Monthly Book Orthopaedics. Vol.23 No.8
整形外科におけるDVT/PE最新治療
 
深部静脈血栓症の発症メカニズムについて 望月  猛ほか
深部静脈血栓症の病態にはVirchowの3徴および危険因子,血管内皮細胞の働き,血栓形成に至るまでの様々な因子の関与がある.
DVT/PEの診断;その症状から 上野 竜一ほか
DVTやPTEの臨床症状を,患者背景や危険因子,血栓の成因やその状態による病態などとの関連で理解しておくこと,専門家がPTEを疑う際のポイントについて.
DVT/PEの診断;凝固線溶系分子マーカー測定の意義 柳本  繁
診断が困難なDVT/PEを凝固線溶系分子マーカー異常として検出する試みは広く行われてきた.D-dimer検索は非手術例で有用とされるが,手術例でもカットオフ値設定により有用である.
DVT/PEの診断;画像診断 松下 哲尚ほか
深部静脈血栓症や肺塞栓症の診断法としては,超音波検査,静脈造影,造影CT,MRベノグラフィー,RIなどが挙げられ,各画像診断法について近年の進歩を紹介する.
DVT/PEの予防;運動療法・物理療法 玉井 克弥
運動療法(下肢の自動運動)や,物理療法(弾性ストッキングや間欠的空気圧迫法)はDVTの予防として容易に行うことができる.薬物療法などの併用でさらなる予防効果が期待できる.
DVT/PTEの予防;薬物療法 小宅雄一郎ほか
THA・TKA・HFS術後のVTE予防における抗凝固療法について,日本整形外科学会静脈血栓塞栓症予防ガイドラインとACCPガイドライン第8版を軸に解説する.
DVT/PEの治療;抗凝固療法 荒井 悌子ほか
抗凝固療法は静脈血栓塞栓症の治療の第一選択薬であり,ヘパリン,ワルファリンの使用法を熟知しておく必要がある.
DVT/PEの治療;血栓溶解療法・下大静脈フィルター治療 尾林  徹
DVT/PEの治療は,その予防こそが最良の治療ではあるが,発症した場合は早期の診断と重症度に応じた速やかな治療法が選択できれば,予後は改善できる.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.23 No.7
外反母趾の治療
 
外反母趾に必要な解剖学 寺本  司
外反母趾の発症には第1中足骨の捻れが関連し,これに加えて後天的な要因や足部形態などが関与していると考えられる.
外反母趾に対する治療法の選択 奥田 龍三
外反母趾では足部痛の程度や部位を詳細に聴取し,さらに身体所見と画像所見から診断のみならず併存症の有無も確認することが病態の把握に重要であり,治療方針の決定に役立つ.
外反母趾に対する保存治療 倉  秀治
外反母趾に対する保存治療は,手術に先行して広く施行されているが,その効果は未だ明らかではない.これまで報告されている保存治療についての現状をエビデンスに基づいて論述する.
Mitchell変法―中足骨遠位骨切り術― 香取 庸一ほか
手術手技が比較的簡便な本術式は中等度変形例までの良い適応とされるが,重度変形に対しては外側軟部解離術の追加により十分対応可能であり,良好な術後成績が得られている.
中足骨遠位骨切り術―DLMO法― 須田 康文ほか
徒手的に母趾を中間位まで整復可能であれば,DLMO法は重度外反母趾にも適応できるが,中足骨頭を外側に脱転させない,骨切り高位を末梢にしすぎない注意が必要である.
中足骨近位骨切り術
―中足骨近位斜めドーム状骨切り移動術(PODS法)―
高尾 昌人
外反母趾術後の変形再発を予防するためには合併する扁平足を矯正することが重要となってくる.軽度の扁平足を合併する外反母趾に対するPODS法は,外反母趾と扁平足を同時に矯正できる有用な術式である.
中足骨水平骨切り術―Scarf変法― 磯本 慎二ほか
本術式は矯正の自由度が高く様々な変形に対応可能である.固定性が良好であり転位の危険性が少ない.重症の外反母趾にも有効であり,良好な成績が得られている.
Lapidus変法 仁木 久照
第1中足骨外反,回外と同時に短縮を加えたLapidus変法の適応,術前計画,手技,合併症について述べた.Lapidus変法は有痛性胼胝や外側趾変形を伴った重度変形例に対する初回手術として有用である.
