PEPARS. No.43/2010.7
眼瞼形成手技
―私の常用する手技のコツ―
 
眼瞼の新鮮外傷の治療 森岡 康祐ほか
眼瞼新鮮外傷の初療においては眼瞼の機能と解剖を理解した上で,合併損傷を見落とすことなく,眼瞼に特徴的な修復法を駆使して,整容・機能の両面において良好な結果を得ることが求められる.
眼瞼外傷後の眼瞼変形 吉本 信也ほか
眼瞼の外傷後変形の再建では,姑息的な方法では効果が得られないことが多い.瘢痕は可及的に切除し,皮弁や植皮は大きなものを用いる.術後の固定も重要である.断裂した内眼角靱帯は骨に確実に固定し,上眼瞼挙筋断裂では断端を探し出し,短縮して縫合する.
熱傷眼瞼の再建 百束 比古ほか
眼瞼の熱傷による眼瞼外反は,高度になれば兎眼を引き起こし角膜損傷をきたす可能性があるので,できるだけ早期の植皮による形成を要する.本稿では特にワイヤフレームを用いた眼瞼部の植皮について記述する.
義眼床再建に伴う眼瞼形成 楠本 健司ほか
義眼装用が適応となる代表的病態を挙げ,眼窩,義眼床,眼瞼後葉,前葉の再建と眼瞼細部の再建や義眼の工夫について述べた.
良性および悪性腫瘍切除後の眼瞼再建 田邉 吉彦
眼瞼はやや特殊な組織で,一般の形成外科的な考えから見ると,一寸盲点を衝かれたような方法が奏功する.そうした点を述べている.
悪性腫瘍切除後の眼瞼再建 中西 秀樹ほか
マイクロサージャリーによる眼瞼・眼窩組織の再建では,組織欠損の範囲と再建の最終目的が重要である.遊離皮弁の選択や再建時のコツなどを述べる.
顔面神経麻痺における眼瞼再建 多久嶋亮彦ほか
麻痺性兎眼の症状は,年齢や麻痺の程度によって違いがあるため,数種類の手術方法を単独で,あるいは組み合わせて再建を行う.
成人の眼瞼下垂症手術―部分切開法眼瞼挙筋腱膜前転術― 一瀬 晃洋ほか
部分切開法眼瞼挙筋腱膜前転法は,眼瞼挙筋機能が比較的良好な眼瞼下垂症に対して適応がある.低侵襲で回復が早く,早期の社会復帰が達成可能な術式である.
眼瞼痙攣の治療―人工真皮留置を併用した眼輪筋広範囲切除術― 田中 一郎ほか
眼瞼痙攣の治療法につき解説し,特に眼輪筋広範囲切除術後の外眼角部の陥凹・不整変形予防のための人工真皮留置の有用性につき述べる.
PEPARS. No.42/2010.6
耳介の形成外科
 
耳甲介型小耳症に対する耳介形成術 四ッ柳高敏ほか
遺残耳介の耳甲介,対輪を考慮した肋軟骨フレーム.耳輪と対輪部分での遺残耳介と肋軟骨フレームの連結方法.
先天性耳介変形の非観血的治療の実際 杠  俊介ほか
先天性耳介変形に対する非観血的矯正治療の適応,矯正方法,治療時期,治療期間,予後を各変形別に解説し,今後の課題を挙げた.
副耳・耳瘻孔の手術 徳山英二郎ほか
日常最も接する機会の多い耳介形態異常として副耳,耳瘻孔が挙げられる.当施設での治療方針,および注意点などについて述べる.
埋没耳形成術 吉村 陽子
埋没耳の治療の第一選択は非観血的矯正である.手術は,(1)耳介後面の筋群の処理,(2)対耳輪の折れ曲がりの解除,(3)耳輪癒着の修正,(4)耳甲介の深さの軽減,(5)皮膚の補充方法を考慮する.
立ち耳の治療 永竿 智久ほか
耳介の過度の聳立をその主徴とする,頻度の高い耳介変形である立ち耳につき,手術法を論じる.
折れ耳,絞扼耳輪の形成術 大久保文雄ほか
折れ耳,絞扼耳輪はその中でも比較的単純な形態を示し,治療のコンセプトもわかりやすいが,意外に実際の治療には難渋することが多い.臨機応変に手術手技を駆使し,時には変形を残しても全体のできあがりを考慮することが大切である.
小耳症耳介形成術(永田法の応用) 山本  康ほか
小耳症手術の手順を,当施設での経験による細かいノウハウを加えて解説している.
耳垂の形成術 梅川 浩平ほか
先天性耳垂裂や,外傷,熱傷による耳垂欠損の治療は,古くから様々な方法が報告されている.耳垂ケロイドは,外科的治療を行う場合は後療法が重要である.保存的治療も奏効する.
耳介欠損の再建 相原 正記
外傷や腫瘍切除後など後天性の耳介欠損では,各種の変形が認められる.そのため,一様な手術法は存在しない.そのなかでも有用と思われる主な手術法について概説した.
骨接合インプラントによる耳介エピテーゼ 河奈 裕正ほか
骨接合インプラントによる耳介エピテーゼ治療は,頭蓋内にドリル穿孔させないような計画立案が重要である.
インプラント支持エピテーゼによる小耳症初回手術の
長期経過と今後の展望
中西 雄二ほか
小耳症の手術は術者の能力に左右されシングルオペレーターを基本としている本法の形成外科医にとっての評価はまちまちである.インプラントを支持としたエピテーゼによる再建,いわゆるオッセオインテグレーションサージャリーはドナーの犠牲はなく今後の再建方法としての一法と考えられる.
PEPARS. No.41/2010.5
褥瘡治療のチームアプローチ
 
