めまい診断・手順 |
青柳 優 |
めまいの診断は手間がかかるので,あらかじめ手順を決めておくとよい.問診,眼振所見,画像診断が重要であるが,大切なことは「危険なめまい」を看過しないことである. |
診療所における高齢者めまいの検査 |
中村 正 |
診療所における高齢者めまい診療では,末梢性疾患を適確に診断し危険なめまいを見逃さないことが重要で,そのためには情報量が多く簡便に行える眼振検査が有効である. |
高齢めまい患者の取り扱い上の注意点 |
石川 和夫ほか |
高齢者に伴う身体機能の低下の具体的な側面と高齢者に多いめまい疾患への対応,治療上の工夫と注意点.多剤服用の可能性と,めまいの原因となりうる薬剤への配慮. |
高齢者めまいの画像診断 |
石川 牧子ほか |
めまいを主訴とする高齢者の患者に多く見られる,代表的な脳血管障害,小脳橋角部腫瘍,その他脳腫瘍および脊髄小脳変性症について,CTおよびMRIの画像所見を述べる. |
高齢化社会におけるめまい |
宮下 元明ほか |
めまい患者における高齢者の割合は増加しており,その対応は重要な課題である.平衡機能の低下している高齢者に対しては,生活指導や平衡訓練が非常に重要であると考える. |
加齢と平衡機能 |
都筑 俊寛 |
高齢者の平衡機能は低下することが知られている.聴覚における蝸牛の加齢変化は良く知られているが,加齢により末梢前庭機能が低下するかはまだ明らかでない.温度眼振検査の緩徐相速度に低下を認めたことより,末梢前庭器官にも加齢変化が推定された. |
加齢と身体動揺 |
山本 昌彦ほか |
姿勢制御を重心動揺でみた場合,年齢と共に距離・面積の増加と共に左右動揺から前後動揺が強くなる.60~70歳は個人差が大きいが80歳からは急激に姿勢制御が低下する. |
加齢と前庭代償 |
北原 糺 |
前庭代償は一側末梢前庭障害後に生じる中枢前庭系の左右差を是正する神経回路構築の過程である.加齢によりこの神経回路には脆弱性とそれを代償する変化が生じる. |
高齢者のめまい |
肥塚 泉 |
高齢者のめまいの病態は非高齢者の場合よりもより複雑になる可能性がある.今後さらに増えるであろう,高齢者のめまい疾患への対応法について述べた. |
高齢者のメニエール病 |
武田 憲昭 |
高齢者のメニエール病の発症には,高齢者特有のストレスが誘引になっている可能性がある. |
高齢者の良性発作性頭位めまい症 |
小川 恭生ほか |
BPPV症例を若年群と高齢群にわけ比較した.高齢群では若年群に比べ難治例が多かった.めまいが続くとめまいへの不安のため日常生活のQOLを低下させる恐れがある.自然治癒しない症例には積極的に理学療法を勧めるべきである. |
高齢者の前庭神経炎 |
堀井 新 |
高齢者では前庭神経炎を疑う場合でも中枢疾患を念頭におく必要がある.高齢者の前庭神経炎では,加齢による代償不全および続発する不安障害によりふらつきが遷延しやすい. |
高齢者の椎骨脳底動脈循環不全症(VBI)―その特徴と取り扱い方,臨床における問題点について― |
新井 基洋ほか |
椎骨脳底動脈循環不全症(VBI)は診断基準が統一されず,色々な捉え方をしているので,概念を整理する目的で,(1) ヒストリーと症状で診断できる典型的VBI症例と,(2) めまい以外は臨床症状が無いため,末梢性めまいの鑑別が必要であるVBI症例,さらに (3) VBIと誤診しやすい症例を提示した. |
脳血管障害とめまい |
松本 昌泰 |
超急性期治療を推進すべく,「めまい」などの脳卒中疑い症状についてのキャンペーンが広く行われており,「めまい」を訴える脳卒中の臨床的特徴の認識が欠かせない. |
高齢者の慢性ふらつき感について |
大江 洋史ほか |
原因不明であった高齢者の慢性ふらつき感の発生原因を電気生理学的機序より解明.脳内聴覚系神経経路の障害と側頭頭頂葉の平衡機能中枢の電気的易興奮性(hyperexcitability)が一因である. |
糖尿病とニューロパチー |
佐竹 千尋ほか |
糖尿病神経障害による起立性低血圧は末梢性めまいの原因となる.起立性低血圧や低血糖などによるめまいについて述べる. |
高血圧とめまい |
木村健二郎 |
高血圧患者に見られるめまいの原因は多様である.その病態をしっかり把握して対処しなければならない.特に,高血圧にともなう心血管疾患の危険因子は見逃してはならない. |
メタボリックシンドロームとめまい |
島本 和明ほか |
めまいの原因には末梢前庭性と中枢性があるが,メタボリックシンドロームは動脈硬化を介して脳血管障害を増加させ,中枢性めまいのうち脳幹・小脳血管障害,椎骨脳底動脈循環不全によるめまいと関連する. |
高齢者の心因性めまい |
中山 明峰ほか |
高齢めまい患者は症状が慢性化し,難治例になっている場合が多い.再診断,そして抗めまい薬・精神薬の再検討,さらに心理面のケアが必要と考えている. |
高齢者の精神障害とめまい |
渡部 廣行ほか |
高齢者の精神障害の特徴は,症状が非定型的で多彩である.すべての高齢者の精神障害で「めまい」を起こす可能性があり,「めまい」は見逃せない重要な徴候の1つである. |