外反母趾に伴うMTP関節脱臼に対する手術療法 野口 昌彦
外反母趾に伴うMTP関節脱臼は手術の絶対適応である.陳旧性になるほど整復が難しく早期の手術的介入が望ましい.外反母趾矯正術と中足骨短縮骨切り術の併用が一般的である.
外反母趾手術の合併症―その予防と対策― 早稲田明生ほか
外反母趾手術の合併症の発生を予防するためには,手術手技に習熟し外反母趾発生のメカニズムに加え,母趾を含めた前足部の解剖を熟知して治療に当たることが必要である.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.23 No.6
関節リウマチの画像診断
 
関節リウマチの早期診断のための画像診断が果たす役割
―リウマトイド因子,抗CCP抗体を含めたRA診断―
江口 勝美ほか
生物学的製剤が登場し,早期診断,早期治療そして厳格な疾患活動性のコントロールが重要視されている.自己抗体(RF,抗CCP抗体)や画像(超音波,MRI)検査はRAの診断を予測するのに有用である.また,これらの画像検査による関節の変化は単純X線写真の骨びらんに先行してみられ,関節破壊の進行を予測できる.
単純X線写真における関節リウマチによる関節破壊の特徴 山田 隆之
単純X線写真での関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)に特徴的な骨びらんの形態と発生部位をOAと比較検討し,両者の違いを理解する.MR像と単純X線写真像の成り立ちの違いを知ったうえで両者を効果的に使い分ける.
単純X線所見を用いた関節リウマチの評価法と治療による関節破壊の
抑制効果判定―modified Sharp scoreを用いた評価法―
石黒 直樹
手関節〜手と足部の正面X線写真を用いるmodified Sharp scoreは病態の把握という点で,従来の評価法に比較して初期病変を細かく評価できるが優れ,薬効検定に用いられる.
コンパクトMRIによる関節リウマチの診断とその有用性 住田 孝之ほか
コンパクトMRIは,外来診療においてMRI画像を撮像できる小型機であり,関節リウマチの早期診断,早期予測,治療評価に有用である.
関節リウマチにおける核医学診断の現状と展望
―シンチグラフィ,FDG-PETの応用―
玉木 長良ほか
核医学検査では,関節リウマチの骨破壊情報や活動性炎症所見を適切な放射性薬剤を用いて陽性描出でき,かつ全身検索が容易である.
関節リウマチにおける関節超音波検査の実際 池田  啓
超音波検査は関節リウマチの疾患活動性,ならびに骨病変を同時に評価可能であり,リウマチ診療の質を大きく向上させうる.一方,撮像技術,および所見の解釈には注意を払う必要がある.
関節リウマチにおける呼吸器合併症とその画像所見 徳田  均
MTXや生物学的製剤の導入でRAの診療は大きな転換点を迎えているが,そのなかで改めて呼吸器合併症の重要さがクローズアップされてきた.日常遭遇する各種呼吸器合併症につき症例に則して概説した.
関節リウマチによる頚椎病変の画像診断 加藤 義治
RAの頚椎病変である環軸関節亜脱臼,垂直亜脱臼,軸椎下亜脱臼などは単純X線像で診断されるが,その正確な病態評価にはMRI,CT再構築画像などが必須である.
関節リウマチ手部変形の画像的特徴 岩本 卓士ほか
関節リウマチの手関節,手指における特徴的な変形について,および他の関節炎を生じる類縁疾患との鑑別について単純X線写真を中心に記載した.
関節リウマチ足部変形の画像的特徴 大脇  肇
画像検査の進歩は足部に対しても適用されるべきであるが,荷重部位であることから単純X線写真の重要性は変わらない.MTP関節温存術式における関節破壊術後変化の意外な結果も紹介する.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.23 No.5
スポーツ外傷・障害診療実践マニュアル
 
I.よく遭遇する疾患(代表的疾患)
 筋損傷 向井 直樹
筋損傷には筋挫傷と肉離れがある.肉離れではMRI所見が治療の選択に繋がることがわかり,有用性が高い.重症度によって復帰プログラムが異なるため,客観的で的確な判断が必要である.
