〈編集企画にあたって〉
序 |
馬場 駿吉 |
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小児の服薬指導―上手な薬の飲ませ方― |
飯ケ谷七重ほか |
小児の服薬コンプライアンスを上げるためには,乳児期,幼児期,小児期など,時期に適した薬の剤形や服用方法の工夫が必要である. |
外耳道炎 |
小林 一女 |
びまん性外耳道炎,真菌症は細菌と真菌の混合感染のことがある.小児の耳帯状疱疹はBell麻痺と診断されている症例もある.接触性皮膚炎が原因の湿疹は原因の除去が大切である. |
急性中耳炎 |
山内 一真ほか |
急性中耳炎患児の臨床症状と鼓膜所見から重症度分類を行い,重症度に応じた治療法を選択していくことが重要である. |
小児慢性中耳炎の特徴と保存的治療 |
谷川 徹ほか |
急性憎悪時には,経口抗菌薬と点耳薬(抗生剤とステロイド薬)の外用を行う.薬剤耐性菌による重症例では,注射用抗菌薬と徹底した鼓室洗浄で菌数を減らすことが重要である. |
滲出性中耳炎 |
飯野ゆき子 |
小児滲出性中耳炎は“watchful waiting”が基本であるが,発症後3か月を経過した慢性症例では影響する周辺疾患に対して,また増悪期にも適切な投薬が必要である. |
小児急性感音難聴 |
曾根三千彦 |
小児急性感音難聴の診断には,画像検査が必要な事が多い.小児期に特徴的な疾患の把握とともに,ステロイドを中心とした適切な薬物用法に精通しておくべきである. |
めまい |
水田 啓介 |
小児のめまいの治療の原則は成人と同様であるが,選択薬剤を慎重に選択する必要がある.起立性調節障害が最も多い.塩酸ミドドリンが使用しやすい. |
動揺病―小児に多い乗り物酔いの対策― |
山本 昌彦ほか |
乗り物酔いは訓練によって酔わない体を作る事ができることを認識する事が必要である. |
顔面神経麻痺 |
村上 信五ほか |
Bell麻痺とRamsay Hunt症候群ではステロイド薬と抗ウイルス薬を,また,中耳炎性では抗生剤とステロイド薬を中心に投与する.重症度に応じて投与量を決定するが,麻痺発症3日以内の治療が重要である. |
鼻・副鼻腔炎 |
春名 眞一 |
抗菌薬の第一選択はペニシリン系が中心となり,慢性期にはマクロライド療法が有効である.局所治療として,点鼻ステロイド薬や十分な鼻処置後の鼻ネブライザーは有効である. |
アレルギー性鼻炎 |
大久保公裕 |
小児アレルギー性鼻炎は花粉症を含め増加している.小児では成人ほどQOLは悪化していないが,人での重症化を考えると抗原回避や抗原特異的免疫療法が重要で,薬物療法でも副作用の少ない薬剤の処方が望まれる. |
鼻出血 |
松根 彰志ほか |
小児の鼻出血では,出血点に対する処置と,基礎疾患に対する投薬も含めた治療が重要である. |
嗅覚障害 |
池田 勝久 |
小児の嗅覚障害の原因として慢性副鼻腔炎にはマクロライドの半量長期療法,アレルギー性鼻炎にはアレルギー治療内服薬や副作用の少ない局所ステロイド点鼻が推奨される. |
耳下腺炎―化膿性耳下腺炎,流行性耳下腺炎などへの薬― |
工藤 典代 |
ムンプスは対症療法で解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンが安全とされる.反復性耳下腺炎,化膿性耳下腺炎にはペニシリン系抗菌薬を第一に投与する. |
急性咽頭炎 |
片田 彰博ほか |
日常診療で遭遇することの多い小児急性咽頭炎について,起炎微生物,診断のポイント,鑑別診断,抗菌薬使用の注意点について解説した. |
急性扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む) |
藤澤 利行ほか |
小児急性扁桃炎の治療は軽症例では抗菌薬使用を避け,中等症以上で抗菌薬(主にペニシリン系)を使用する.扁桃周囲膿瘍では抗菌薬を使用するが切開排膿が必要不可欠である. |
伝染性単核球症―鑑別診断と薬物治療の考え方― |
及川 敬太ほか |
伝染性単核球症は基本的に予後良好で治療は対症療法で良い.しかし重篤な合併症(特に血球貪食症候群や慢性活動性EBウイルス感染症)の出現に気を配ることが必要である. |
急性喉頭炎 |
桜井 一生 |
小児の急性喉頭炎,なかでも迅速かつ適切な診断・治療が必要な急性声門下喉頭炎を中心にその薬物療法について述べた. |
喉頭麻痺 |
唐帆 健浩 |
喉頭麻痺の原因と予後は,成人と小児では大きく異なる.小児喉頭麻痺では,片側麻痺であっても呼吸困難を生じることが少なくなく,気道管理が重要である.自然回復も多いため,長期の経過観察が必要である. |
深頸部膿瘍 |
渡辺 哲生 |
小児深頸部膿瘍に対する投薬は感染症であるので抗菌薬となる.投薬方法よりもその選択が重要である.自験例と文献的検討から抗菌薬の選択について述べる. |
小児悪性腫瘍 |
白倉 聡ほか |
小児悪性腫瘍は肉腫が最も多く,その初期治療は化学療法となる.使用薬剤,プロトコール,合併症などについて述べる. |
小児耳鼻咽喉科疾患の漢方療法 |
山際 幹和 |
漢方治療が第一選択になる小児耳鼻咽喉科疾患は皆無に近い.その中で,アレルギー性鼻炎の発作期に対する麻黄剤を用いた漢方治療の有用性は高く,試みる価値はある. |