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症例から学ぶ膝周囲骨切り術ピットフォールー陥らないために! 抜け出すために!ー

症例から学ぶ膝周囲骨切り術ピットフォールー陥らないために! 抜け出すために!ー

竹内良平/編著

150

978-4-86519-285-8 C3047

2021年9月

0115

定価5,940円(税込み)

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膝周囲骨切り術の実践書ついに登場!
「膝周囲骨切り術」の手術手技は進化し、患者の適応によって複数の手術方法が考案されるなど複雑化してきた。本書では、実際の手術でのピットフォールを回避するために注意すべき点は何か、また陥ってしまった時にはどのように脱出すべきかを、エキスパートが詳説!
ピットフォール回避のポイントは目次でもさっと確認できます。
大ヒットテキスト「ゼロからはじめる! Knee Osteotomy アップデート」(2018年刊)と併せて手元に置いておきたい実践書!

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目次

 1.Open wedge high tibial osteotomy(OWHTO) 
Case1 内側楔状開大式高位脛骨骨切り術後の骨癒合遷延,偽関節 近藤 英司
安田 和則
  手術適応を厳守し,safe zoneでの骨切りを行う.
  外側ヒンジ骨折の有無を膝内旋位単純X線正面像,CTで確認する.
  骨癒合遷延時は,外側プレート固定を考慮する.
Case2 内側楔状開大式高位脛骨骨切り術後の外反変形 近藤 英司
小野寺 純
安田 和則
八木 知徳
  インフォームドコンセントで術後の下肢外反アライメントの理解を得る.
  過外反防止のため,綿密な術前計画を行う.
  剥離した内側側副靱帯は修復を行う.
Case3 Open wedge high tibial osteotomy後の深腓骨神経麻痺
岡崎 賢
  ロッキングプレート遠位スクリューのドリリングの際に,外側皮質を勢いよく貫かない.
  固定性がよいならば遠位スクリューの数本をモノコーティカル固定とする.
  ただし,distal tuberosity tibial osteotomyでのモノコーティカル固定は推奨しない.
Case4 Locking plateの折損―体重過多の強度肥満患者に対し骨切りを行い,早期にplate折損・内反癒合しTKAに至った例―
五味 徳之
  Plateの初期固定強度を過信しない.
  Takeuchi分類Type1のhinge骨折は安定型だが,plateへの負荷は増大するため後療法に注意する.
  初期固定性向上のため,骨切り開大部には気孔率60%のβ-TCP使用が推奨される.
Case5 OWHTOとACL同時再建例の感染―OWHTOとACL同時再建を行い早期に感染を発症,抜釘+創外固定で感染は沈静化するも経時的にOAが再発しTKAに至った例―
五味 徳之
  脛骨内側は皮下組織が薄く,特に痩せている症例の創部管理には厳重な注意が必要である.
  骨癒合が完全に得られていない状態でplateを抜去すると,外反矯正の損失は必ず起こる.
Case6 近位脛腓関節障害―OWHTO術後早期に近位脛腓関節に由来する疼痛を発症したが診断に難渋し,後日腓骨短縮骨切り術を要した例―
五味 徳之
  OWHTOは腓骨骨切りが不要な術式だが,脛骨の外反に伴うストレスは近位脛腓関節に集中し,稀に疼痛を惹起することを認識しておく.
  立ち上がり動作や階段昇降時の外側膝窩部痛の症状に注意する.
 
