転倒予防実践マニュアル<増大号>
飛松好子/編
978-4-88117-315-2 C3047
2006年4月
mr0065
定価4,243円(税込み)
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I.転倒を取り巻く社会情勢 | |
転倒の医療経済に及ぼす影響 | 林 泰史 |
高齢者に生じる骨折は骨粗鬆症が原因となっているが,骨粗鬆症は老化現象でなく治しうる病気であるとの認識に匹敵するぐらい重要なのが転倒を防いで骨折を減らす思考である. | |
疫学的見地からみた高齢者の転倒 | 鈴木 隆雄 |
地域高齢者あるいは施設高齢者における転倒発生の頻度,結果,および最も重篤な大腿骨頸部骨折について疫学的データを中心に述べた. | |
「運動器の10年」世界運動と高齢者の転倒 | 萩野 浩 |
運動器の健康を保つことを目標として「運動器の10年」運動が展開されている.運動器の老化は転倒のリスクを高め,骨折発生率を上昇させる. | |
健康寿命からみた高齢者の転倒 | 辻 一郎 |
健康寿命を延ばすには,大病や事故を予防する,老化のスピードを遅らせる,心身機能を改善するという3つの方法がある.それぞれについて骨折・転倒との関連で整理する. | |
II.高齢者の転倒,いつ,どこで,誰が | |
高齢者はなぜ転倒するか | 数田 俊成ほか |
高齢者では姿勢反射障害は高率に認められ,姿勢調節機能に関連する神経運動器系の加齢変化と歩行メカニズムについて概説した. | |
総合病院における転倒者の特性 | 梅澤 昭子ほか |
総合病院における転倒は高齢者が多く,約半数は入院後2週間以内に転倒している.見当識障害,排尿障害,歩行バランス,体位変換能力の低下が転倒の要因として重要である. | |
回復期リハビリテーション病棟における転倒と対策―脳血管障害片麻痺症例から― | 北岡 保ほか |
転倒は入院1週間以内,病室が多いので,早く患者情報を集め,情報を共有して,早く病室での転倒防止対策を立てることが重要であり,6,7,18時台に多発しているので,勤務体制を考慮する必要がある. | |
転倒と薬物 | 古舘ひとみほか |
転倒事故の原因のなかでも,『服用薬剤』が関連した事例が多く報告されている.そこで,転倒を誘発する薬物について解説し,さらに服用者に対する転倒予防についても論じる. | |
高齢者の転倒と神経内科 | 長岡 正範 |
転倒を繰り返す方では,神経疾患を基礎に持っていないかどうか検討する必要がある.また,神経疾患でも,パーキンソン病や小脳失調症,ポリニューロパチー,筋ジストロフィー,ポリオ後症候群では転倒機序がそれぞれ異なる.その違いを知り予測することは転倒による合併症を予防するうえで大切である. | |
III.転倒者のその後 | |
転倒によって引き起こされる整形外科的外傷の紹介とその治療について | 山本 精三 |
高齢者の転倒による骨折の治療では骨粗鬆症だけでなく心疾患,肺疾患,脳血管障害などの種々の合併症を評価し,早期に日常生活動作を回復できるように援助してゆくことが重要である. | |
大腿骨頸部骨折の予後 | 大井 直往 |
大腿骨頸部骨折の予後を,生命予後,機能予後(impairmentレベル,disabilityレベル),社会的予後,健康関連QOLに分けて筆者自身の研究結果を中心に述べた. | |
骨粗鬆症と転倒 | 上好 昭孝 |
骨折にだけ目を向けるのではなく,転倒後症候群ともいわれる転倒恐怖感に対する心のケアや働きかけが重要である.閉じこもりを防ぐことで,廃用症候群からの悪循環を絶ちきる. | |
転倒後のリハビリテーション | 藤田 博曉 |
高齢者における転倒の要因を確認し,転倒による大腿骨頸部骨折後の高齢者を対象とした「自己トレーニングメニュー」を紹介する. | |
IV.転ばない,ケガしないために | |
転倒予防教室の目指すもの | 武藤 芳照ほか |
「転倒予防教室」の目指すものは,転倒,骨折,寝たきり,要介護状態を予防するとともに,1人ひとりの高齢者が健康で幸福で充実した人生の後半を送ることができるように,支援することである. | |
高齢者に対する筋力トレーニングの留意点と転倒予防に対する効果 | 補永 薫ほか |
高齢者における筋力トレーニングは,適応を判断したうえでストレッチング・バランス訓練とともに若年者と同様の方法で行うことで転倒予防効果が期待される. | |
高齢者の転倒とヒッププロテクター | 原田 敦 |
ヒッププロテクターは,在宅高齢者でのエビデンスはないが,特別養護老人ホームや老人保健施設などの入所者の大腿骨頸部骨折を半減させる. | |
リスクマネージメントとしての転倒予防 | 泉 キヨ子 |
病院施設における転倒のリスクマネージメントについて概説し,開発したアセスメントツールをいくつかの施設で使用した経験や介入方法,転倒者の視点の重要性について述べた. | |
転ばない,転んでもケガしない住宅環境 | 盛田 寛明ほか |
高齢者の自宅内転倒のリスク要因となる住宅設備について,転倒予防につながる住み方の工夫,補助器具の活用,住宅改造の実際のポイントについて解説した. | |
転倒予防に対する地域での取り組み | 畑野 栄治 |
転倒事故は立ち上がり,移乗の際に多い.以上のことより,筆者らは10年以上前からどこでも可能で,簡単で,効果のある立ち上がり運動を指導しており,平衡機能テストの評価でも効果を上げている. |