PEPARS. No.22/2008.7
四肢のリンパ浮腫の治療
 
リンパ浮腫におけるリンパ管不全と術後の長期経過 光嶋  勲ほか
リンパ浮腫ではリンパ管の平滑筋細胞の変性と再生によるリンパ還流機能障害が起こり,リンパ管炎によってリンパ管の閉塞消失が起き浮腫が増悪する.予防的または早期吻合術と圧迫の併用療法が有効である.重症例に対しては血管柄付きリンパ管移植などによるリンパ機能再建が必要であろう.
四肢リンパ系のマクロ解剖学 須網 博夫ほか
本稿では形成外科医にとって卑近でないと思われるリンパ管に関する解剖学的研究の歴史を簡単に供覧するとともに,筆者の用いる古くて新しい研究手法とその得られた知見について紹介する.
ICG蛍光リンパ管造影法の実際 緒方  英ほか
インドシアニングリーンを用いた近赤外線リンパ管造影法は四肢浅層のリンパ管評価に優れており非常に簡便かつ低侵襲な検査である.
下肢リンパ浮腫に対するMR Lymphangiography
―ICG蛍光造影法との比較―
佐久間 恒
下肢リンパ浮腫患者の術前評価としてMR Lymphangiography(MRL)を行い,術中ICG蛍光造影法によるlymphatic mappingとの比較を行った.MRL検査の詳細および臨床応用の実際とその有用性について述べる.
リンパシンチグラフィーによるリンパ浮腫の評価 前川 二郎ほか
リンパシンチによりリンパ浮腫の重症度をST I〜Vの5段階に分類した.ST I〜IVの症例ではリンパ管静脈吻合術の吻合部位を術前に予測することが可能である.
IVaS法によるリンパ管静脈吻合―supermicrosurgeryの会得― 成島 三長ほか
リンパ管静脈吻合は,低侵襲で効果的な治療法であるが,スーパーマイクロの技術が必要である.このIVaS法を用いることにより,スーパーマイクロの技術を身につける一助になるよう手技に特化して述べる.
リンパ管静脈側端吻合術 大西 文夫ほか
四肢二次性リンパ浮腫において,残存リンパシステムの犠牲が最小限で,逆流するリンパ液も含めて効率的なドレナージを期待できるリンパ管静脈側端吻合術が有用である.
リンパ管細静脈吻合術 吉村 光生
四肢のリンパ浮腫の治療として,リンパ管静脈吻合術は効果的な手術法である.手術の効果を上げるためには,腰椎麻酔下にて時間をかけ,できるだけ多くのリンパ管を吻合するのがコツである.
リンパ管静脈移植術(MLVI)と圧迫療法後の長期成績 古川 洋志ほか
リンパ管静脈移植術(MLVI)と術後圧迫療法の併用は,その罹患期間や重症度によらず,上肢リンパ浮腫症例に幅広く適応可能で,有効な治療法である.
Untied Stay Suture法によるリンパ管静脈吻合と
リンパ管静脈吻合術の有効性
長谷川健二郎ほか
0.5mm以下のリンパ管静脈吻合にはUntied Stay Suture法が有用であり,その手術手技について紹介する.また,ICG蛍光リンパ管造影法導入後のリンパ管静脈吻合術の成績を評価した結果,70%に有効であった.
リンパ管細静脈吻合の適応―fibrolymphedemaについて― 上田 和毅
線維化の進んだリンパ浮腫症例にリンパ管細静脈吻合が実際にどれだけ有効であるかを,過去10年程の間に行った手術症例をもとに検討した結果を紹介する.
リンパ管細静脈吻合術後の客観的評価の問題点と工夫 井上要二郎
リンパ管細静脈吻合術後の客観的な評価について再現性のある測定法,色素の吻合部通過による開存の確認,術前後のリンパ管シンチによる評価の際の基準点について述べる.
骨盤内リンパ嚢胞に対するリンパ管静脈吻合の応用 岩本  拓ほか
リンパ嚢胞は,リンパ漏やリンパ浮腫および蜂窩織炎などを併発する厄介な術後合併症である.リンパ管静脈吻合のリンパ嚢胞への応用について述べる.
微小循環測定装置を用いた下肢リンパ浮腫の血行動態解析と
手術予後判定
永竿 智久ほか
リンパ浮腫患肢における末梢循環血流は必ずしも健常肢に比較して劣るわけではない.皮下血流はむしろ増加している症例もあり,その場合リンパ管―静脈吻合に対して良好な反応性が期待できる.
PEPARS. No.21/2008.5
皮膚腫瘍 外来治療のコツ
 
脂肪腫 上村 哲司
脂肪腫は,診察によってある程度摘出の難易度が予想される軟部組織腫瘍である.被膜が存在し可動性良好な場合は,整容面から小切開での手術手技が可能である.