 2.Hybrid closed wedge high tibial osteotomy(Hybrid CWHTO) 
Case1 脛骨骨切り部で遷延癒合が生じた例―喫煙歴,高度肥満との因果―
藤間 保晶
  喫煙は骨癒合に影響を与える因子であり,術後合併症の観点からも術前の禁煙は必須である.
  高度肥満患者は術後臨床成績が軽量患者に比べ劣るため,術前の減量および意識改革が必須である.
  体重の重い患者では骨切り部の不安定性による遷延癒合回避の点から内固定の追加を推奨する.
Case2 深腓骨神経麻痺,コンパートメント症候群のリスク
藤間 保晶
  腓骨神経麻痺は腓骨骨切り時のみならず,脛骨内固定手技時の深腓骨神経障害も頭に入れておく.
  外側プレート固定時の遠位スクリュー固定の際は深腓骨神経損傷を回避する手術操作を心掛ける.
  筋組織の発達した青壮年,スポーツ愛好家では,コンパートメント症候群の予防から,筋膜縫合を緩くする.
Case3 Under correctionとなる因子について
藤間 保晶
  屈曲拘縮および撮影肢位により膝内反が過小評価されたX線撮影像を用いた術前計画を回避する.
  矯正支点(ヒンジ)を頂点とした楔状切除骨の形状を勘案した術中調整を施行する.
  後方骨皮質,ヒンジ付近の不完全な骨切りおよび骨切り量の不足を回避する.
  プレート固定の際にアライメント矯正を阻害するプレートポジションに注意する.
 
 3.逆V字型高位脛骨骨切り術 
Case1 高度内反変形に対する逆V字型高位脛骨骨切り術 近藤 英司
安田 和則
  術前計画で正確に矯正角度を決定する.
  矯正支点は,膝蓋腱の脛骨付着部内側付近かつ内側顆間隆起から約3cm遠位とする.
  専用ガイドを用いて正確に外側楔状骨片を骨切りする.
 
 4.大腿骨遠位骨切り術 
① Distal femoral osteotomy(DFO)
Case1 Distal femoral osteotomyに潜む「骨・インプラント関連合併症」
中村 立一
  Distal femoral osteotomyの後療法は「急がば回れ」.
  ヒンジは大腿骨外顆の軟骨を損傷しない範囲で,できる限り遠位に設置する.
  術中に骨切り部に適切な圧迫力を加えることによって安定性を獲得する.
② Double level osteotomy(DLO)
Case2 Double level osteotomyにおいて注意すべき血管損傷
竹内 良平
  術前のMRI画像で膝窩動脈の走行を確認すること.
  レトラクターは骨と膝窩筋の間に挿入し,その間に血管の介在がないことを確認すること.
  Open wedge high tibial osteotomyでは遠位スクリューホールのためのドリル操作は慎重に行うこと.
Case3 高度内反変形膝に対するdouble level osteotomyのピットフォール
中山 寛
  大きなjoint-line convergence angleを持つ膝は術後のアライメント変化に注意する.
  神経血管損傷には刃先の動きが小さなボーンソーを使用する.
  ヒンジ骨折の予防には適切なヒンジポイントの設定とボーンソーによる骨切りが重要である.
  抜釘時,軟部組織からの出血,血腫に注意する.
  Double level osteotomyが適応となる膝は術前の筋力が低下しているため,治療期間も長期を要する.患者背景を見据えtotal knee arthroplastyも考慮する.
 
