病院と在宅をつなぐ 脳神経内科の摂食嚥下障害―病態理解と専門職の視点― 野﨑園子/編著
ISBN:978-4-86519-253-7 C3047
定価:4,950円(税込み)
摂食・嚥下障害リハビリテーション実践マニュアル<増刊号>
藤谷順子/編
978-4-88117-307-7 C3047
2005年9月
mr0057
定価5,238円(税込み)
3営業日内ですぐに発送!
A.評 価 | |
スクリーニングテスト・診察 | 戸原 玄 |
摂食・嚥下障害の診察,スクリーニングは多岐にわたる.断片的ではなく総合的な情報を得るため複数の方法を習得する必要がある. | |
嚥下造影 | 馬場 尊ほか |
VFは変数の多い課題なので,造影剤などは規格化して行うべきである.治療志向的要素が重要なので,嚥下代償法は熟知し,関連職種と共同で行うべき検査である. | |
嚥下内視鏡 | 石井 雅之 |
嚥下評価検査として嚥下内視鏡検査(VE)がある.VEでは,口蓋帆の運動,咽頭と喉頭の観察,喉頭内流入・誤嚥の観察,咽頭・喉頭粘膜の感覚検査を行う. | |
B.訓 練 | |
頸部・体幹・姿勢のコントロール | 太田 清人 |
嚥下・呼吸筋群は嚥下・呼吸運動以外にも働く.嚥下運動だけでなく,呼吸状態や全身の筋緊張など評価しながら頭頸部・体幹,姿勢のアプローチを行うことが重要である. | |
口腔・咽頭機能訓練 | 岡田 澄子 |
機能訓練の優先順位や組み立て方など効果的な訓練を行うためのポイントと,各訓練の適応および具体的な手技について述べた. | |
嚥下訓練・摂食訓練 | 清水 充子 |
食べることを通じて摂食機能の改善を図る摂食訓練では,咀嚼・嚥下機能に合わせた諸条件を整えてステップアップを図る.各職種の連携とリスク管理が重要である. | |
嚥下障害に対するバルーン訓練法と手術治療 | 藤島 一郎ほか |
食道入口部(輪状咽頭部)の通過障害があり,通常のリハビリテーション訓練や代償法が無効な場合にはバルーン法の適応がある.バルーン法は訓練として行い,輪状咽頭部を拡張したり,咽頭収縮と輪状咽頭部の開大のタイミングを調整する方法である.手術を決定する前に行うべき価値のある保存的治療法である. | |
C.疾患への特殊対応 | |
脳血管障害の嚥下障害 | 柳原 幸治 |
脳卒中嚥下障害の発症率はどの時点で評価するかで異なり,安易に予後を判断できない.評価の正確性,治療の真の有効性が必要である. | |
神経筋疾患への対応 | 野崎 園子 |
進行性の神経筋疾患では摂食・嚥下障害の早期からの体系づけた対策が必要である.摂食・嚥下障害対策のゴールは,より良い栄養管理と食の楽しみである.神経筋難病の摂食・嚥下対策の導入により病棟の看護が変わる. | |
重症心身障害児における嚥下障害と全身状態 | 舟橋満寿子 |
重症心身障害児の摂食・嚥下障害は呼吸障害,栄養障害,胃食道逆流などと関連しあっている.摂食・嚥下への直接的訓練だけでなく,全身状態をみながら総合的に治療する必要がある. | |
在宅・通学の嚥下障害児への指導 | 大塚 義顕 |
在宅・通学の障害児にとって摂食時の諸問題は,家族および介護者にとっても重要な課題である.ここでは,療育面でできる基本的な摂食指導のポイントについて解説する. | |
年長児・成人の脳性麻痺症例 | 北住 映二 |
脳性麻痺児者では,加齢により嚥下障害が悪化する例がかなりある.そのような場合の対応の方法のポイントを解説する. | |
D.栄養管理 | |
栄養アセスメントと栄養療法 | 丸山 道生 |
身体計測,血液検査などの日々の診療に役立つ栄養アセスメント法を紹介し,栄養療法の選択には「腸が働いているなら,腸をつかう」栄養法を選択するという基本を述べる. | |
