難聴・急性低音障害型感音難聴 |
隈上 秀高 |
急性感音難聴の治療では,ステロイドの種類,投与量,投与方法,投与期間が重要である. |
耳 鳴 |
佐藤美奈子 |
慢性化した耳鳴を受容し,慣れていくために,SSRI系抗うつ薬,BZD系抗不安薬,睡眠薬を用いるが,漫然と投与してはならない. |
めまい―特に小児ならびに高齢者症例への対応― |
肥塚 泉 |
めまいの診断・治療に際しては,年齢による疾病構造の違いへの配慮が必要である.小児では起立性調節障害が最多である.高齢者では中枢性めまいの頻度が高くなる.高齢者に対してはいわゆる“ストレス源”としての他疾患に,罹患していないかどうかを検索することが重要である. |
顔面神経麻痺 |
稲村 博雄ほか |
顔面神経麻痺,特にベル麻痺治療において,HSV-1やVZV再活性化が疑われるような高度麻痺例では,ステロイドに加え抗ウイルス薬を併用することを原則とする. |
成人の中耳炎 |
飯野ゆき子 |
成人の中耳炎,すなわち滲出性中耳炎,好酸球性中耳炎,慢性中耳炎の急性増悪症についての保存療法,とくに薬物療法についてまとめた.治療に抵抗する場合は難治性中耳炎として結核性中耳炎やANCA関連疾患も念頭にいれ,精査する必要がある. |
小児の中耳炎 |
工藤 典代 |
ガイドラインに沿ってAMPCから投与する.改善しなければAMPCやCDTR-PIの高用量,CVA/AMPCに変更する.鼓膜切開も適宜施行する.推奨されている解熱鎮痛薬はアセトアミノフェンのみである. |
アレルギー性鼻炎 |
河田 了 |
アレルギー性鼻炎の治療薬は,ケミカルメディエータ遊離抑制薬,ケミカルメディエータ受容体拮抗薬,Th2サイトカイン阻害薬,ステロイド薬に分類されるが,それらの薬理作用を十分に理解して使用する必要がある. |
副鼻腔炎 |
竹内 裕美 |
副鼻腔炎を急性(細菌性)副鼻腔炎,慢性副鼻腔炎,小児慢性副鼻腔炎にわけ,各疾患に対する治療の概念,治療薬の選択と使い方について解説する. |
好酸球性副鼻腔炎 |
鴻 信義 |
好酸球性副鼻腔炎に対しては,副腎皮質ステロイド薬,Th2サイトカイン阻害薬,抗ロイコトリエン薬などの全身または局所投与が薬物療法の中心となる. |
嗅覚障害 |
三輪 高喜 |
嗅覚障害の治療は原因により異なるため,原因の見極めが重要である.必ずしも「嗅覚障害=ステロイド点鼻」ではない.ステロイド点鼻は少量とはいえ長期にわたる場合には,副作用に注意が必要である. |
味覚障害と舌痛症 |
池田 稔ほか |
最も一般的な味覚障害の治療は亜鉛剤の内服であり,ポラプレジンクがよく用いられる.舌痛症の原因は複雑である.治療には亜鉛剤,唾液分泌の促進薬,抗うつ薬などが用いられる. |
口腔乾燥症 |
市村 恵一 |
ムスカリン受容体作動薬であるピロカルピンとセビメリンの導入により口腔乾燥症の治療効果は著しく改善された.しかし副作用頻度も高いのでその使用法には工夫がいる. |
難治性口腔咽頭潰瘍 |
鈴木 賢二 |
本疾患には初期治療薬として消炎鎮痛薬,局所治療薬の含嗽薬や口腔用ステロイド軟膏が推奨され,ステロイド全身投与は極めて有効であるが安易な使用は勧められない. |
急性扁桃炎 |
小林 一女 |
ウイルス性咽頭・扁桃炎は対症療法を行う.中等症以上の症例では第一選択薬はペニシリンである.重症例にはキノロン薬を用いる. |
急性咽頭炎 |
宮本真理子ほか |
急性咽頭炎は日常よくみられる疾患であるが,その原因は多岐にわたる.各々について臨床像・検査法・治療などを述べた. |
頸部リンパ節炎 |
竹野 研二ほか |
頸部リンパ節炎は比較的診断,治療が容易だが,時に注意を要することがある.症例を呈示し,具体的な問題点を述べる. |
喉頭アレルギー・口腔アレルギー |
平林 秀樹 |
喉頭アレルギーの2大症状は,咽喉頭異常感と執拗な核嗽.治療は抗原の回避,抗アレルギー薬の内服治療,吸入療法,鼻閉例は,ロイコトリエン拮抗薬.口腔アレルギーは,原因食物で生じる口腔,咽頭粘膜のI型アレルギー反応.花粉抗原と摂取した食物抗原の交差反応性により発症.治療は花粉暴露を避ける.原因食物の加熱処理,スプラタスト,ペミロラストカリウムの内服. |
急性耳下腺炎 |
岩井 大 |
3種の耳下腺炎について述べた.各々異なる発生機序を持つが,症状や所見に類似点も認められる.初診時の的確な診断が,その後の治療と早期回復に寄与すると思われる. |
咽喉頭異常感症 |
齋藤 幹ほか |
咽喉頭異常感症に対する投薬は診断的治療としての意味合いを持つため,数週間の投薬を試みた後に投薬方針の再評価を行い,なお症状の改善が見られない場合は診断をみなおす必要がある. |
急性喉頭蓋炎 |
兵頭 政光 |
急性喉頭蓋炎の治療ではペニシリン系またはセフェム系抗生物質の全身投与を基本とし,クリンダマイシンの併用も考慮する.また,ステロイドの併用も必要である. |
逆流性食道炎 |
梅崎 俊郎 |
逆流性食道炎に関連して耳鼻咽喉科領域では咽喉頭酸逆流症(LPRD)が注目されている.治療には生活指導とPPIが有効である. |
真菌症 |
竹野 幸夫ほか |
耳鼻咽喉科領域には,外耳道真菌症,副鼻腔真菌症,口腔・咽頭の真菌症など多彩な真菌症病変が存在している.治療のポイントは原因真菌の特性と感受性に応じて抗真菌薬を正しく選択し,局所処置あるいは手術療法と併用することといえる. |
ウイルス性疾患―外来における抗ウイルス薬の使い方― |
高原 幹ほか |
耳鼻咽喉科領域に発症するウイルス疾患は数多い.本稿では,ウイルス感染全般について概説した後,ウイルス性疾患の特徴と外来診療における抗ウイルス薬を中心とした治療法について概説する. |