 5.その他の骨切り術 
① Distal tuberosity tibial osteotomy(DTO)
Case1 Open wedge distal tuberosity tibial osteotomy術中にヒンジ骨折(TypeⅢ)を合併し,スクリュー固定を追加した症例 秋山 武徳
仲村 俊介
  Transvers cutでは,ガイドワイヤーの遠位にボーンソーを確実に沿わせながら骨切りする.
  ボーンソーの刃先がカーブし,狙ったヒンジポイントの遠位に向かった場合,ノミで無理に骨切りを進めない.
  ヒンジ骨折(Takeuchi 分類TypeⅢ)を合併した場合,外側からスクリュー固定を追加する.
Case2 Open wedge distal tuberosity tibial osteotomy術後に脛骨粗面が骨折した症例(再手術症例) 秋山 武徳
仲村 俊介
  Descending cutの際,脛骨粗面は1~1.5㎝程度の厚みを残して骨切りする.
  脛骨粗面をスクリュー固定する際,ワッシャーを使用し,必ずbi-corticalで固定する.
  術後の脛骨粗面骨折を予防するため,転倒に注意し,歩行訓練時にはニーブレースを装着する.
Case3 Descending osteotomyの方向が外側後方に向かい,ヒンジ幅が狭くなったために,癒合不全となった症例 秋山 武徳
仲村 俊介
  脛骨粗面からdescending cutまでの厚さは1~1.5㎝とし,1.5㎝は超えないように注意する.
  Descending cutの方向が手元を上げて,前方から後方に骨切りを進めない.
  ヒンジ前後幅が薄くなった場合,術後のリハビリテーションを慎重に進めたほうがよい.
Case4 Open wedge distal tuberosity tibial osteotomyの術後骨幹部骨折
岡崎 賢
  遠位ロッキングスクリューはすべてバイコーティカル固定とする.
  引き寄せスクリューを使用する際にはロッキングスクリューと同じ穴にする(外側皮質に余分な穴を作らない).
  弧状骨切りの外側遠位の角を深く切り込まない.
② Tibial condylar valgus osteotomy(TCVO)
Case5 Tibial condylar valgus osteotomy術後に外側大腿脛骨関節OAを発症した例
米倉 暁彦
  術前のX線下肢変形解析にて変形部位(大腿骨,脛骨,関節内)がどこかを把握する.
  脛骨プラトー形状と内外反ストレスX線像と予想矯正角からtibial condylar valgus osteotomyの適応を判断する.
  外側大腿脛骨関節が適合したら,それ以上の矯正をtibial condylar valgus osteotomyで行うことはできない.
Case6 Tibial condylar valgus osteotomy術後に再内反と脛骨後傾増大を生じた例
米倉 暁彦
  大腿骨遠位部内反合併にはdistal femoral osteotomyを併用し,著明な脛骨近位部内反合併にはopen wedge high tibial osteotomyを併用する.
  プレートは脛骨後方に設置し,長いスクリューの挿入で脛骨内側骨片の沈下を予防する.
  プレート固定が適切でなければ荷重を遅らせる.
Case7 関節不安定性が少ない症例にtibial condylar valgus osteotomyを施行しOAが進行した例
米倉 暁彦
  関節不安定性が少ない症例はtibial condylar valgus osteotomyで矯正困難である.
  過度に強い力で骨切り部を開大しない.
  予想に反してtibial condylar valgus osteotomyでほとんど矯正できない場合はopen wedge high tibial osteotomに術式変更することも検討する.
③ PF関節手術
Case8 膝蓋大腿関節症に対する骨切り術のピットフォール
大槻 周平
  膝蓋大腿関節症の手術は原因を明らかにして,最適な術式選択の組み合わせで対応する.
  解剖学的に良好な膝蓋大腿関節の獲得と,強固な内固定が必要である.
  拘縮予防,軟骨修復のために早期可動域訓練が重要である.
④ 小児の変形矯正
Case9 小児・若年者の変形矯正手術の注意点
阿部 里見
  骨端線が残存する場合,基礎疾患,年齢,身長などを熟慮し,成長に対する予後を推察する.
  主たる骨の変形部位はどこか,変形は一次元的か,下肢長差はあるか,下肢全体を慎重に精査する.
  骨や軟部の延長が必要な時,三次元矯正が必要な時,一期的矯正で神経麻痺が想定される時は創外固定で緩徐に矯正する.
 
 6.注意すべきピットフォールと陥らないためのコツ 
Case1 膝周囲骨切り術後に肺塞栓を発症した例
大澤 克成
  血栓症の既往や家族歴がある場合や,術前の血液検査にて凝固系異常を認める場合には,プロテインS欠乏症などの先天性血栓性素因を疑い精査が必要である.
Case2 膝周囲骨切り術における感染予防
竹内 良平
  手術室では術者は清潔操作に関して率先して実行し,器械出し看護師を含めたすべてのスタッフの教育に努めなければならない.
  手術後の患部の冷却,患肢の挙上は感染を予防するための1つの方法であり,同時に病室の環境にも気を配らなければならない.
  術後の感染を誘発しそうな要因はすべて排除し,手術当日でも危険性を察知したら手術を中止する勇気を持たなければならない.
 
INDEX

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