 上肢の捻挫(靱帯損傷) 船越 忠直ほか
上肢捻挫(靱帯損傷)の保存加療の適応について総論と各論に分け概説した.不安定性の評価に加え,X線,CT,MRI,超音波などを用いて保存療法の適応を決める必要がある.
 下肢の捻挫(靱帯損傷) 中嶋 耕平ほか
下肢の捻挫として受傷頻度の高い,足関節と膝関節の捻挫(靱帯損傷)の受傷機転,診断,治療について述べた.初期の対応が治療経過に影響するため,適切な診断と治療が必要である.
II.部位別疾患
 肩の外傷 石田 康行ほか
日常診療でよく遭遇するスポーツ外傷である肩関節前方脱臼,腱板断裂,肩鎖関節脱臼の初期治療のトピックスと手術適応について論述した.
 肩の障害 原  正文
肩のスポーツ障害の病態は,筋疲労や筋力低下,関節唇損傷,internal impingement,炎症などである.診察法は,体幹下肢からはじめ,肩関節は理学所見11項目で医学的評価を行う.治療原則は,適切な理学療法を中心とした保存療法である.
 肘の外傷 戸祭 正喜
肘関節のスポーツ外傷における診断と初期治療のポイントと注意点について記述した.
 肘の障害 原田 幹生ほか
野球選手の代表的な野球肘は,内上顆裂離,内側側副靱帯損傷,尺骨神経障害,離断骨性軟骨炎,および肘頭骨端離開・骨端線閉鎖不全・疲労骨折である.外上顆炎は,中高年のテニス愛好家に多い.
 手関節・手の外傷 副島  修ほか
スポーツによる手指外傷の治療に際して,早期復帰可能な治療選択が原則であるが,選手の状況や希望に応じて治療を待機せざるを得ない場合もあり,その間の選手・トレーナーへの指導も重要となる.
 手関節・手の障害 麻生 邦一
スポーツ競技のどのような動作,プレーで障害が生じるのかを考えるべきであり,そのためにはそのスポーツ種目について熟知すること,および手・手関節の機能解剖を理解することが肝要である.
 脊椎の外傷 三原 久範ほか
スポーツによる脊椎外傷には重症例も含まれ,初期治療の是非が予後を大きく左右する可能性がある.スポーツ種目によって好発部位や特徴的な損傷型があるので,治療法を含めて解説した.
 腰椎分離症 竹林 庸雄ほか
腰椎分離症は,発育期の運動選手では40%以上と高率に発症し,偽関節に至る例も少なくない.発症早期であれば骨癒合が期待できるため,腰部伸展時痛などの臨床所見に注意し早期に診断する.
 腰椎椎間板ヘルニア 麻殖生和博ほか
スポーツ選手の腰椎椎間板ヘルニアに対して低侵襲な治療が求められてきた.内視鏡手術は従来法に比べて低侵襲であり,早期リハビリテーションを可能にし,ひいては早期スポーツ復帰を可能にした.
 骨盤・股関節・大腿の外傷 澤口  毅
筋付着部裂離骨折は通常,保存療法で良好な結果が期待できる.骨盤骨折では骨盤輪の安定性が重要である.股関節部の骨折では,骨頭温存と股関節機能の再建が重要である.
 骨盤・股関節・大腿の障害 仁賀 定雄ほか
骨盤・股関節周辺の痛みの診断,治療を行うために必要な鑑別診断のポイントと,器質的な外傷・障害を除外診断したうえで行う鼡径部痛症候群の診断について概説する.
 膝の外傷 王寺 享弘
膝関節のスポーツ外傷では,靱帯損傷,半月板断裂,膝蓋骨脱臼,軟骨損傷などを念頭に置く.外傷性の関節血症ではまず頻度の高いACL損傷を疑い,受傷機序からある程度の診断をすることも必要である.スポーツ外傷では正確な診断のもとで的確な治療を行い,なるべく早くスポーツ現場に復帰させることが肝心であり,かつ選手への精神的なサポートも必要である.
 膝の障害 樋口 潤一
スポーツ障害の診断のピットフォール,スポーツ障害の治療とともに障害予防・再発予防について述べる.