神経線維腫(レックリングハウゼン病) 深水 秀一ほか
びまん性神経線維腫(diffuse plexiform neurofibroma)を中心に,病変の大きさ,部位,周囲の皮膚の性状,手術時期について述べた.特に出血のコントロールが重要であることを強調した.
ケロイドと高度肥厚性瘢痕 山脇 聖子ほか
ケロイドと高度肥厚性瘢痕の鑑別のポイントは肉眼的所見にあり,厳密に鑑別したのち,ケロイドにのみ放射線治療を行うべきである.
指趾の腫瘍―巨細胞腫,内軟骨腫,グロームス腫瘍,爪下外骨腫,
粘液嚢腫,血管拡張性肉芽腫―
沢辺 一馬ほか
手指(足趾)には骨,靱帯,腱などの機能の関連する組織と,爪という整容的に重要な組織が存在する.これらの損傷を最小限にし,各々の疾患に合わせた治療が必要である.
深在性血管腫―血管形成不全に対する外来硬化療法― 渡邊 彰二
血管形成不全に対する外来硬化療法の適応・方法につき述べた.硬化療法は対象が異常血管網であるため流出先が正常と異なる場合が多く,造影により全体像を把握して施行する方が安全である.
石灰化上皮腫 齋藤  有ほか
しばしば遭遇する定型的な石灰化上皮腫においては,その診断と治療は比較的容易であるが,非定型例や多発例,巨大化したものなどでは,取り扱いに注意を要する.
尋常性疣贅 原田 輝一
凍結療法のポイントは,(1) 厚い角質の除去,(2) 痛みの生じにくい圧抵の仕方,(3) 疣贅周囲の正常皮膚にも冷却効果を及ぼすことである.難治例には色素レーザー照射法も有用である.
粉瘤・皮様嚢腫 野瀬 謙介
日常の外来診療において遭遇する頻度の高い皮膚,皮下の代表的な嚢胞性疾患について,摘出手術のポイントとコツを述べた.
線維腫 菅又  章
形成外科医が日常的に取り扱うことが多く,診断法や治療法を熟知しておくべき線維腫や線維腫症に関して述べた.
脂漏性角化症・日光角化症・脂腺母斑 西野 健一
脂漏性角化症,日光角化症,脂腺母斑の病理組織学的理解を深めるとともに,各種治療法の特性,合併症について精通した上で治療を行う.また,日光角化症,脂腺母斑は悪性腫瘍発生母地になりうる.
表皮性腫瘍(アクロコルドン,稗粒腫),黒子 安田  浩
アクロコルドン,稗粒腫,黒子の治療法を主に凍結療法,レーザー療法などの非手術的療法について解説した.特に黒子で病理検査を行わない場合は臨床診断力が重要である.
黄色腫,汗管腫 楠本 健司
黄色腫,汗管腫の治療は外科的切除,炭酸ガスレーザーが主流である.黄色腫は脂質異常症の部分症状と考え治療を進めるべきである.
PEPARS. No.20/2008.3
眼の整容外科
 
日本人眼瞼の組織解剖?最新知見? 岩波 正陽ほか
内眼角から外眼角部にかけて日本人の上下眼瞼連続矢状断組織標本を作成し,加齢変化も含めて詳細に検討.別途に上眼瞼横断面標本を作成し瞼板構造を調べた.上下眼瞼の組織形態はミラーイメージでとらえると理解が深まる.
眼瞼の臨床解剖 林  淳也ほか
眼瞼の基本的な解剖,外観(上眼瞼溝,前頭眼瞼溝,下眼瞼溝,瞼頬溝),上眼瞼・下眼瞼の内部構造を示す.眼球運動に伴う眼瞼の動き(上方視,下方視),さらに加齢による変化をみる.
重瞼術(埋没法,部分切開法) 内田源太郎ほか
重瞼術のうち比較的簡便で低侵襲であると考えられている,埋没法および部分切開法(小切開法)について述べた.加えて筆者らが行っているマイクロサージャリーの手技を応用した低侵襲な術式の試行についても述べた.
重瞼術(切開法) 中北 信昭
基本手技として,睫毛側皮下の眼輪筋切除と瞼板固定,翻転眼窩隔膜へのアンカリングについて詳細を述べた.たるみや腫れぼったさ,下垂など様々な症状への対応についても言及した.
睫毛内反症 市田 正成
上眼瞼の場合は,切開法の重瞼術に準じて手術を行い,睫毛が前方に向くようにする.下眼瞼の場合,再発しやすく,切開線の位置と皮下の軟部組織の処理の仕方が重要である.
内眼角形成術 宮本 純平ほか
我々の行っている,Z形成術,half-Z形成術,VM形成術,Mustardé法について述べた.瞼裂狭小症の場合には,後戻りを起こしやすいので,過矯正気味にしておく必要がある.
