A.基礎編 |
ロボティクスを用いた膝靱帯機能と靱帯再建術に関する研究 |
藤江裕道 |
ロボットシステムを用いる独自の方法により,健常ACLの機能解析およびACL再建術の評価を行った.本システムはACL再建術を改善する有力なツールである. |
解剖学的2ルート前十字靱帯再建術で再建された線維束の張力変化 |
市山廣樹
安田和則 |
解剖学的2ルートACL再建術により再建した2線維束の張力を術中に測定するシステムを開発した.その測定結果より解剖学的2ルート再建ACLの機能を概説する. |
前十字靱帯損傷膝と再建膝における関節固有感覚の変化と成績への影響 |
岩佐潤二
内尾祐司
越智光夫
安達伸生 |
前十字靱帯損傷によって低下した関節位置覚や関節運動覚などの膝関節固有感覚は,前十字靱帯再建により経過と共に回復することを明らかにした. |
前十字靱帯損傷および再建術後患者の動作解析 |
名倉武雄
桐山善守
大谷俊郎
松本秀男 |
表面マーカー式3次元動作解析装置を用いて,前十字靱帯損傷膝および再建膝の日常生活動作・スポーツ動作における特徴を示した. |
種々の画像解析による膝靱帯損傷の評価 |
柴沼 均
藤井正彦
岩間祐基
吉矢晋一
黒坂昌弘 |
MDCTやシネMRIなどの新しい画像技術を使用した膝靱帯損傷の診断について概説した.これらの技術の使用により靱帯損傷の様々な評価が可能となる. |
治癒促進のための前十字靱帯再建膝への成長因子の応用 |
遠山晴一
安田和則 |
前十字靱帯再建術後の移植腱のリモデリングを加速化させるための成長因子を応用した筆者らの一連の研究を解説した. |
前十字靱帯損傷のメカニズムと損傷予防の工夫 |
丸箸兆延
北岡克彦
富田勝郎 |
ACL損傷にはいくつかの典型的な受傷パターンがあり,損傷予防には筋力訓練のみならず,受傷局面を想定した神経筋運動などのトレーニングを導入することが重要である. |
B.診断編 |
外来での前十字靱帯損傷の診断と治療方針の決定 |
佐粧孝久
和田佑一
守屋秀繁 |
前十字靱帯損傷の治療に際してはまず病歴,身体所見,画像所見から正確に診断することが第一に求められる.手術を適応するに際しては患者の年齢,ライフスタイル,活動性,合併損傷の有無などを考慮し,その適応を決定する必要がある. |
前十字靱帯損傷・再建膝における画像診断および評価法 |
藤本英作
数面義雄
越智光夫 |
MRIデータよりACLとPCLを3次元再構成し評価を行った.再建ACLは関節面に対し傾斜をつけること,すなわち,解剖学的付着部に作製することが必要と思われた. |
膝靱帯損傷に合併した軟骨損傷の診断と治療法 |
内尾祐司
岩佐潤二
越智光夫 |
膝靱帯損傷に軟骨損傷は合併することが多いものの,的確な診断は術前には困難であり,靱帯損傷膝の治療計画の中に軟骨損傷に対する治療も常に考慮すべきである. |
膝前十字靱帯損傷に合併した内側側副靱帯新鮮III度損傷に対する治療方針 |
中村憲正
堀部秀二
史野根生 |
MRIによるMCL浅層の損傷部位の把握は,新鮮ACL/MCL複合靱帯損傷の治療方針を立てる上で有用である.浅層の大腿骨付着部に限局した損傷は保存療法によく反応するが,関節ラインを超えるびまん性の損傷はMCLの保存療法に抵抗性であることが多く,ACL再建時にMCLの同時手術を配慮することが必要である. |
膝後外側支持機構損傷の診断と治療指針 |
須田康文 |
膝後外側支持機構損傷の治療にあたっては,ダイヤルテスト,内反ストレステストを中心に,損傷構成体を正確に診断することが肝要である. |
膝複合靱帯損傷の診断と治療方針の決定 |
中村英一
水田博志 |
新鮮膝複合靱帯損傷における診断と可動域の回復を優先した我々の治療方針を述べた. |
C.治療編 |
前十字靱帯損傷に対する保存的治療法の成績と限界 |
木村雅史
白倉賢二 |
ACL損傷新鮮例に対する保存的修復法は確実性に欠け,再断裂率も高いが,成功例の満足度は高く,適応を厳密にすれば選択してよい治療法である. |
骨付き膝蓋腱を用いた前十字靱帯再建術の術式と成績―三次元誘導的骨孔形式とエンドボタンによる― |
福岡重雄 |
骨付き膝蓋腱を選択すると1ルート再建になる.本項の目的は脛骨骨孔経由で解剖学的位置(低位後方)に確実に再現性をもって大腿骨骨孔を作成する方法の記述にある. |