 下腿の外傷・障害 鳥居  俊
下腿は筋区画内圧上昇による急性・慢性のコンパートメント症候群を起こしやすい.跳躍型疲労骨折は骨折の危険があり厳重な管理が必要である.アキレス腱痛は病変のタイプに応じた治療を行う.
 足関節・足の外傷 大関  覚
頻度の多い受傷メカニズムから内返し損傷と外返し損傷に分けて,靱帯損傷,骨折,関節内骨軟骨傷害について述べた.鏡視下手術や小侵襲手術が拡大している.
 足関節・足の障害 熊井  司
足関節・足部にみられる代表的なスポーツ障害について,日常診療で覚えておくべき病態と診断について整理し,治療法の選択について簡単に述べる.
III.特殊な疾患・その他
 上肢の変形性関節症を伴う障害 辻野 昭人
上肢変形性関節症は肘関節に多く,オーバーユースによる一次性関節症と,離断性骨軟骨炎が原因の二次性関節症がある.保存療法にて滑膜炎が軽快すると,競技復帰できる例が少なくない.
 下肢の変形性関節症を伴う障害 池田  浩
膝関節痛を主訴とする変形性膝関節症と半月板損傷が混在している場合,損傷半月板が膝関節痛にどの程度関与しているかを確認する必要があり,そのためには問診,臨床症状,画像所見などから総合的に評価することが重要である.
 子どものスポーツ障害 松浦 哲也ほか
子どものスポーツ障害は骨軟骨障害に特徴がある.保存療法により初期の90%以上,進行期の50%が修復するので,早期発見・早期治療が原則であり,定期的なメディカルチェックが求められる.
 女性スポーツ 瀬尾理利子
女性に捻挫や靱帯損傷が多く,腰痛や下肢の障害シンスプリントや疲労骨折が多い.これらは女性の身体特徴も関与している.Female athlete triad(FAT)について理解し,診察時に早期診断,早期治療に役立てていただきたい.
IV.治療法
 理学療法 竹村 雅裕ほか
近年,エビデンスの報告が増加している腱炎・腱症に対する遠心性エクササイズと,スポーツ現場で重要性が再認識されている体幹スタビリティエクササイズを含め,理学療法で用いられるエクササイズを概説する.
 物理療法 田島 卓也ほか
物理療法は運動療法,薬物療法,装具療法などと同様に,保存療法の中核を担う治療法であり,スポーツ傷害に対しては有効である.物理療法の種類・効果,そして実際の使用法や最新の知見に関して述べる.
 テーピング―上肢 松田 直樹ほか
上肢のスポーツ外傷・障害からの競技復帰においては,リスク回避,機能・能力障害に対する対策としてテーピングを使用する場面は少なくない.そのためには基本的なテーピングについての理解が必要である.
 テーピング―下肢 石山 修盟
下肢に対する基本的なテーピングを,その機能的目的と対応するであろうスポーツ現場で比較的多く見受ける傷害を表記し,その基本となる方法を紹介する.
 装具療法―上肢 中村 和史ほか
上肢装具療法として肩関節,肘関節,手関節に分けて代表疾患ごとに紹介した.装具だけでは早期スポーツ復帰は難しく,適切な理学療法の併用や難治例には手術を検討することも必要である.
 装具療法―下肢 立石 智彦ほか
下肢スポーツ外傷に対する治療法のなかで保存療法が選択されることも多くなってきており,装具療法の利点も知ったうえでの治療方針の決定が,近年スポーツ医には求められている.
 装具療法―腰椎(腰痛対策における) 西良 浩一ほか
スポーツ選手の腰痛管理における保存的治療法では装具療法が欠かせない.我々は,疾患,病態,病期に応じて3種類の体幹装具を使用している.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.23 No.4
感染人工関節の治療
 
感染人工関節の治療における主治医としての責務 園畑 素樹ほか
感染は人工関節手術における,最も大きな合併症の一つである.真摯な姿勢で患者・家族と向き合うことは,主治医の責務であると考える.
人工関節術後感染と生体反応 高木 理彰ほか
遷延性で難治性の感染が成立することもある病原性微生物の侵入に対して,生体は自然免疫,獲得免疫による防御機構で対抗する.自然免疫に属するToll様受容体(TLR)は,感染性人工関節周囲組織でも好中球,単球を中心に発現し,病原性微生物と炎症反応に付随して生じる自己構成成分の双方に反応しながら,感染性人工関節周囲の病態形成に大きく関与している可能性がある.