外眼角形成術(目尻切開手術) 土井 秀明
外眼角形成術において,耳側への瞼裂の延長は,その皮膚平面が正面視軸と平行に近く臨床的な瞼裂拡大効果が得られにくい.挙筋短縮同様,瞼裂高の拡大が効果的である.
眼瞼下垂手術 佐藤 英明ほか
顔面の老化変形の大きな原因のひとつが眼瞼下垂症であるが,その中で,我々が行っている腱膜性眼瞼下垂の手術法を中心に,術前・術中・術後の注意点を紹介する.
除皺術(上眼瞼) 保阪 善昭
上眼瞼除皺術の手術手技は単純にみえるがその手術の目的をしっかりと理解して行うことが重要である.そうしないと患者の希望する結果と一致せず何回も修正手術を繰り返すことになるので,術前のインフォームド・コンセントが重要である.
除皺術(下眼瞼) 福田 慶三
下眼瞼除皺術の効果は皮膚のしわより,目袋や目の下のクマと呼ばれる溝の改善が主体となる.眼窩脂肪をある程度切除した後に眼窩下縁の前面に移動し,眼輪筋の外眼角へのつり上げを行っている.
脂肪注入術 阿部浩一郎
整容目的に行われる眼瞼周囲に対する脂肪注入法は,安全かつ有効でなければならない.
現時点で考えられる最良の方法について,手技と問題点について述べた.
真皮脂肪移植 宇田 宏一ほか
おもに上眼瞼に対する真皮脂肪移植術の実際を症例とともに詳述した.良好な結果を得るためには適応症例をよく選びそれぞれの目的によって移植片の採取部位や大きさを変える工夫が必要となる.
眼瞼の異物 百束 比古
美容目的で異物を注入された場合は診断は容易であるが完全摘出は困難である.事故などで固形の異物が埋入した場合は診断に際してX線撮影・CTのみならず超音波診断やMRIが必要なこともある.
Botulinum toxin A, filler 白壁 征夫ほか
顔面の表情筋には引き上げる筋肉と引き下げる筋肉がいつも綱引きをしている.この解剖学的な特徴を理解してBotox®を行うとしわを伸ばすだけではなく膨らますことも細くすることも可能である.
PEPARS. No.19/2008.1
毛髪治療パーフェクトガイド
 
男性型脱毛に於ける毛髪移植術の歴史と進歩について
―毛髪再建の変遷―
江崎 哲雄
最近,フォリクラー・ユニット理論がクローズアップされ,それに基づいた自然さを強調する植毛法が主流になっている.
新しいフラップ法 加曾利要介
旧来,頭皮の組織性状,血行動態から選択しにくかった皮下茎による前進皮弁,複雑な連結皮弁で整容,機能面も考慮した頭皮一期的再建法を考案したので発表する.
外傷および腫瘍切除後頭皮欠損の再建 吉村  圭ほか
毛髪治療を念頭においた頭皮の再建を行う場合,毛流の乱れを最小限に抑えるということに注意する必要がある.またこの毛流を利用すれば手術痕や禿髪部を目立たなくすることも可能である.
毛包単位移植(FUT)の基本手技 柳生 邦良
FUTは毛包単位ごとに移植する自毛移植の標準的な手術手技である.熟練した手作業による株分けと植え込みが重要である.
FUT生着に影響を及ぼす因子 倉田荘太郎
FUTにおける毛髪再生率の低下を防ぐには,慎重な手術操作とともに分離した毛包組織の適切な環境での保存が重要である.
Choi式植毛器を用いたsingle and bundle hair graftsの実際 石井 良典
FUTをChoi式植毛器を用いて行うことは,東洋人の生理学的な特徴に伴う問題を解決し,頭髪やそれ以外の部位の植毛を行う上で有用である.
眉毛・睫毛の再建 小川  豊
眉毛再建は毛流と毛密度が最重要で,残存眉毛がある場合,まず残存眉毛を使った皮下茎皮弁を考える.
単一毛植毛は全ての眉毛再建に利用できるが毛密度を高めるため,2〜3回の手術を要する.
睫毛再建は眉毛からの含硬毛皮膚移植が第1選択である.
女性型脱毛症の治療的研究 佐藤 明男
女性型脱毛症患者に対してAR遺伝子上のCAGリピート数を測定し疾患との関連性を検討し,さらにミノキシジール外用治療とフィナステリド内服治療の効果を比較検討した.
男性型脱毛症の発症メカニズムと薬物療法 板見  智
毛髪のホルモン感受性は毛乳頭細胞が決定し,男性型脱毛症の発症には毛乳頭細胞に由来するTGF-β1が関与する.
ヘアケア―外用剤を中心に― 岩渕 徳郎
医薬品,医薬部外品ともに科学的有効性データに根ざした育毛料が上市されている.薄毛は毛の細りや毛本数の減少が主な要因と考えられるが,これらに有効な育毛剤について紹介する.
対談
毛髪再建の将来
倉田荘太郎
寺師 浩人