骨付き膝蓋腱を用いる前十字靱帯再建術の適応と工夫 |
石橋恭之
津田英一 |
膝蓋腱を用いた再建術の術後成績を向上させるには,膝前面痛を減少させる手技の工夫と早期リハビリテーションが重要であり,また可能な限り解剖学的な再建を目指すことが必要である. |
多重折り半腱様筋腱による前十字靱帯再建術の工夫 |
金 勝乾
黒澤 尚
池田 浩 |
我々の行っている多重折り半腱様筋腱による前十字靱帯再建術について,その具体的方法と再建時の工夫について,関連する臨床研究の結果と共に紹介する. |
TransFix pinを用いた前十字靱帯再建術の経験 |
荻内隆司
宗田 大 |
TransFix pin固定のACL再建術の成績はEndobutton法と同等で,有用な大腿骨側固定のalternativeであり,revisionや二重束再建への対応も可能である. |
トップアスリートに対する膝前十字靱帯再建―手術操作の工夫について― |
内山英司 |
手術精度の向上が,トップアスリートに対して安全で確実な手術治療となるに過ぎないが,特に筋力回復やパフォーマンスに影響する伸展位の確保が重要である. |
私のACL再建術 |
安達伸生
越智光夫 |
ACLは膝関節安定性に寄与するばかりでなく,固有感覚受容器としての重要な機能を有する.我々は症例に応じていくつかのACL再建術を選択してきた.その概要を解説する. |
膝蓋腱を用いた長方形骨トンネルACL再建術 |
史野根生
中田 研
中村憲正
大坪英則
岩橋武彦
中川滋人 |
正常ACL内線維束の配列を模倣した,膝蓋腱を用いるACL再建術式の詳細を記した. |
前十字靱帯再建術後の早期復帰の工夫と実際 |
仁賀定雄
池田浩夫 |
前十字靱帯再建術後早期に競技復帰するためには,膝機能の回復程度を適切に評価して個々の回復に応じたリハビリテーションを行うことが重要である. |
膝前十字靱帯(ACL)再建術後の早期競技復帰に対する身体能力改善を目的としたリハビリテーション |
原 邦夫
南 銀次郎
新井祐志
久保俊一 |
早期復帰を目的とするリハビリテーションに対して,段階的なスポーツ活動に必要な身体能力の目標値を運動生理学的なアプローチにより明確に設定し良好な臨床成績を得た. |
前十字靱帯再建術後のスポーツ復帰に影響を及ぼす因子の検討 |
宗田 大 |
ACL再建術後のスポーツパフォーマンスの回復とそれらへの影響因子は,自覚的動揺性のみに起因し,Lachmanテスト,ADTテストでの安定性と屈曲筋力回復がパフォーマンスの回復に影響を与えていた. |
前十字靱帯再建膝のスポーツ復帰と問題点 |
福林 徹 |
前十字靱帯再建術後のスポーツ復帰は6か月以降とするのが一般的であるが,現在の術後評価基準ではそれを十分に評価できない.スポーツ復帰には膝の安定性や筋力に対しての静的な評価のみでなく,スポーツに即した機能的な評価を今後取り入れていく必要がある. |
後十字靱帯再建術の工夫と成績 |
大越康充 |
膝後十字靱帯再建術における諸問題解決の目的で開発した「至適ランニング・ルートを実現する関節鏡視下再建術」とその臨床成績について述べた. |
膝後外側動揺と治療法の選択 |
土屋明弘 |
解剖学的に複雑である後外側支持機構の解剖と,構成要素の中でも内反および回旋不安定性の制御に重要な役割を果たしているLCLとpopliteo-fibular ligamentの解剖学的再建術を紹介する. |
膝複合靱帯損傷の治療法の選択と問題点 |
高橋成夫 |
膝複合靱帯損傷の新鮮例の治療は拘縮膝を作らないようにすること,陳旧例では靱帯損傷の評価を正確に行い,個々の靱帯を確実に再建することがポイントである. |
膝内側再建術の工夫と成績 |
堀部秀二 |
陳旧性MCL損傷に対し,MRIによる病態把握と麻酔下でのストレス撮影による内側不安定性の評価を参考に,再建法(ラスピング,前進術,大腿筋膜による再建)を選択する. |
膝後十字靱帯再建術後の後療法の工夫と実際 |
井上雅之 |
PCLおよびその周囲のバイオメカニクスに基づいた再建術後のリハビリテーションを紹介した.膝の角度のコントロール,大腿四頭筋ならびに腓腹筋のトレーニングが重要である. |