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PEPARS(ペパーズ) 200

PEPARS(ペパーズ) 200

足を診る―糖尿病足病変,重症下肢虚血からフットケアまで―<臨時増大号>

古川 雅英/編

202

978-4-86519-400-5 C3047

2023年8月

pe0200

定価5,500円(税込み)

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「チームで“足を診る”」を1冊にまとめた集大成!それぞれの職種・立場が持つ知識とコツをあますことなく詰め込みました!

目次

Ⅰ.はじめに
  足病から歩行を守り,生活を護るために 寺師浩人
  日本では超高齢化社会を迎え「足病」が増加している.人生最後まで自身の脚で歩行でき生活できるために「足病」を克服するにはどうすればよいか.
  足(歩行)を守るための仕組み―知っておくべき保険診療―
大浦紀彦ほか
  足病の医療制度には,糖尿病合併症管理料,下肢末梢動脈疾患指導管理加算,下肢創傷処置料・管理料があり,予防・教育,スクリーニング・診断,連携,治療などの診療が包括,制度化された.
  本書書見のための共通語と俚言の解説 古川雅英
  本特集号で大分岡病院のスタッフが担当した部分は大分岡病院創傷ケアセンターの20年の経験を述べており,最新のガイドラインに合致しているとは言い難い.特に頻回に使用する用語について先に説明する.
Ⅱ.糖尿病足病変の治療の実際
  多職種協働のチーム医療 古川雅英
  大分岡病院創傷ケアセンターの多職種協働のチーム医療について成り立ちから現状,入院外来を含めた治療を概説する.
  創傷管理の実際 松本健吾
  神戸分類typeⅠ:除圧はできるかぎりではなく,徹底的に実施しなければならない.
神戸分類typeⅡ:感染管理は切開排膿とデブリードマンが第1選択である.
神戸分類typeⅢ:虚血管理は創治癒する血流が得られるまですべての手段で行う.
神戸分類typeⅣ:創傷外科医と血行再建医がワンチームで治療にあたらなければならない.
  糖尿病性足潰瘍における骨髄炎の診断と治療 藤井美樹
  糖尿病性足潰瘍の骨髄炎の治療のポイントは,①MRI診断に基づく骨髄炎の切除,②骨からの培養結果に基づく抗生剤加療,③足のバイメカニクスを考慮した再建方法の選択,である.
  閉創手術の実際 ①小切断の実際 松本健吾
  足趾の小切断は何が何でも回避しなければならない切断ではない.血管が細く,外傷にさらされやすい足趾は足部の中で創傷発生率が最も高い部位である.よく耳にする最初はちょっとした傷だったのに重症化して足を大きく切ることになってしまうケースの初発症状は,足趾の創傷であることが多い.これを初期段階で適切に処理して悪い芽を確実に摘んでおくことは,大きな切断の有効な予防策でもある.患者のライフステージに寄り沿う覚悟を持ち,歩ける状態の足が最長期間維持されるように,戦略的に小切断手術を計画することが重要である.目の前の傷を1回だけ治癒させることに心を奪われてはならない.
  閉創手術の実際 ②大切断の実際 松本健吾
  足部の治療では血行再建によってどの程度の血流改善を果たしたのかABI検査やSPP検査でチェックされる.一方で,大切断手術時には切断部位の血流チェックがおろそかになりがちである.大切断手術は足部温存治療が失敗した場合の敗戦処理といった感覚に陥るためではないかと推測される.重症虚血下肢では大切断の断端が虚血壊死に陥ることは稀ではない.切断部位の血管径が太いからとチェックを怠ることなく,必ず切断高位での血流を計測し,血流が不足していれば術前に血行再建手術を行ってから手術に臨むべきである.
  閉創手術の実際 ③皮弁による閉創 石川昌一ほか
  糖尿病性足病変に対する遊離皮弁移植の適応,皮弁の選択,包括的高度慢性下肢虚血に対する血行再建(バイパス手術,血管内治療),血管吻合(動脈吻合,静脈吻合),術後管理,手術成績などについて解説する.
  坐骨神経ブロック 石原博史
  比較的容易な手技でありながら,ほぼ全ての足部手術に対応が可能であり,高齢者や基礎疾患を有するハイリスクの症例にも用いやすく,また術後の疼痛管理にも有用である.
  補助療法 ①血液浄化療法の実際 松本健吾
  ・感染炎症や壊死組織が残っている状態ではLDLアフェレーシスによる創治癒効果は得られない.
・あとちょっと血流があればという創傷が対象になる.
・足関節までの血管が少なくとも1本は開通していることが前提条件となる.
・創傷外科医と血行再建医,透析かかりつけ医がワンチームで取り組む治療法である.
・複数診療科間の連携,病院を横断する診療連携には,遠隔連携も有効である.
  補助療法 ②高気圧酸素療法,脊髄神経刺激装置(SCS),フィラピー® 古川雅英
  補助療法として高気圧酸素療法,脊髄神経刺激装置,フィラピー®による遠赤外線療法についてエビデンスと我々の結果について報告する.
  再生医療 ①血管再生治療で行う下肢救済・足病医療 田中里佳
  大血管の治療を行っても微小血管障害により治癒が得られないCLTIに対して血管再生治療が下肢救済の新たな治療選択肢として開発が進んでいる.
  再生医療 ②PRP療法 久道勝也
  PRP療法の有用性は以前から報告されていたが,近年,PRP療法の保険適用や,新しいPRP創傷治療システムが登場するなど,PRP療法がより身近に実施される環境が整ってきた.
  創傷管理における看護師の役割 ①特定行為とは 溝上祐子
  足病医療のニーズは増大することからこれまで以上に創傷管理を行える看護師の養成を推進していくことが重要となり,「看護師の特定行為に係る研修制度」をより活用していくことが推奨される.
  創傷管理における看護師の役割 ②特定行為の実際 松 久美
  外来,入院,在宅支援の場で,多職種と連携しながら看護師特定行為を実施することは,対象者のQOLの向上や,重症化予防,再発抑止につなげることができ,在院日数短縮などの経済的効果を期待できる.
Ⅲ.糖尿病足病変のリハビリテーションの実際
  糖尿病患者の運動器リハビリテーション料の算定 髙島千敬
  令和4年の診療報酬改定により,運動器リハビリテーション料の対象疾患の慢性期の運動器疾患に糖尿病足病変が明記された.早期からの患者支援のための普及促進が必要である.
  歩行維持のために必要な評価 今岡信介
  多面的な評価結果から,歩行維持の可否を判断し,チームで共有してテーラーメイドのプログラムを立案していく.各評価項目は,基本的な内容であるが,糖尿病特有の歩容に起因する創傷発生のリスクを的確に捉えてプログラム立案していくことが重要となる.
  歩行維持のためのリハビリテーション―作業療法士の関わり― 重藤ひかる
  OTの視点から,歩行維持のその先にある生活に焦点を当て介入していく.下肢機能だけではなく,上肢機能や精神・認知機能の状態も把握してリハビリテーションゴールを検討することが重要である.
  歩行維持プログラムにおけるリハビリテーションの実際 工藤元輝
  救肢治療の歩行リハビリテーションの原則のもと,安静度に準じたリハプログラムについて概説する.歩行維持を目標に個別性かつ専門性のあるリハビリテーションが重要である.
  足病変の評価方法とその実際―荷重圧計測・歩行の動的解析・三次元動作解析― 次山航平
  足底負荷量について考察するためのデバイスについて説明した.それぞれの特性を活かしながら評価し,可視化された結果をもとにアプローチや患者教育を行う必要がある.
Ⅳ.再発予防
  装具の実際―フェルトと治療サンダル― 菊池 守
  歩行によって常にストレスにさらされる足潰瘍は装具による免荷(off-loading)が重要となる.フェルトや治療サンダルは安価で加工が容易であるため外来管理での足潰瘍治療で頻用される.
  再発予防のための外来リハビリテーション 今岡信介
  再発予防を目的とした外来リハビリテーションは,重要な役割があり,理学療法士のスキルを十分に発揮できる領域である.足部の関節可動域,身体活動性,フットウェアの確認,生活指導を通して再発のリスクを軽減してくことが可能である.
 
