Ⅰ.知っておきたい問診のポイント |
1.WEB問診の仕組みと使い方 |
瀬越 昌弘 |
WEB問診とは患者がスマホで入れた問診を電子カルテに取り込むシステムのことである.その仕組み,および医師・患者にとってのメリットについて述べる. |
2.便利な耳鼻咽喉科の問診票テンプレート―OPQRSTとは― |
浦野 正美 |
耳鼻咽喉科診療においては,OPQRSTを意識した問診票テンプレートを使用して,見落としがないように疾患を絞り込んでいく作業が重要である. |
3.小児・親への問診のポイント |
伊藤 真人 |
・問診(診察)は,診察室に入る前から始まっている.
・患児・養育者とコミュニケーションをとり,信頼関係を構築する.
・問診は必要最小限にして時間をかけすぎない.
・ネガティブデータを確認する. |
4.外国人への英語問診のポイント |
野口 佳裕ほか |
外国人患者への英語での診療において最も重要なことは,我々の習った医学用語ではなく一般的な用語(lay terms)を用いることである. |
Ⅱ.診断精度を上げる問診のポイント |
1.急性中耳炎・滲出性中耳炎が疑われる場合の問診のポイント |
工藤 典代 |
乳幼児では症状を的確に伝えられない.「耳をさわる」ことが耳の異常のサインとなることが多い.問診は診療ガイドラインを念頭におく.耳痛,難聴,耳閉感などの症状を中心に問診し診断,治療に活かせるようにする. |
2.慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎が疑われる場合の問診のポイント |
白馬 伸洋 |
幼少時期からの中耳炎や鼻疾患の既往,耳漏開始の時期や頻度,性状に加えて,鼻すすりの癖や鼓膜穿孔の有無などについて問診することが重要である. |
3.突発性難聴・急性低音障害型感音難聴が疑われる場合の問診のポイント |
吉田 忠雄 |
急性感音難聴をきたす疾患は数多く存在するが,突発性難聴や急性低音障害型感音難聴の疾患の特徴をよく理解し,適切な問診を行うことが重要である. |
4.騒音性難聴・加齢性難聴が疑われる場合の問診のポイント |
田渕 経司 |
騒音性難聴,加齢性難聴は騒音曝露歴や難聴の経過などの詳細な病歴の聴取と聴力検査の確認,さらに他疾患を除外することで診断されるため,問診が診断のキーポイントとなる. |
5.メニエール病が疑われる場合の問診のポイント |
五島 史行 |
メニエール病の最新の診断基準を提示した.鑑別診断として前庭性片頭痛を挙げ,診断のキーとなる問診ポイントについてまとめた. |
6.BPPV,PPPDが疑われる場合の問診のポイント |
堀井 新 |
BPPVではめまいの性状,誘発因子,持続時間,聴覚症状に関する問診票,PPPDでは3つの誘発因子(立位・歩行,体動,視覚刺激)に関する問診票が診断に有用である. |
7.顔面神経麻痺が疑われる場合の問診のポイント |
藤原 圭志ほか |
顔面神経麻痺を疑った際には,随伴する症状に関して,鑑別診断のための情報,治療に影響を与える因子についてポイントを絞って問診を進める必要がある. |
8.アレルギー性鼻炎が疑われる場合の問診のポイント |
河内 理咲ほか |
アレルギー性鼻炎は通年性と季節性に大別されるが,それぞれが持つ特徴を理解し,有効な問診を行うことが重要である.詳細な問診は的確な診断や治療につながる. |
9.慢性副鼻腔炎が疑われる場合の問診のポイント |
渡邊 荘ほか |
問診のポイントとしては罹病期間,鼻漏の性状,鼻閉の程度,後鼻漏,嗅覚障害,頭痛・頭重感・顔面痛,アレルギー疾患の既往,その他の既往歴・生活歴が重要である. |
10.鼻出血に対する問診のポイント |
都築 建三 |
鼻出血の原因,出血部位,重症度を推測できるように問診する.年齢,性別,鼻出血の状態,併発する症候,既往歴とその治療歴,患者背景について問診する. |
11.嗅覚障害に対する問診のポイント |
森下 裕之ほか |
嗅覚障害の診療における問診の重要性は高く,的確な問診を行うために,嗅覚障害の病態と原因疾患の特徴の理解が必要である. |
12.味覚障害に対する問診のポイント |
田中 真琴 |
味覚障害に対する問診では,発症機転,病悩期間,持病の有無,常用薬の確認,ストレスの有無,食事の習慣などを聞き取ることが重要である. |
13.扁桃周囲膿瘍・急性喉頭蓋炎が疑われる場合の問診のポイント |
濵本 真一ほか |
扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎はしばしば遭遇する急性感染性疾患である.致死的な合併症を生じることがあり,迅速な診断や的確な初期治療が重要である. |
14.扁桃病巣感染症・慢性扁桃炎が疑われる場合の問診のポイント |
高原 幹 |
TIASを構成する疾患によって問診のポイントは異なる.各疾患について解説する. |
15.睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合の問診のポイント |
菊池 淳 |
耳鼻咽喉科診療所における睡眠時呼吸障害診療において,問診の要点を述べる.成人と小児に分け,病識の低い患者から要点を聞き出す工夫を整理した. |
16.発声障害に対する問診のポイント |
讃岐 徹治 |
発声障害の中で機能性発声障害,変声障害,心因性発声障害,痙攣性発声障害および音声振戦症の診断を行ううえでの問診のポイントを解説した. |
17.嚥下障害に対する問診のポイント |
田中加緒里 |
要因が多岐にわたり,病態が複雑になることが多い嚥下障害であるが,丁寧に問診をして的確な検査オーダーを行い,速やかな診断,介入を行う必要がある. |
18.頭頸部腫瘤に対する問診のポイント |
岸野毅日人ほか |
頭頸部腫瘤の問診につき,発生頻度の異なる3つの年齢層に分け,それぞれについて診断の一助となるよう項目を細分化しキーポイントを列記する. |