廃用症候群を吟味する―無動・不動,低活動,臥床の影響の理解と予防―
田島文博/編
978-4-88117-322-0 C3047
2006年10月
mr0072
定価2,619円(税込み)
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用語としての廃用症候群 | 美津島 隆 |
身体の不活動状態に起因した二次的に発生する身体および精神機能障害に対する用語として欧米においては統一した用語が用いられていないが,日本において廃用症候群という用語が一貫して用いられている.その用語の変更に当たっては慎重に議論を重ねる必要があろう. | |
無動・不動による影響 | 佐浦 隆一ほか |
無動・不動による筋萎縮,拘縮,沈下性肺炎,精神的荒廃などの廃用症候群は互いに増悪因子となり,生命を脅かす致死的障害である. | |
低活動による影響 | 伊藤 修ほか |
低活動は全身臓器の機能低下,能力低下をもたらし,廃用症候群となり,内部障害や運動機能障害がさらに悪化するという悪循環に陥りやすい.また,廃用症候群は,心理面やQOLの悪化をもたらす.このような悪循環に陥るのを予防し,断ち切るためには,積極的に運動を行い,フィットネスを維持・向上させることが重要である. | |
臥床による影響 | 中村 健 |
臥床による影響は,身体における長軸方向の重力負荷の低下が原因となって起こる.この重力負荷の低下は,心肺機能,循環調節機能,筋,骨などに対し悪影響を及ぼす. | |
廃用による筋力低下のメカニズム | 柳 東次郎ほか |
廃用性筋力低下および筋萎縮の病態を,最近の知見も交えミクロとマクロ両方の視点から論述した.また臨床で目にするベッドレストや骨関節障害と脳卒中患者の筋萎縮の特徴と,その予防に不可欠な生活指導についても言及した. | |
廃用筋萎縮への取り組み | 志波 直人 |
廃用予防では,早期に運動療法を開始し,離床,荷重を心がけ,有酸素運動をいかに根気強く継続させるかという点が重要である. | |
長期臥床が循環機能に及ぼす影響―起立性低血圧症を中心に― | 後藤 正樹ほか |
長期臥床は循環機能に様々な影響を及ぼし,起立性低血圧を引き起こす. | |
長期臥床による骨粗鬆症発生のメカニズムと予防 | 上好 昭孝ほか |
長期臥床から四肢・躯幹骨への非荷重・不動で,破骨細胞の活性化とそれに続く骨芽細胞の機能低下というアンカップリングがもたらされ骨粗鬆症が生じる.この骨代謝を理解するにはメカノスタット理論や臥床実験,微小重力環境下スペースシャトルの研究成果が役立つ. | |
低活動による要介護予防への総合的取り組み―松本市熟年体育大学の試み― | 能勢 博ほか |
「産・官・学・民」が連携して,介護予防のためのITネットワークによる「遠隔型個別運動処方システム」を開発した.その効果はマシンを使用した運動処方に匹敵する. | |
脳血管障害者における臥床の危険性と対策 | 江西 一成 |
脳血管障害者には,リハビリテーション遂行中にもかかわらず臥床から生じるものと同種の問題を生じる危険性がある.その対策として,抗重力位姿勢を中心とした運動療法が重要となる. | |
離床・低活動による循環調節予防と治療における理学療法士としての取り組み | 芝 寿実子ほか |
離床を促すには,姿勢変換時や運動時の循環応答を理解することが重要であり,圧受容器反射や自律神経バランスによる血圧調節のメカニズム理解が重要である. | |
活動性と免疫系 | 古澤 一成ほか |
リハビリテーション医療に携わる者は,運動によってヒトの免疫機能も変化することを知っておく必要がある.本稿では,他の運動免疫学のレビューでは取り上げられていない脊髄損傷者に関する知見も紹介した. |