栄養療法のcontroversy―糖尿病・高脂血症・肝障害への栄養補給― | 細川 学 |
病態やストレス,加齢とともに筋蛋白質ならびに内臓蛋白が減少し潜在的なPEMの状態ではADL低下による食事摂取量の低下も加わりPEMはさらに悪化をきたす. | |
E.栄養摂取方法 | |
嚥下障害食 | 河原 和枝ほか |
嚥下機能回復訓練に応じた,食事のステップアップモデルは今まで示されていない.食事らしさも加味した工夫点について解説した. | |
増粘剤(トロミ調整剤)の適切な使用方法 | 大越 ひろ |
トロミ調整食品の特徴とその使用方法について解説したもので,嚥下造影検査への応用例も解説した. | |
経管栄養(経口・経鼻) | 藤森まり子ほか |
間欠的口腔食道経管栄養法の利点および手技と,経鼻チューブ挿入時に嚥下運動を障害せず患者の苦痛を最小限にするチューブ挿入のテクニックを紹介した. | |
食道瘻・胃瘻・腸瘻 | 宮竹 英志ほか |
経腸栄養法の第一選択である経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)の適応と合併症,具体的な管理の方法について解説する. | |
内服の工夫とバリアフリー薬剤・速崩錠 | 並木 徳之 |
嚥下障害の患者さんにとって楽に服薬できる快適なバリアフリー薬剤として,口のなかでスッと溶けるラムネ菓子のような速崩錠やチョコレットについて紹介する. | |
F.リスクマネージメント基礎知識 | |
誤嚥性肺炎の予防・治療と経口摂取の可否 | 佐藤 琢磨ほか |
高齢者の嚥下障害の多くはsubstance Pが低下しており,これを増やすことが誤嚥性肺炎の防止や経口摂取に役立つ.嚥下機能評価法としては嚥下反射テストなどの簡便な方法が望ましい. | |
胃食道逆流症 | 稲田 晴生 |
嚥下障害患者が胃食道逆流症を合併している場合は,逆流性食道炎症状の改善以外に,誤嚥性肺炎防止の観点から治療を進める必要がある. | |
慢性呼吸不全症例における嚥下障害 | 藤谷 順子 |
慢性呼吸不全に誤嚥性肺炎を発症した症例では,急性期および亜急性期呼吸リハビリテーション,廃用に対するリハビリテーション,および嚥下リハビリテーションを併行してすすめることが重要である. | |
気管切開とカニューレの選択 | 堀口 利之 |
気管切開のマネージメント,気管カニューレの種類と選択,気管切開の合併症,カニューレ離脱のためのリハビリテーションおよび気管切開孔閉鎖手順について述べた. | |
口腔内評価と対応 | 岸本 裕充 |
口腔ケアは,嚥下リハビリテーションの一部(間接訓練)として,また誤嚥時のリスク低減に不可欠であり,安全で苦痛のない範囲で良いので,できるだけ早期から実施すべきである. | |
G.摂食・嚥下障害up to date | |
プロセス・モデル | 横山 通夫ほか |
従来の嚥下モデルを整理し,そのうえでPalmerらによるプロセス・モデルを紹介する.さらに我々の新たな知見を加えて今後の研究課題,展望に言及する. | |
咀嚼の科学 | 山田 好秋 |
最新の知識を紹介しているので,少し専門的な内容になっている.食物の物理的処理過程に関しては簡単に記述し,咀嚼中枢および咀嚼力の調節機構についてかなり高度な内容を盛り込んでいる. | |
嚥下の神経機構の解明 | 梅崎 俊郎 |
嚥下に対する理解を深めるために,これまでになされてきた嚥下の神経機構についての研究を,神経生理学的な観点から概説する. | |
嚥下障害の薬物療法 | 清水 隆雄 |
嚥下障害に対する薬物療法のキーワードはsubstance P(サブスタンスP)でありACE阻害薬などの投与によりサブスタンスP濃度が回復することにより咽頭反射が改善する. |