CRPS type I(RSD)の症状と診断基準 |
浜田 良機ほか |
CRPS type I(RSD)の臨床症状と診断に際して,注目すべき事項は,(1) 先行する外傷や手術の存在,(2) その程度や治癒経過からは説明できない自発痛の存在,(3) allodyniaあるいは痛覚過敏の存在である.そして (1) と (2) の事項に相当する疼痛をみる症例に対しては,CRPS type Iの発症極早期と考えて,CRPS type I(RSD)に対して有効とされている治療を開始すべきである. |
CRPSの診断と治療方針 |
小川 節郎 |
RSDにおける疼痛機序鑑別診断に用いられる薬理学的疼痛機序判別試験とその結果に基づいた治療法の選択について述べた. |
CRPSの治療―早期ステロイド療法とリハビリテーションの役割― |
井関 一道ほか |
CRPS早期診断のポイントは外傷後に遷延する炎症である.炎症症状のある初期CRPSには経口または局所静脈内ステロイド投与による早期治療が有効である. |
CRPSの治療―薬物療法と交代浴の実際― |
戸田 克広ほか |
CRPSの治療として薬物療法・交代浴・理学療法などの組み合わせ治療が望ましい.鎮痛補助薬やノイロトロピンが薬物治療の中心である. |
CRPSの漢方治療―漢方薬治療の実際― |
松村 崇史 |
RSDを「外傷の過大治癒反応」ととらえて,それを生体に有利な方向に調節,利用しながら自己治癒へと導く.そのために漢方薬を活用している. |
CRPSの治療―ブロック療法の実際― |
石橋 徹 |
CRPSの治療は,特に上肢のCRPSであれば,伸筋と屈筋の同時収縮とこわばりの橈側偏位現象から早期診断をして,星状神経節ブロックを始めとする各種の神経ブロックを早期に開始することが求められる. |
CRPSの治療―リハビリテーションを中心としたチーム医療の取り組み― |
藤澤 幸三ほか |
CRPSの治療はチーム医療,チームアプローチの考え方が大切である.まず行うべきことは患者との信頼関係構築であり,これが治療結果を左右する.機能回復だけでなく心理的,精神的サポート支援もリハビリの目的である. |
CRPSの病態と治療―Type2(カウザルギー)に対する全神経切除術― |
射場 浩介ほか |
難治性CRPS症例に対して神経損傷部末梢の全神経切除術を行い良好な長期術後成績を得た.さらに,その病態について考察する. |
CRPSの治療―CRPSの慢性化した疼痛に対する究極の疼痛コントロール― |
柴田 政彦 |
CRPSとは複数の因子が複雑に寄与した病態の総称であり,治療にあたっては個々の症例でどのような因子が重要で修正あるいは治療可能かを判断し対応することが重要である. |
CRPSの診断と治療―精神科的アプローチ― |
久村 正樹ほか |
CRPS/RSDは治療に難渋する疾患といえよう.これはCRPS/RSDに限らないが,このように治療が難しい疾患では,十分なinformed consentを得て身体面の治療にあたる必要がある. |