褥瘡予防に必要なスキンケア 南 由起子
褥瘡予防にも,発生してしまった褥瘡の悪化予防にも,圧迫・ずれの除去と同様,洗浄剤による皮膚の洗浄と保湿,機械的・化学的刺激の除去などの予防的スキンケアが重要である.
体圧分散寝具の種類と適応 松尾 淳子ほか
体圧分散寝具の使用は,外力を予防する重要なケアである.体圧分散寝具の圧分配機能の観点から,日本褥瘡学会の「褥瘡予防管理ガイドライン」に基づいて,体圧分散寝具の選択方法を述べる.
褥瘡の評価―DESIGN-Rの使用方法― 真田 弘美ほか
2008年に発表された,DESIGNの改訂版であるDESIGN-Rは,異なる褥瘡間の比較を可能にしたツールである.DESIGN-Rの改訂ポイント,使用方法,注意点について述べる.
外用剤による褥瘡の保存的治療 安田  浩ほか
褥瘡における外用療法を概説した.外用剤の使用目的に応じた選択には基剤も考慮すべきである.日本褥瘡学会のガイドラインは有用でよい参考となる.
被覆材による褥瘡の保存的治療と予防 高木 尚之ほか
現在多くの被覆材が存在するが,創の状態に応じて被覆材を使い分け適切な湿潤環境を保つことが大事である.各被覆材の特徴および実際の使用法について述べる.
局所陰圧閉鎖療法を用いた褥瘡の治療 大浦 紀彦ほか
局所陰圧閉鎖療法は,創傷に対して閉鎖環境下に陰圧を負荷し,創傷治癒を促進する補助療法である.完成度が高く,保険収載されたV.A.C.®は,臨床の現場で広く使用されていくと期待される.
褥瘡の手術治療 田中 克己
褥瘡ケアにおける手術療法は問題点に対応し,利点を最大限に活かすことで,保存治療をはるかに上回る効果が得られる.
褥瘡の予防,治療におけるリハビリテーションの役割 廣瀬 秀行
リハビリテーション専門職を活用し,そして総合的に廃用性症候群を予防することで,褥瘡の予防や治療をより効率的に行うことができる.
病院における褥瘡対策チームの問題 山本 康弘
褥瘡対策チームは,患者に対し褥瘡専任医師や主治医,皮膚,排泄ケア認定看護師(WOC看護師),管理栄養士,薬剤師などが専門性を発揮し協働することで院内褥瘡発生率の減少に貢献している.
PEPARS. No.40/2010.4
手の外傷
 
腱損傷―屈筋腱新鮮開放性損傷― 沢辺 一馬ほか
屈筋腱断裂に対しては強固な縫合を行い早期運動療法を行うのが主流となりつつあるがその施行には注意を要する.
神経損傷 坪川 直人
神経縫合の成績は可能な限りmisdirectionを少なくすることに尽きる.必ず顕微鏡を用いて,神経断裂部での遠位と近位の神経束funicular patternの同定を行って,正確な神経縫合を行うことが重要である.
手指の骨,関節損傷 石河 利広ほか
骨,関節損傷の治療は,整復,固定,後療法よりなる.そのどれが不十分でも,迅速かつ最大の手の機能回復は得られない.治療法の基本および代表的な疾患について述べる.
皮弁による再建と保存療法による指尖部損傷の治療 福本 恵三
指尖部損傷に対する保存療法と皮弁による再建について述べる.各治療法の利点と欠点を理解して症例に適した選択をしなければならない.筆者が良く用いる皮弁と皮弁手術の注意点を紹介する.
末節切断:再接着 荒田  順
末節切断では末節内で血管の走行が変化するため,切断レベルに応じた血行再建法が必要である.より末梢レベルでの血行再建法が困難な場合は,Brent法,手掌ポケット法,composite graftの適用を考慮する.
切断指再接着術 神田 俊浩ほか
切断指再接着後の機能はPIP関節の可動域をいかに得るかが問題となる.術後PIP関節が伸展不全を生じると良好な機能は得られない.我々が行っている伸展機能を重視した後療法について手術術式も含めて解説した.
Degloving損傷 長谷川健二郎ほか
Degloving損傷の治療には,まずその特徴を十分に理解することが大切である.初期治療にはマイクロサージャリーを応用し,残った浅い皮膚欠損には陰圧閉鎖療法が有効である.
手の熱傷,熱圧挫創 中森 大記ほか
手の熱傷,熱圧挫創について初期治療の対処の仕方,手術,術後の管理について手背,手掌,全周性熱傷に分けて述べた.
PEPARS. No.39/2010.3
実践 慢性創傷の治療戦略
 
