出している.これらの特徴を踏まえることで,NIRSは有用な脳活動の測定機器となる. |
MR spectroscopyの臨床応用 |
安里 令人ほか |
プロトンMR spectroscopyは臨床診断機器としての精度を備えつつあるが,測定と結果の解釈には細心の注意を払う必要がある. |