耳管疾患の診療における世界的な動向 |
大島 猛史 |
慢性耳管狭窄症に対するバルーンによる耳管開大術がトピックである.本邦では耳管開放症に対して耳管ピン挿入術が保険適用された.治療にあたり的確な診断が必須である. |
耳管疾患の診察法 |
遠藤 志織ほか |
耳管機能障害における問診,診察所見に加え,診断にかかわる耳管機能検査(音響法,TTAG法,加圧減圧法)の基礎的な事項について解説する. |
耳管疾患の画像診断 |
吉田 晴郎ほか |
コーンビームCTによる耳管の画像診断は,耳管機能検査に比べ補助的な診断ではあるものの,他疾患との鑑別も同時に行うことができ有用である. |
耳管狭窄症の診断基準と保存的治療 |
髙橋 晴雄 |
耳管狭窄症には狭義のものと広義のものがあり,諸検査では両者を鑑別できない場合もあるため,両者の病態(難治性)や各検査の原理や結果の解釈をよく理解して診断・治療にあたることが重要である. |
耳管狭窄症に対するバルーン耳管開大術(BET) |
大島 英敏 |
バルーン耳管開大術(BET)について,有用性および今後の課題について述べる.BET施行においては,詳細な耳管機能の把握が重要である. |
耳管開放症の診断基準と保存的治療 |
増田 正次 |
耳管開放症を見逃さない,他疾患を開放症と間違えない,この2点に注目した診断のコツを記載した.また,良好な患者-医師関係構築に基づく開放症保存療法フローを提示した. |
耳管開放症に対する耳管ピン手術(Ⅰ) |
池田 怜吉 |
耳管開放症に対する耳管ピン手術をはじめとした手術治療は,保存的治療にて改善しえない症例に対して施行される.耳管ピンは2020年12月より保険適用となった. |
耳管開放症に対する耳管ピン手術(Ⅱ)
―耳管ピン挿入術とその後の対応― |
荒井 真木ほか |
耳管ピン挿入手術施行にあたっては,適応決定や手術手技の他,起こりえる様々な事柄への対応が求められる. |
耳管病態を考慮した鼓膜形成術・鼓室形成術(Ⅰ) |
小林 泰輔 |
術前に耳管狭窄か閉鎖障害かを診断して中耳手術に臨むことは,術後成績を改善するうえで重要である.本稿では症例を提示して,耳管開放症と耳管狭窄症の鑑別を念頭に置いた術前の診断と手術方法について概説する. |
耳管病態を考慮した鼓膜形成術・鼓室形成術(Ⅱ)
―Visible TTAGによる耳管機能障害の評価と中耳手術での対策― |
細田 泰男 |
中耳手術術前の耳管機能をVisible TTAGにて正常,開放,閉鎖不全,狭窄に分類し,それに見合う対策として鼻すすり癖からの脱却,軟骨で補強されたT-tube挿入などの対策を行っている. |
耳管病態を考慮した真珠腫手術(Ⅰ) |
水田 邦博ほか |
鼻すすり癖のある弛緩部型真珠腫のティンパノグラムに基づく術式選択の試み.A型維持例はシンプルな術式で良好な形態を見込めるが,A型以外には鼓室陰圧への対策が必要である. |
耳管病態を考慮した真珠腫手術(Ⅱ)
―Canal Upの立場から― |
山田 啓之 |
中耳・乳突腔を含気化させるための段階的鼓室形成術のポイントについて概説する. |
耳管病態を考慮した真珠腫手術(Ⅲ)
―開放耳管と狭窄耳管の鑑別と対策― |
小林 俊光ほか |
真珠腫の耳管機能不全は単一ではない.鼻すすり真珠腫と非鼻すすり真珠腫,開放耳管と狭窄耳管など,症例ごとの耳管病態を鑑別し,それぞれに適切に対処することで再発防止のみならず術後QOLを向上しうる.鼓膜切開を行った後に耳管機能検査を行うことで,より正確に耳管病態を評価できることがある. |
耳管とメニエール病 |
將積日出夫 |
メニエール病は反復するめまいに聴覚症状を随伴する内耳疾患である.耳管疾患では,耳閉感が主訴となるため,メニエール病との鑑別に注意が必要である. |
上半規管裂隙症候群と耳管疾患の鑑別 |
青木 光広 |
上半規管裂隙症候群は耳管開放症と類似症状を示すが,精査により正確な鑑別診断のもと,手術加療を行うことで完治が可能な疾患である. |
耳管開放症とめまい |
大田 重人 |
めまいを伴う耳管開放症ではSchellong test陽性が多く,自律神経障害を考慮した水分摂取や睡眠改善,ストレス回避などの生活指導を基に治療する必要がある. |
外リンパ瘻と耳管疾患の鑑別 |
李 佳奈ほか |
外リンパ瘻の臨床症状は極めて多彩であり,様々なタイプの難聴・耳閉・めまい・体位による症状の変化・自律神経症状など耳管機能障害と類似した症状がみられ,鑑別には注意を要する. |
耳管開放症と脳脊髄液減少症 |
菊地 俊晶 |
脳脊髄液減少症は,臥位や前屈位で改善することがあり,耳管開放症の鑑別疾患の一つである.また,脳脊髄液減少症(低髄液圧症)の画像所見の一つとして,びまん性硬膜肥厚があり,造影MRIが重要である. |
エキスパートが伝授する耳管疾患診療のコツ(Ⅰ)
―耳管開放症と耳管狭窄症,その移行型の耳管閉鎖不全症の病態と新しい治療法の試み― |
守田 雅弘 |
鼻すすり型耳管開放症などで難しいとされている診断のコツと新しい治療法で,鼓膜チューブ挿入術などと局所点耳併用治療と,耳管鼓膜チューブ手術についても述べる. |
エキスパートが伝授する耳管疾患診療のコツ(Ⅱ)
―耳管開放症と耳管閉鎖不全の診断― |
坂田 俊文 |
耳管開放症や耳管閉鎖不全の診断に大切なことは,病態をイメージしながら自覚症状の詳細な問診と適切な検査を反復することである. |
エキスパートが伝授する耳管疾患診療のコツ(Ⅲ)
―耳管疾患40年間を顧みて― |
山口 展正 |
乳幼児の耳管,高齢者の耳管を理解して耳管疾患を診察するのが望ましい.機能的耳管閉塞(トインビー現象,気圧変動に伴う現象),耳管開放症などを中心に記した. |