慢性の感染性創傷 館  正弘
慢性創傷の感染症は明らかな感染兆候を示さない,critical colonizationの状態であることが多い.創傷面の細菌をコントロールすることが早期の創治癒につながる.
術後縦隔洞炎,胸骨骨髄炎に対する治療戦略 清川 兼輔ほか
病態の急速な進展を防止するためには,迅速な診断が不可欠である.治療のポイントは,適切な全身管理,感染のコントロール,wound bed preparation(良性肉芽の増生),外科的処置(創の開放,デブリードマン,洗浄)である.関連各科との連携が重要である.
慢性放射線潰瘍 柏  克彦ほか
慢性放射線潰瘍の病態と治療戦略について述べた.併せて,実際の症例における問題点についても言及した.
膠原病に伴う皮膚潰瘍の治療 松崎 恭一ほか
膠原病に伴う皮膚潰瘍に特化した局所治療のガイドラインはないが,たとえ体表面の治療とはいえ,ヒポクラテスが提唱した“First do no harm”は全ての治療の鉄則であることを忘れずに,皮膚潰瘍の重症度に応じた治療法を選択することが肝要である.
慢性期における下肢開放骨折の治療戦略 田中 克己ほか
慢性期の下肢骨折の問題点である感染,皮膚軟部組織欠損,骨癒合不全に対しては,病巣掻爬と適切な皮膚軟部組織および骨再建が重要である.
重症下肢虚血
 a) 重症下肢虚血に対する血管内治療戦略 飯田  修
重症下肢虚血に対する血管内治療適応は拡大している.腸骨・大腿動脈においてはナイチノールステントでの治療,膝下動脈領域においてはアンギオサムを考慮した治療戦略が重要である.
 b) 下肢動脈バイパス術 佐藤  紀
今日の慢性重症下肢虚血治療の最大の問題は糖尿病および続発する末期腎不全であり,distal bypassによる血流の改善はすべての治療の前提である.
 c) 難治性糖尿病性潰瘍に対する自己末梢血血管内皮前駆細胞移植 田中 里佳ほか
血行障害を背景として発症する難治性糖尿病性潰瘍に対してバイパス術や経皮的血管形成術などの血行再建術を施行しても治療抵抗性な症例に関しては有効な治療方法がない.近年,このような症例に対して血管幹細胞を用いた再生治療が注目されている.
神経原性足潰瘍 辻  依子ほか
神経原性足潰瘍の治療,再発予防には,創部の除圧を含む足底圧のコントロールと足潰瘍に対する教育が重要である.
慢性創傷の疼痛 松崎 恭一ほか
生理的な痛みは生命活動において不可欠だが,神経回路が可塑的に変化した慢性痛はQOLを低下させる.慢性創傷の治療では創の治癒にのみ焦点をおくのではなく,慢性痛を理解したうえで対応することが求められる.
PEPARS. No.38/2010.2
美容外科手術の前に決めること
 
目と鼻の美容外科の前に決めること 大森喜太郎
重瞼術と鼻の美容外科手術について,それぞれ望ましいと言える形態はあるのか文献的に振り返りながら,これらの手術について手術の前に勘案すべき事柄を述べる.
美容外科手術(二重手術)の前に決めること:
重瞼術 主に切開法について
西山真一郎
一重瞼・二重瞼とは.そして生来の二重の幅とは.術前に気をつけることと,希望する二重の決め方が大切.
出口 正巳
鼻の美容外科手術では,顔のパーツとしての釣り合いから骨格を含めた検討が必要で,インプラントと自家組織移植を効果的に組み合わせた治療を行う.フィラーについては慎重な考えが必要である.
インプラントによる豊胸術 手術の前に決めること 當山  護ほか
乳房は女性の成長で変化し,出産,授乳の役割をもつ.そのため,インプラント豊胸術は加齢変化と術後の乳癌検診などへのバックアップ体制は必須で,若年者への説明と長期フォローは重要である.
豊胸術 高柳  進
豊胸術でよい結果を得るためには,術前の乳房の評価を正しく行うこと,全身とのバランスを考えること,インプラントの選択,インプラント挿入の部位の選択を正しく行うことが重要である.
エイジングフェイス 白壁 征夫ほか
美容外科医にとって患者を選択する能力は手術手技以上に重要な技術である.
私が行っているエイジングフェイスに対する治療戦略の立て方 土井 秀明
エイジングフェイスの治療においては,患者の背景を十分に汲み取った治療戦略を立てる必要がある.患者背景には金銭的な制限はもちろんのこと基礎疾患や仕事,家庭環境までも配慮する必要がある.
PEPARS. No.37/2010.1
穿通枝皮弁マニュアル
 
