I.感染症の検査法 |
細菌,抗酸菌の検査法 |
大野 貴司 |
一般細菌,抗酸菌の塗沫,培養,同定,薬剤感受性検査について概説した.検体の扱いにはバイオセーフティレベルを考慮した扱いが必要である. |
真菌の検査法 |
高原 正和ほか |
直接鏡検法(KOH法),真菌培養・同定が,真菌検査法の中心となる.新しい真菌染色法,キット,分離鑑別用培地などが市販され,より簡易に行えるようになってきた. |
真菌の新たな遺伝子診断 |
河﨑 昌子ほか |
遺伝子診断法は万能ではなく,適応されても必ず同定に至るとはかぎらない.PCR結果にもGenBankデータの利用にも十分注意が必要である. |
ウイルスの検査法 |
本田まりこ ほか |
新しいウイルス検査法として核酸検出法であるLAMP法とウイルス抗原を検出するイムノクロマトグラフィー法を紹介した.いずれも外来で施行できる迅速診断法である. |
リケッチア・梅毒の検査法 |
高橋 英俊ほか |
リケッチア症および梅毒の診断,治療において血清学的反応が重要であり,その推移をみることで診断のみならず治療効果判定に有効である. |
ハンセン病の検査法 |
石井 則久ほか |
ハンセン病の検査はらい菌を検出すること(皮膚スメア検査,病理組織検査,PCR検査)と末梢神経検査(知覚検査,運動検査,神経肥厚検査)が重要である. |
寄生虫・輸入感染症の検査法 |
原 弘之 |
新興・再興感染症,人獣共通感染症やneglected diseases(無視される疾患)などに包含される寄生虫症や渡航先で感染しうる輸入感染症について概説する. |
疥癬の検査法 |
和田 康夫 |
疥癬はダーモスコープ1台あれば診断がつくようになった.しかし適当に探してもヒゼンダニは見つからない.ダーモスコピーの見方とヒゼンダニ探しのコツを述べる. |
II.免疫・アレルギー学的検査法 |
皮膚テスト(パッチテスト,プリックテスト,スクラッチテスト,皮内テスト) |
足立 厚子 |
皮膚テストの判定には,病歴に合致しているか,正しい検査法で正しく判定できているかの確認が必要で,陽性の場合にはアレルゲン除去の指導とともに,代替品の紹介の施行が望ましい. |
光線過敏症に対する検査 |
錦織千佳子 |
光線過敏の自覚があって,遮光が完璧な患者では,初診時の臨床像だけでは分からないこともあるので,光線照射テストが必須. |
薬疹の鑑別と検査法 |
狩野 葉子 |
薬剤添加リンパ球刺激試験は薬疹の病型により陽性を示す時期が異なるので,タイミングを見極めて施行し,その結果の評価を適切に行って原因薬剤を決めることが重要である. |
膠原病の鑑別と検査法 |
藤本 学ほか |
自己抗体の検索は膠原病の鑑別に中心となる臨床検査である.自己抗体による膠原病の鑑別と検査法について,新しい自己抗体を含めて概説した. |
水疱症の検査と鑑別 |
橋本 隆 |
現在,天疱瘡と水疱性類天疱瘡にはELISA法が確立され,診断が容易となっている.そのほかの自己免疫性水疱症においても各種の免疫ブロット法が診断に用いられている. |
III.皮膚病理学検査法 |
皮膚病理組織学検査法 |
清原 隆宏ほか |
皮膚病理組織学は発疹学とともに皮膚科診断学の基礎であり,皮膚科検査法の最も中心に位置する重要な検査である.これを十分理解することは皮膚科医にとって必須である. |
免疫組織化学検査法 |
清原 隆宏 |
免疫組織化学検査は診断のみならず,原発転移の判断や予後の指標としても重要な意味を持つ. |
電子顕微鏡による検査法―免疫電顕を含めて― |
石河 晃 |
電子顕微鏡は腫瘍性疾患の診断,遺伝性疾患の診断に有用であるのみならず,酵素組織化学,X線元素分析,免疫電顕などへ応用することができる. |
生体共焦点レーザー顕微鏡 |
秋山 真志 |
生体共焦点レーザー顕微鏡は,侵襲なく,皮膚内部をリアルタイムに高解像度で観察することができ,得られた画像を3次元構築することも比較的容易な優れた皮膚観察装置である. |
IV.画像・手術による検査法 |
ダーモスコピー |
土田 哲也 |
表皮中心の色素性病変がダーモスコピーの最もよい適応となる.色素性病変の診断には二段階診断法が有用である. |
超音波・血流検査法 |
帆足 俊彦 |
皮膚科領域での超音波エコーとドプラー聴診器の使い方について概説した. |
センチネルリンパ節の同定と転移診断 |
師井 洋一 |
悪性黒色腫の手術療法において,治療のスタンダードとなったセンチネルリンパ節生検について総説した.本邦,海外での現状を報告し,当科で施行した経験を紹介,副作用報告にも言及した. |
サーモグラフィー・皮膚温検査法 |
竹内 聡ほか |
体表面からの赤外線を検出して体温分布を表示するサーモグラフィー検査では,さまざまな血行障害などの診断や経時的変化,また種々の温熱負荷テスト時の評価などに特に有用である. |
V.遺伝子異常と検査法 |
表皮水疱症の遺伝子診断の実際 |
澤村 大輔 |
表皮水疱症の発症機構の概略を理解し,本症特有の診断過程を理解する. |
角化異常症の遺伝子診断の実際 |
高木 敦ほか |
現在まで解明されている角化異常症の原因遺伝子と遺伝子診断の実際について概説した. |
色素異常症,母斑・母斑症の遺伝子診断の実際 |
鈴木 民夫 |
色素異常症および母斑・母斑症における実際の遺伝子診断の手順,および遺伝子変異が病的であることを明らかにする方法について記した.後半は各疾患の最近の知見を述べた. |
腫瘍の遺伝子診断の実際 |
高田 実 |
皮膚リンパ腫,肉腫,色素細胞腫瘍,皮膚付属器腫瘍の遺伝子診断について解説した.多くはまだ実験的なものであるが,将来的に広く用いられる可能性がある. |
毛髪・爪疾患の遺伝子異常について |
齊藤 典充 |
遺伝子異常をきたす毛髪・爪疾患には先天性ばかりでなく,後天性疾患も含まれる.ここでは,代表的な疾患の臨床的特徴と原因遺伝子の異常について概説した. |
出生前診断と遺伝相談 |
柳 輝希ほか |
遺伝性皮膚疾患の出生前診断・遺伝相談について,当科での実施例を紹介しつつ,その診断理論について概説した. |
VI.その他の皮膚機能検査法 |
発汗機能検査 |
横関 博雄ほか |
近年開発された高感度静電容量式湿度センサーと温度補償のできる自己制御回路を内蔵した局所発汗量連続記録装置であるKenz-Perspiro OSS-100,アナログ式携帯型発汗量計(TS100)を主に紹介した. |
角層機能検査 |
菊地 克子 |
角層機能検査は,機器は要するが,標準的検査法を遵守すれば,皮膚機能面での客観的で定量的な指標を得られる.科学的根拠に基づいた皮膚科診療の助けとなるであろう. |
経皮吸収検査と評価法 |
伊藤 正俊 |
経皮吸収の検査は,化学物質の経皮毒性,経皮感作,あるいは外用薬の作用発現機序の解明,副作用の検討に関連する研究として,重要な意義がある. |