PEPARS. No.6/2005.11
整容面に配慮した皮弁
 
頭皮の再建 小室 裕造
頭皮の再建では,いかに自然な毛髪の再建を行うかがポイントとなる.再建方法には各種局所皮弁や組織伸展法などがあるが,常に毛渦(つむじ)と毛流に注意を払うことが大切である.
外耳の再建 四ッ柳高敏ほか
耳介の部分再建では,後耳介皮膚弁や軟骨皮膚弁など,耳介自体から各再建材料を獲得すること,欠損の状態に応じて臨機応変にそのデザインや術式の選択を変えていくことが重要である.
眼瞼の再建 小川  豊
広範囲の上眼瞼前葉欠損には眼瞼皮弁か外側眼窩皮弁がよい.下眼瞼では回転前進頬部皮弁か皮下茎頬部皮弁を使い,決して瞼縁に直角に近い方向からの皮弁の移動は行ってはならない.
外鼻の再建 岡田 恵美ほか
外鼻各unitとcombination,それぞれの隣接形態とunit原理下再建について検討した.mini,subunitごとの再建,combined unitを用いた修復は自然な形態の再現に有用であった.
頬部の再建 関堂  充ほか
頬部の再建にあたり植皮,局所皮弁,遠隔皮弁,遊離皮弁について適応を述べ,実際の臨床症例を示した.
口唇の再建 上田 晃一
下口唇の全欠損に対して前腕皮弁で再建し,薄筋で口輪筋を再建して顔面神経に縫合し,動的再建を行い良好な結果が得られた.
頸部の再建 難波祐三郎ほか
整容的に配慮した皮弁について,筆者ら自身の考えを述べ,Supercharge付加した局所有茎皮弁,遊離皮弁,腓骨付き遊離皮弁による再建法について症例を提示し解説する.
手の再建 武石 明精ほか
指尖部損傷や手指各部位および受傷形態に応じた皮弁の選択と,適応限界について紹介.手背の再建では,我々が行っている前鋸筋・広背筋筋膜弁による再建術を紹介する.
Expander法による再建(Expanded flap) 竹内 正樹ほか
Expanded flapは,再建部位のみならず,皮弁採取部位の整容面を考慮した再建方法であるが,2回の手術が必要となるため,適応と術前の周到な計画,さらには,合併症の回避が良好な結果を得るためのポイントとなる.
内視鏡下手術による再建 亀井  譲ほか
整容面を考慮した内視鏡下手術,特に組織採取について,その手術手技と注意点について述べた.内視鏡に慣れることが必要で,多くの場面で利用してほしい.
PEPARS. No.5/2005.9
四肢先天異常診療マニュアル
 
総説 栗原 邦弘
四肢先天異常の治療は生来持ち合わせた機能を損なうことなく形態と機能再建を行うことが求められる.
治療時期,治療法の選択のために四肢の発生と先天異常を理解し,正しい診断が望まれる.
合短指症 射場 浩介ほか
合短指症は横軸性形成障害を基盤とした先天異常である.治療目的はつまみと握り動作の獲得であり,主な術式には指間形成術,指延長術,足趾移植術などがある.
橈側列形成障害 岸  陽子
1)Blauth3型をtype Aとtype Bの2型に分類した.
2)Blauth3B型からは母指化術が望ましい.
3)橈骨欠損の場合は,骨延長器を用いて内反手を矯正し,母指化術と centralization を行う.
尺側列形成障害 荻野 利彦
尺側列形成障害の成因,尺骨,手および肘の異常とその組み合わせ,尺側列形成障害により生じる機能障害,手指,手関節,前腕および肘の変形に対する治療.
先天性近位橈尺骨癒合症 普天間朝上ほか
先天性近位橈尺骨癒合症に対して遊離血管柄付き筋膜脂肪弁移植と橈骨骨切り術を用いた分離授動術を20肢に施行し,再癒合例はなく平均87°の前腕回旋運動が可能となった.