穿通枝皮弁の歴史 光嶋  勲ほか
穿通枝皮弁の概念は1985年頃にALT皮弁の臨床応用によって本邦で開発され,DIEP皮弁(1989年),GAP皮弁(1993年)などの筋内穿通枝皮弁,筋間中隔穿通枝皮弁,true perforator flapが開発されてきた.
穿通枝皮弁挙上のための超音波検査
―超音波血流計(ドプラ聴診器)と超音波カラードプラ法―
中川 雅裕ほか
超音波カラードプラ検査は,時間がかかり,手技に慣れが必要である.しかし,穿通枝の部位と走行を知ることにより,皮弁挙上の難易度が予想可能であり,術者の心理的ストレスを減少させる.
顔面頚部の穿通枝皮弁 百束 比古ほか
顔面・頚部に作成可能な穿通枝を栄養血管とする皮弁について,我々の考えに沿って供覧する.中には従来,皮下茎弁とされたものや超薄皮弁として作成したものも含む.
前胸部・側胸部・側背部の穿通枝皮弁 三鍋 俊春ほか
Perforator mapを読みこなして,各穿通枝の位置,血行領域,隣接血管との吻合,血行の方向性を理解して穿通枝皮弁をデザインする.
背部の穿通枝皮弁の挙上と応用 関堂  充
胸背動脈穿通枝皮弁,広背筋穿通枝皮弁の挙上には術前の穿通枝の検索,穿通枝の解剖の理解が重要である.解剖および皮弁挙上のポイントについて詳述する.
下腹部の動脈皮弁・鼠径部の穿通枝皮弁の挙上法と臨床応用
―浅下腹壁動脈皮弁(SIEA flap)と
浅腸骨回旋動脈穿通枝皮弁(SCIP flap)―
佐武 利彦ほか
SIEA flapやSCIP flapは,ドナー部への低侵襲手技および術後整容性にも優れ,最も利用価値の高い皮弁に属すると考える.しかし血管解剖の変異や短小口径の血管柄の欠点を克服する必要性がある.本皮弁の挙上法と臨床応用,さらに問題点について報告する.
殿部穿通枝皮弁の挙上と応用 青  雅一
殿部には多数の穿通枝が存在し,デザインを工夫すれば片側の殿部より数回の皮弁挙上が可能である.下殿動脈領域の下外側の穿通枝は筋肉内を走行する部分が長く,長い血管柄が得られる.
大腿部穿通枝皮弁の挙上と応用 櫻庭  実ほか
前外側大腿皮弁の挙上における注意点および,様々な再建術式への適応について具体的な例を挙げて述べた.
下腿の穿通枝皮弁 柏  克彦ほか
穿通枝皮弁は低侵襲な採取が可能であり,下腿の皮弁採取において有用な手法である.利用に際しては,血管バリエーションの存在を念頭に行うことが肝要である.
プロペラ皮弁法 小野 真平ほか
プロペラ皮弁法は(1)島状皮弁で,(2)穿通枝を含んだ茎を軸とし,(3)その軸を中心に回転することで欠損部の被覆,瘢痕拘縮の解除を行う手法である.本法の確立は,穿通枝皮弁術の新たな可能性を引き出し,従来遊離皮弁で再建していた症例の多くが本法で再建可能であることがわかってきた.
超薄穿通枝皮弁 木村 直弘
Thinningを含め皮弁の加工を安全に行うためにはmicrodissectionは必須の操作であり,適切に行えば安全かつ確実性の高い操作であると言える.
無名血管のための微小外科―Half-millimeter Microsurgery― 黒島 永嗣
産官学共同開発により,直径0.2〜1.2mm血管を従来の微小外科と同様に扱えるHalf-millimeter Microsurgeryが実現した.
微小血管吻合のための最新顕微鏡の開発と展望 中村 勝重
従来50倍の倍率を持つ顕微鏡の製作は不可能とされていたが,明るさの問題・焦点深度の問題・拡大した時の像のシャープさの問題を克服し,倍率50倍,解像度9μ以下の高解像度立体視顕微鏡の製品化に成功.