A.頚椎部疾患 |
リウマチ性頚椎病変(AAS,VS,SAS) |
高橋 淳 |
単純X線像は環軸椎亜脱臼,垂直亜脱臼,軸椎下亜脱臼の診断に有用である.CTは,骨構造の描出に有用である.MRIはパンヌスの存在や脊髄,脳幹の圧迫を評価する. |
上位頚椎病変(リウマチ以外) |
根尾 昌志ほか |
上位頚椎の画像診断では,X線で見落とさないことがまず第一歩である.そのうえで,CT,MRIによる病態把握,手術適応の決定がなされる.手術に際しては術前のCT血管造影が必須である. |
頚椎・頚髄損傷 |
播广谷勝三 |
脊椎・脊髄損傷患者を診察する場合,早急に全身状態,麻痺(高位や程度)を把握し,画像診断による評価を行って治療方針を決定しなければならない. |
頚椎椎間板ヘルニア,頚椎症性神経根症 |
田中 信弘ほか |
頚椎椎間板ヘルニア・頚椎症性神経根症の病態把握や治療方針決定に有用なX線,脊髄腔造影,MRIなどの画像診断のポイントを述べる. |
頚椎症性脊髄症,頚椎症性筋萎縮症 |
内田 研造ほか |
頚椎症性脊髄症における静的因子・動的因子の捉え方,髄内輝度変化の意義,および頚椎症の一型である頚椎症性筋萎縮症にみられる特徴的な画像所見について論述した. |
頚椎後縦靱帯骨化症,頚椎黄色靱帯石灰化症 |
柏井 将文ほか |
頚椎後縦靱帯骨化症の診断には,神経学的高位診断と単純X線写真・CT(3D-MPR)・MRIなどの各種画像検査の検査所見の一致が必須である. |
B.胸椎部疾患 |
胸椎椎間板ヘルニアの画像診断 |
井尻 幸成ほか |
症候性胸椎椎間板ヘルニアは下位胸椎で脊柱管狭窄を伴うもの,自然退縮をきたす脱出型,重篤な麻痺をきたす多椎間型,骨粗鬆症性椎体骨折に伴うものに大別できる. |
胸椎後縦靱帯骨化症,黄色靱帯骨化症 |
山崎 正志 |
嘴状の後縦靱帯骨化・黄色靱帯骨化により脊髄が前方後方から挟み込まれ,さらに脊柱の可動性が残存している場合,脊髄症が急性増悪しやすく術後麻痺のリスクも高くなる. |
胸腰椎移行部外傷 |
並川 崇ほか |
脊椎外傷においてスクリーニング検査として行われる単純X線において,病態を把握するための多くの情報を有する.この所見を基に,CT,MRIなどさらなる精査を行い,損傷形態を把握し,治療方針を決定する. |
脊髄ヘルニアの画像診断 |
金子慎二郎ほか |
二重硬膜の有無やヘルニア孔の局在,脱出したヘルニアの位置,くも膜嚢胞の合併の有無などの正確な病態把握は手術計画を立てるうえで重要であり,3D-trueFISP法などの高解像度3D-MRIは有用な画像検査法である. |
C.腰椎部疾患 |
腰椎椎間板ヘルニア |
竹林 庸雄ほか |
MRIによる画像診断の進歩により,ヘルニアの自然経過を推測することが可能となっており,治療方針の決定にも影響を与えるようになってきている. |
腰椎分離症・分離すべり症 |
加藤 真介 |
発育期腰椎分離症の画像診断では早期発見のためのMRI撮像が,成人以降では腰痛・下肢痛の原因であることの確認のための分離部や神経根の造影ブロックが重要である. |
腰部脊柱管狭窄症,腰椎変性すべり症 |
曽雌 茂 |
MRIは有用な検査法であるが,椎間孔部狭窄が疑われる場合には,MR myelographyや神経根造影を追加する.骨病変の把握にはCTが優れており,MPR-CTでは多くの情報を得ることができる. |
腰椎椎間孔病変の画像診断 |
山田 宏ほか |
3次元MRIは従来の検査では検出が困難であった椎間孔病変の探索には最適である.臨床医はこの新しい診断ツールを自由に使いこなさなければならない. |
脊髄係留症候群の画像診断 |
平野 徹 |
脊髄係留症候群の診断には,特徴的な臨床症状を把握したうえでMRIを中心とした画像診断を進めることが重要である.しかし,神経組織の緊張状態や損傷程度の評価には限界があり,新たな画像診断の確立が望まれる. |
D.脊椎病変 |
脊椎変形の画像診断 |
遠藤 健司ほか |
脊椎変形の治療における脊椎冠状面・矢状面アライメントの意義と全脊椎X線による客観的画像評価方法,パラメータについて解説した. |
骨粗鬆症脊椎骨折 |
武井 寛 |
単純X線では立位(坐位)と仰臥位側面像の比較による椎体内不安定性の検出を行う.より詳細な骨折型の把握のためにMRIが有用である.治療には日常生活指導と適切な外固定を行う必要がある. |
感染性脊椎炎の画像診断 |
西田康太郎ほか |
化膿性脊椎炎の画像診断について言及し,特殊な感染性脊椎炎としての脊椎カリエスや硬膜外膿瘍についてその画像診断上の特徴を述べ,鑑別すべき疾患の画像を示した. |
破壊性脊椎関節症 |
森山 徳秀ほか |
透析患者の脊椎病変はDSA,アミロイド骨嚢腫に靱帯肥厚や硬膜周囲石灰化などが単独で生じたり並存するため,MRIやCTを駆使して診断する必要がある. |
原発性脊椎腫瘍の画像診断 |
村上 英樹ほか |
原発性脊椎腫瘍では脊柱管内を含めた脊椎病変の画像評価は特に重要である.CT,MRIにより,三次元的に病巣の広がりを評価することが診断および治療に重要である. |
転移性脊椎腫瘍 |
高橋 寛 |
転移性脊椎腫瘍は,早期診断をすることにより根治手術も可能なことがある.腰背部痛を訴える患者が受診した際には,転移性脊椎腫瘍を念頭に置き診察することが必要である. |
E.脊髄病変 |
髄内腫瘍 |
若尾 典充ほか |
画像診断技術の進歩に伴い,単純MRI,造影MRIによる脊髄髄内腫瘍の質的診断がかなりの精度で可能な時代となった.その特徴的所見を供覧する. |
髄外腫瘍・馬尾腫瘍の画像診断 |
小澤 浩司 |
硬膜内髄外の神経鞘腫,髄膜腫,上衣腫,傍神経節腫の鑑別のポイントについて述べた.砂時計腫の神経鞘腫,神経線維腫,神経芽腫・神経節細胞腫,血管脂肪腫の画像の特徴について紹介した. |
脊髄の血管病変,出血性,梗塞性病変 |
飛騨 一利 |
脊髄動静脈奇形は,動静脈短絡の局在部位により,脊髄硬膜動静脈瘻,脊髄硬膜外動静脈瘻,脊髄辺縁部動静脈瘻,髄内動静脈奇形の4つに分類されるが,それぞれの鑑別診断とタイプ別の治療が重要である. |
脊髄の炎症性疾患 |
安藤 哲朗 |
頚椎症で広範囲な髄内高信号や脊髄腫大をみたら,脊髄サルコイドーシスが合併している可能性を考慮する.上下に長い脊髄炎をみたら,NMOを疑い血清抗アクアポリン4抗体の測定が必要. |