Apert症候群の指間分離に関する工夫 築野 真理ほか
Apert症候群の合間の分離の際には末節骨骨性癒合,爪甲癒合を指列とDIP関節安定性,側爪郭再建を考慮する.さらに術後の外観・機能両面から考えて,第1第2中手骨間の十分な開大と,末節骨のトリミングが必要である.
母指多指症 神  裕道ほか
母指多指症の病態と分岐高位に基づく外科的治療法を末節骨型(Wassel1, 2),基節骨型(Wassel3, 4),中手骨型(Wassel5, 6),浮遊型(Wassel7)に分けて述べ,術後の問題点を文献学的考察を中心に述べた.
多指症(母指以外) 牧野 仁美ほか
中央列,および小指多指症の臨床像は多彩で,母指多指症とは異なる疾患であることを念頭に治療にあたることが必要である.
合指症 柳  英之ほか
合指症について,その分類,発生,頻度についての知見とともに,術後の問題点を予防し,良好な結果を得るための手術上のポイントを述べた.
裂手症 黒木 知子ほか
裂手症は欠指の遺残骨により屈曲,斜指変形が成長とともに増悪するため,手術時期はそれぞれの形態に対応して行う.裂隙の閉鎖は指の屈曲運動により隣接指との重なりが起こらないことと,手掌幅(スパン:母・小指幅)が狭くならないことに留意する.
巨指症 砂川  融ほか
巨指症の治療は,周径を十分に減じることが困難で満足できないことも多いが,一般的な手術時期,方法,当科での治療成績,治療方針について記載した.
絞扼輪症候群 岸邊 美幸ほか
多彩な症状を呈する先天異常で,治療は個々の症例に応じて計画を立て,様々な形成外科的手技を駆使して治療にあたる必要がある.今回は基本的な絞扼輪の修正と合指(趾)の分離を中心に手術手技を紹介する.
PEPARS. No.3/2005.5
末梢神経再建―up date―
 
再生医学的手法を用いた末梢神経再生 太田 正佳ほか
人工材料による末梢神経再生に求められる条件とは何か?アルギン酸の有用性と再生のメカニズムを理解し,新たに徐放材料や細胞移植の担体としての可能性を確認してほしい.
人工神経移植術を用いた末梢神経生体内再建法 稲田 有史ほか
2002年4月より京都大学再生医科学再建応用分野で開発されたPGA−Collagen tubeの臨床応用が開始され,その現状につき報告する.
再生因子を用いた神経再生 栩木 弘和ほか
広範囲の末梢神経損傷に対する再建アプローチとして,現在は自家神経移植が行われているが,近年は,栄養因子を応用した人工神経の開発が進められている.
神経再生のメカニズムと神経幹細胞移植 石田  治ほか
筆者らは以前から人工神経の開発に取り組んできており,かつてはアテロコラーゲンチューブを開発した.最近は中枢神経細胞を移植することに注目し,神経幹細胞移植について研究している.今後,臨床応用するには解決すべき問題は多いが,現在行われている基礎実験を基盤として人工神経の開発に寄与したい.
神経移植による陰茎海綿体神経再建 宗内  巌ほか
腓腹神経移植による陰茎海綿体神経再建術の手術手技を解説するのに加え,我々の初期の治療成績(短期)を紹介し,さらに今後の展望についても言及した.
遊離血管柄付き神経移植と有茎神経移植術 光嶋  勲
血行を有する神経移植後のヒトの神経再生は通常の神経移植に比べ劇的に良好である.遊離神経移植で極めて良好な再生が得られる動物実験でのその有効性についての証明は困難であったため臨床応用が遅れた.
高齢者の神経細胞特性と神経再建―加齢による培養神経細胞の特徴― 木股 敬裕
加齢は,神経再生に負の影響を与えている.培養神経細胞における加齢の影響を記述するとともに,高齢者に対する血管柄付神経移植について述べる.
