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Monthly Book Orthopaedics(オルソペディクス) 21/5

Monthly Book Orthopaedics(オルソペディクス) 21/5

整形外科手術に役立つ皮弁とそのコツ<増刊号>

金谷文則/編

2008年5月

or2105

定価6,160円(税込み)

目次

I.皮弁の概念と分類 児島 忠雄
“Flap”の意味から,皮弁手術の今日に到る歴史,皮弁の血行動態の解明が如何に進められてきたかを述べた.穿通枝をめぐって論議があり,日本形成外科学会で「2004皮弁分類」が作成された.
II.有茎皮弁
 1.局所皮弁
  a.菱形皮弁  b.回転皮弁  c.前進皮弁 土田 芳彦
局所皮弁は皮膚茎からのび漫性の血行に頼る乱走皮弁(random pattern flap)であり,その血行は軸走皮弁(axial pattern flap)より劣るが,手術手技が容易なために有用性が高い.局所皮弁として汎用されるものに菱形皮弁,回転皮弁,前進皮弁などがある.
 2.指の皮弁
  a.局所皮弁 牧   裕
皮膚の余裕を見越した無理のない皮弁のデザイン.皮弁の移動や皮膚縫合で皮弁に過度の緊張をかけない.神経血管柄や皮下組織柄に移動後や折り返した後の創閉鎖で圧迫をかけない.
  b.区域皮弁 山野 慶樹
手指の神経,血管,腱,骨,関節などの露出,あるいは指腹の皮膚欠損に対して,隣接部位からの血管柄付きを含めた簡単で有用な有茎皮弁について記述した.
  c.遠隔皮弁(distant flap)
松井 瑞子ほか
指の外傷に対する遠隔有茎皮弁による再建は,microsurgeryの発達により,その機会は少なくはなってきたものの,degloving injuryの際などには有用な方法である.手の被覆に使用できる胸・腹部の有茎皮弁について述べる.
 3.手の皮弁
  a.背側中手動脈を血管茎とする皮弁 ―kite flapを中心に― 五谷 寛之
背側中手動脈を血管茎とする皮弁のなかでもkite flapは初心者にも有用な皮弁である.同様な手技で第一背側中手動脈だけでなく第二背側中手動脈を血管茎とした順行性,逆行性皮弁も可能である.
  b.逆行性橈側前腕皮弁 梶川 明義
逆行性橈側前腕皮弁は,遊離皮弁に比べ,短時間で手の広範な皮膚欠損を整容的に再建できる.本皮弁を用いる際は,術後の手の血行障害,皮弁のうっ血,採取部瘢痕に注意する必要がある.
  c.後骨間皮弁 柿木 良介
後骨間動静脈は前腕中央部を過ぎると非常に細くなるときがあるが,血管茎に総指伸筋腱と固有小指伸筋の筋膜およびこの後骨間動静脈に伴走する知覚枝を含めれば,皮弁挙上に失敗することはまずない.
  d.手の有茎血管柄付き骨移植―舟状骨偽関節に対する血管柄付き第2中手骨基部骨移植術― 澤泉 卓哉
第2中手骨基部骨移植術の手術手技と治療成績について述べた.本法は特にDISI変形を伴う難治性の舟状骨偽関節に有効な手術法である.
 4.足の皮弁
  a.腓腹皮弁 林  祐司
浅腓腹動脈と腓骨動脈からの穿通枝をドップラー血流計で確認し,腓腹神経,小伏在静脈を含めて筋膜皮弁とすることにより安全に腓腹皮弁を挙上することができる.
  b.足底の局所皮弁 柏  克彦ほか
足底では局所皮弁による耐荷重構造の修復が第一選択であり,皮弁採取部の犠牲も最小限に留める必要がある.V-Y advancement flapや複数の皮弁を駆使することで,局所皮弁の有用性はさらに高まる.
  c.後脛骨動脈皮弁 澤泉 雅之ほか
下腿内側の皮弁作成に必要な血管解剖と基礎的事項について述べ,実際の整形外科疾患に対し後脛骨動脈を利用した様々な局所皮弁の適応症例を供覧する.
  d.Lateral supramalleolar flap 栗原 邦弘ほか
下腿遠位1/3外側から足背部の皮膚軟部組織の血管茎皮弁として用いられる.本皮弁の特徴は,下腿から足部の主要血管を犠牲にすることがない.
  e.VAF & V-NAF flaps 今西 宣晶ほか
この皮弁の栄養血管は皮静脈,皮神経の伴行動脈であるため,皮弁を安全にかつ確実に挙上するには,下腿後面における小伏在静脈および腓腹神経の走行と筋膜との関係を十分に理解することが重要である.
III.遊離皮弁
 1.皮弁・中隔皮弁
  a.外側上腕皮弁 普天間朝上ほか
