Ⅰ.治療の取り組み |
光・環境因子による皮膚老化とその対策 |
中村 元樹 |
皮膚老化の原因となる,紫外線やタバコ煙,車の排ガスなどの環境因子の皮膚への作用を仲介しているのが芳香族炭化水素受容体(AHR)である. |
シミ治療(シミの病態と治療法) |
長濱 通子 |
シミといわれる病変は様々あり,良性病変だけでなく悪性病変も含まれている.治療の前にまず悪性病変の有無を見極め,患者のシミの病態を正確に診断し,的確な治療法の提案と患者希望に応じた治療法を選択することが重要である. |
痤瘡治療 |
乃木田俊辰 |
尋常性痤瘡治療ガイドラインの解説と痤瘡治療での美容皮膚科的治療の実際を概説する. |
切らないシワ・たるみ治療 |
石川 浩一 |
切らないシワ・たるみ治療は,ボツリヌストキシン,フィラーなど見た目の即効性に優れた治療と本質的改善を起こす機器治療などを併用して行う. |
Ⅱ.治療のコツ |
ナノ秒レーザーによるシミ治療のコツと注意点 |
秋田 浩孝 |
良性のシミ(顔面色素斑)に対するナノ秒(Qスイッチ)レーザーによるシミ治療のコツと注意点を他治療との違いを含め解説した. |
ピコ秒レーザーによるシミ治療のコツと注意点 |
宮田 成章 |
ピコ秒レーザーによるシミ治療においては薄い色調に有効,PIHの発生が少ないなどの利点がある.また,様々な波長を用いて従来にない多様な治療も可能である. |
脱毛レーザー |
葛西健一郎 |
脱毛レーザーは,手持ちの機械の操作に習熟し,安全に留意して施行すれば,確実にムダ毛の永久減毛効果が得られる.患者満足度も高く,美容皮膚診療の重要な一分野である. |
蓄熱式レーザー脱毛(super hair removal:SHR) |
有川 公三 |
蓄熱式レーザー脱毛(super hair removal:SHR)の理論とインモーション照射方法について,またカウンセリング時の注意点および副作用出現時の対策について詳述した. |
炭酸ガスレーザー |
神田 弘貴 |
術者に頼らず,正確かつ施術時間を短縮できるスキャナ付き炭酸ガスレーザーの有用性と,各疾患ごとの詳細な手順とコツを解説した. |
IPL治療 |
根岸 圭 |
IPLによる美容皮膚治療は,筆者が提唱する2段階照射法など,いくつかのポイントの工夫で効果と満足度を高めることができるため,リジュビネーション治療のコツを概説する. |
色素レーザー |
河野 太郎 |
色素レーザーのエンドポイントは疾患によって異なるため,出力とパルス幅を調整する必要がある.血管病変の色素レーザー治療において皮膚冷却は必須である. |
フラクショナルレーザー治療 |
中野 俊二 |
フラクショナルレーザー治療の主流はCO2レーザーとピコ秒レーザーの2種類に絞り込まれた感がある.それ以外のフラクショナル治療について概説を行い,上記,2つの方法について詳述した. |
高周波(radio frequency:RF) |
黄 聖琥 |
様々な高周波治療機器のなかで,たるみ治療に有効な6.78MHzの単極型高周波の臨床と,肝斑や酒皶,痤瘡後瘢痕,Skin Rejuvenation効果のあるマイクロニードルRFの臨床について詳述した. |
機器を用いた部分痩身治療―原理と効果についての概説― |
伊藤 史子 |
目覚ましい進歩発展を遂げる非侵襲的部分痩身治療のうち,高密度焦点式の超音波および低出力衝撃波治療機器を中心に,画像と併用療法を織り交ぜながら,効果について概説する. |
超音波 |
宮田 成章 |
超音波によるたるみ治療機器にはHIFUとSUPERBがある.前者は集束超音波でSMASを主に熱変性を生じさせる.後者は集束しない超音波を冷却保護しつつ照射し真皮内を熱変性させる. |
LED(light emitting diode) |
乾 重樹 |
LEDの美容への応用として育毛効果,抗アクネ効果,抗シワ効果,美白効果に対する基礎的メカニズムと臨床的エビデンスを解説した. |
Ⅲ.手技のコツと効果 |
ケミカルピーリング |
戸佐 眞弓 |
グリコール酸ピーリングだけでなくBRA(アスコルビン酸・フィチン酸混合ピーリング剤)の治療の有用性について報告する. |
エレクトロポレーション |
坪内利江子 |
エレクトロポレーションは極めて低侵襲性の経皮的ドラッグデリバリーである.美容目的だけでなく病的皮膚の改善のための手段としても有用である. |
シワ・たるみに対する注入療法 |
今泉 明子 |
ヒアルロン酸製材単体治療,ボツリヌス毒素製剤との併用療法は,シワ・たるみに有効である.本治療は,可逆性であることから美容治療初心者にとって比較的敷居の低い治療である. |
皮下脂肪組織由来幹細胞の皮膚注入によるアンチエイジング |
市橋 正光 |
自家脂肪幹細胞療法は,1回の皮膚注入で数週から数か月後に,シワ,たるみが改善し,毛穴が縮小,若さを回復するだけでなく,二重瞼が鮮明となり,これらの効果は1年以上継続する新しい若返り療法である. |
自己多血小板血漿(PRP)療法による皮膚再生 |
楠本 健司 |
PRP療法は,血小板由来の細胞増殖因子による再生医療である.皮膚の再生に寄与し,シワ・たるみなどに適用される.施術には,厚生労働省への届け出が必須で,リスクを生じる可能性を認識した説明と施術が重要である. |