顔面神経麻痺の再建―神経移植と筋移植― 多久嶋亮彦ほか
顔面神経再建の方法は,麻痺の原因,治療の時期によって大きく変わってくる.一次的に即時再建を行う際の手術方針の選択,陳旧性麻痺に対する二次的再建,特に遊離筋肉移植時の移植床神経の選択など,各種の状況に応じた治療方針を取る必要がある.
コンピュータ画像の動的解析による顔面神経麻痺治療経過の
定量的評価法
田中 一郎ほか
Optical Flow法はビデオ撮影画像からのコンピュータ解析による,顔面表情運動の定量的な動的解析システムであり,顔面神経麻痺治療の効果判定に有用な,安価で簡便な定量的評価法である.
神経移行による腕神経叢麻痺の治療 河井 秀夫ほか
筋皮神経への正中神経部分移行術,腋窩神経への橈骨神経部分移行術および肩甲上神経への副神経移行術による肘屈曲機能ならびに肩機能再建術は良好な成績が期待できる.
筋肉移植術による全型腕神経叢損傷の手指機能再建
―Double Muscle法の長期成績と今後の課題―
服部 泰典ほか
Double Muscle法により有用な手指機能を獲得するためには,良好な移植筋の筋力回復と肘関節の動的安定性が必須である.また,再建した手指機能をADLで有効に活用するためには肩関節の機能も重要である.
PEPARS. No.2/2005.3
遊離皮膚移植術の実際
 
植皮術の適応と問題点 岡崎  睦ほか
皮膚・皮下組織の再建法としては,皮膚移植(植皮),有茎局所,有茎遠隔,遊離皮弁移植などがあるが,植皮には他の再建法にはない利点があるので,これを生かした再建を行うことが重要である.
遊離全層植皮の適応と実際 吉田  純
全層植皮,特に PSVN 植皮における手術手技の実際ときれいに生着させるためのコツについて詳説.
分層植皮の適応と実際 百澤  明ほか
求める厚さの植皮片を確実に採取することと,常に血行の良好な移植床を準備することが,分層植皮を成功させるためのキーポイントである.
網状植皮術と切手状植皮術 岡  博昭
切手状あるいは網状植皮術は,少ない採取部から繰り返し採取することが多い広範囲熱傷や難治性皮膚潰瘍への適応が主体となる.しかし整容的には優れた結果を得ることはできない.
手掌・足蹠における遊離植皮術の適応と実際 田中 克己
手掌および足蹠の皮膚は外観上も組織学的にも他の部位に比べて特異的であるため,遊離皮膚移植においても特別な配慮が必要となる.
顔面・頚部における遊離植皮術の適応と実際 村上 正洋ほか
顔面・頚部の皮膚欠損における標準的再建法は遊離植皮であるが,実際に用いる手技は原疾患や再建部位により様々である.本稿ではそれら各々についての再建の進め方を述べる.
人工真皮の適応と実際 黒川 正人
人工真皮は深い皮膚欠損に用いられ,良好な移植床である真皮様肉芽組織が形成されるために薄い分層植皮を行っても術後拘縮が少なく,質感にも優れた皮膚の再建が可能となる.
同種皮膚移植の実際 橋本 一郎ほか
同種皮膚と自家皮膚による混合植皮術は,広範囲熱傷では有用な方法であり具体的な手技を述べる.同種植皮を有効に利用するためその生着と脱落や臨床効果について理解を深める.
培養表皮の現状と移植の実際 相原 正記ほか
培養表皮移植術は,真皮の有無により生着率に著明な差がある.皮膚全層欠損層に対する培養表皮移植成功の鍵は,同種皮膚移植を併用することである.
皮膚移植部と採皮部の術後管理 貴志 和生ほか
分層採皮創は採皮後の dressing が重要である.植皮部,採皮部ともに皮膚付属器が少なくなっているので,軟膏療法などにより保湿することが大切である.