外側上腕皮弁は栄養血管の破格が少なく,比較的安全に挙上できる薄い皮弁であり,特に上肢では同側より皮弁を採取できる有用な皮弁の一つである.
  b.肩甲皮弁 森田 哲正ほか
肩甲皮弁の歴史,特徴および適応,血管解剖,デザイン,皮弁挙上法,術後合併症およびその対策について述べ,実際の手術症例を提示した.
  c.鼡径皮弁 成澤 弘子
遊離鼡径皮弁の安全な挙上方法とこの皮弁の欠点である血管系の変異と細さに対するソリューションを中心に解説した.
  d.前外側大腿皮弁の四肢への応用 光嶋  勲ほか
ALT皮弁は下肢のみならず上肢の再建にも有用である.本皮弁の特長は,“穿通枝皮弁であり,筋の犠牲がない.Thin flapにできる.四肢の動脈・神経欠損例でもflow-through皮弁として血行・神経再建が一期的にできる.筋膜皮弁として手では腱欠損の再建が同時にできる.欠点は,穿通枝の解剖学的な位置に変異がある.
  e.内側足底皮弁 柴田  実ほか
内側足底部は局所,島状,遊離皮弁として移動でき,他の軟部組織では再建困難な足の荷重部を最も適切に再建できる.手の掌面と似た構造で,手指の再建に最も適している.
  f.その他の穿通枝皮弁 難波祐三郎ほか
穿通枝皮弁の基本コンセプトは筋肉温存,神経温存である.筋肉内血管剥離操作を行うだけで,筋肉・神経を犠牲にすることに起因する合併症を防止できる.
 2.筋弁・筋皮弁
  a.薄筋皮弁 服部 泰典ほか
薄筋皮弁は,軟部組織欠損の再建にも有用であるが,現在では機能的筋肉移植のドナー筋肉として第一選択とされている.信頼できる皮弁の血行を得るためには,薄筋と長内転筋の筋間中隔を十分含めることである.
  b.広背筋皮弁 小畠 康宣ほか
下腿の広範囲軟部組織欠損症例などに対して遊離広背筋皮弁は非常によい適応で,flow-through型に移植することで末梢血行の温存も可能である.
  c.腹直筋皮弁 佐藤 兼重ほか
術前に下腹壁動脈の左右差,皮膚穿通枝の位置を超音波診断装置で検査する.穿通枝の位置を知ることで安全に脂肪と筋体量の調節ができ,最小限の前鞘採取が可能となる.
  d.大腿直筋皮弁 松井 瑞子ほか
外陰部から下腹部にかけての再建方法の一つに大腿直筋(皮)弁がある.挙上が簡便であり,血行も安定している.機能障害もほとんど残さないため,症例を選べば有用な筋(皮)弁である.
 3.血管柄付き骨移植
  a.血管柄付き腓骨移植術 前川 尚宜ほか
血管柄付き腓骨移植術の実際と術前準備,採取法,固定法,血管吻合,術後モニタリングなどのコツについて述べた.
  b.血管柄付き肩甲骨移植術 平地 一彦ほか
Angular branchを血管柄とする肩甲骨移植は長いリーチを有する.その利点を生かして鎖骨や上腕骨中央までは有茎移植が可能である.広背筋皮弁をはじめとする連合皮弁を容易に作成できるため,様々な組織欠損に応用できる.
  c.血管柄付き腸骨移植 村上 隆一ほか
腸骨皮弁の挙上には,腹横筋を切開した後,まず外腸骨動脈より深腸骨回旋動脈の分岐を確認し,上前腸骨棘へ剥離を進める.次いで腸骨稜内側で腹横筋膜まで切離して腸骨筋との境界線を確認する.
 4.足趾移植
  a.足趾移植 中島 英親
第II足趾移植の多数指切断(中手骨,基節骨,中節骨レベル)に対するピンチ再建の方法.1本切断に対する足趾移植.
  b.Wrap around flap 田中 克己ほか
Wrap around flapを安全に行い,より優れた結果を得るためには,皮弁の基礎的事項,適応および挙上に必要な解剖を理解し,十分な手術計画を立てることが重要である.
  c.趾腹皮弁 木森 研治
趾神経を含む第1足趾外側皮弁,第2足趾内側皮弁の移植術は,母指や示指の広範囲指腹部皮膚欠損に対する優れた再建法である.
  d.血管柄付き関節移植 坪川 直人
足趾血管柄付き関節移植は技術的に容易ではないが,成人,小児の指PIP関節の再建には最適な方法である.伸展不足の問題があるため伸筋腱縫合方法,後療法は重要である.
IV.皮弁手術のトラブルシューティング 光嶋  勲ほか
四肢における遊離皮弁壊死の予防と対策は,感染創を避け瘢痕外,浅層で移植床血管を選択しflow-through型血管吻合,静脈移植を積極的に行い,皮静脈も含めできるだけ多くの血管吻合を行う.また,血腫による圧迫を避けるため吻合部は開放とする.

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