予防手術
菊池恭太ほか
  予防手術の意義は,潰瘍発生リスクを軽減し,潰瘍治療や潰瘍予防にかかる負担を減らすことによって難治性足潰瘍患者のQOLやアドヒアランスに貢献できることにある.
Ⅴ.糖尿病患者のフットケア
  医療現場で行うフットケア―胼胝・鶏眼ケア― 石橋理津子
  フットケアとは単に,問題のある足に短絡的にケアを施すのではなく,その足の問題は何が原因で起きているのか,まずは原因追及を行うことが重要であり,その結果によってケア内容を選考すべきであると考える.また実施する場面では,場所・環境など医療安全・環境感染対策も考慮しつつ実施すべきである.
  装具の実際―義肢装具士によるフットウエア― 岡本敬之
  糖尿病足病変や包括的高度慢性下肢虚血の創傷治療に対し,義肢装具士がどう関わっているか,何に留意してどのようなフットウエアを介入しているのか,などについて解説する.
  爪管理の実際 松本健吾
  ・爪だけを見ていてはいけない,足部全体から内因性の基礎疾患までを把握すること.
・巻き爪および爪白癬をひょう疽の状態に増悪させてはならない.
・重症虚血下肢の状態にある糖尿病患者では,意図的に深爪に管理していくことも検討する.
  爪ケアの考察と技術 今村幸広
  施術が難渋しやすい状態の爪について,爪ケアのプロセスを決定する際に重要となる考察のポイントを解説し,施術症例紹介でその実際を示している.
Ⅵ.遠隔診療
  病院を中心とした連携の実際 伊方敏勝
  下肢救済領域で遠隔連携ソフトを用いることで,専門医不在の施設との連携をスムーズに行える可能性を模索した.多施設でのチーム医療を構築する際に遠隔連携は有用である.
  診療所を中心とした連携の実際 花田明香
  下肢救済専門病院の集学的治療チームと非専門外来や生活の場をつなぐ足専門クリニックにおいて,遠隔連携アプリを活用した診療の実際を紹介する.
Ⅶ.多職種による集学的治療の実際
  創傷ケアセンターでの診療実績 古川雅英
  期間中に大分岡病院創傷ケアセンターに入院加療した対象者の特性とその内容,結果について,後方視的に検討した結果を概説する.

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