感染人工関節の鑑別診断 稲葉  裕ほか
感染人工関節の診断において無菌性ゆるみとの鑑別は重要であり,複数の検査結果を総合して判断する必要がある.今後,新しい診断法としてリアルタイムPCR法やPET検査の有用性が期待される.
人工関節置換術に関する抗菌薬の使用方法 西坂 文章ほか
人工関節置換術における予防的抗菌薬の使用方法,治療的抗菌薬の使用方法について解説した.十分な知識のもとに抗菌薬を使用することで感染した人工関節置換術の治療成績が向上することが期待される.
感染人工関節に対する抗生剤含有セメントスペーサー
を用いた感染制御
岡上 裕介ほか
当科における,感染人工関節に対する抗生剤含有セメントスペーサーの使用方法の実際と,感染鎮静化の術前診断における3相骨シンチグラフィーの有用性を紹介する.
初回人工膝関節置換術後の感染に対する予防と治療 新垣  晃
人工膝関節置換術の感染予防では手術適応となる患者選択に注意し,atraumatic手術および手術時間の短縮を重視する.TKA感染のエビデンスが明らかになれば,患者の状態に応じて可及的早期に人工関節の温存・非温存外科的洗浄を行う.
人工膝関節置換術後の感染による難治例に対する治療 佐伯 和彦ほか
TKA術後の感染で,治療に難渋した症例を中心に,その病態,診断,治療を述べた.TKA後に感染の発症を確認した場合には,可能な限り早期に的確な治療を行うことが,その治療が難渋化しない唯一の方法である.
感染人工股関節に対する治療指針と手術手技の実際 近藤 宰司ほか
急性の感染で,骨組織に達していないと判断した場合は,まず関節内抗菌薬投与を行い,無効な場合は速やかに病巣掻爬洗浄を,病巣が限局していると判断した場合は,人工股関節抜去と病巣掻爬洗浄後,一期的再置換を,病巣が広範囲に及んでいる場合は,二期的再置換を行う.
初回人工股関節置換術後の感染に対する治療
―その頻度・早期診断・治療法について―
増田 武志ほか
THA後の感染に関する英語の論文には“devastating”という単語をよく見かける.THAは本来,股関節機能を再獲得するための手術であるが,感染が生じると股関節を“壊してしまう”危険性がある.
感染人工股関節後の骨欠損に対する同種骨による再建法 内山 勝文ほか
感染鎮静化後の再置換術における骨欠損の修復に,同種移植骨を使用した生物学的な再建は有用である.我々は同種移植骨を使用することで,再感染の危険性が上昇するとは考えていない.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.23 No.3
肩甲帯部痛の診療
 
肩こり 篠崎 哲也ほか
肩こりの定義は「後頚部から肩甲部にかけての僧帽筋部における筋緊張感などの総症」である.肩こりには「原発性肩こり」と「症候性肩こり」があり,両者の治療手段は異なることを念頭に置くべきである.
頚肩腕症候群 酒井 昭典
頚肩腕部に痛みや違和感を訴える患者は実に多い.狭義の頚肩腕症候群には作業関連性のものが多く含まれている.肩関節屈曲あるいは外転位で手作業をすると棘上筋内圧が高くなり筋組織に血液循環障害が生じる.
胸郭出口症候群 北村 歳男ほか
胸郭出口症候群の定義および病態,症状および疼痛部位,理学所見,治療について述べた.特に神経の過敏性の評価や症状誘発テストについて解説した.
肩関節疾患に伴う肩甲帯部痛:五十肩(肩関節周囲炎) 橋本  卓ほか
五十肩の定義,腱板疎部における筋線維芽細胞の増生を伴った線維化が拘縮にいたる病理であること,発症にサイトカインやMMPが関与していること,さらに診断,治療法について述べた.
腱板断裂 森原  徹ほか
腱板断裂は,疼痛,可動域制限および筋力低下を認める疾患である.疼痛部位は,罹病期間や断裂部位・形態によって様々であり,肩関節外側部,前方部,上腕外側部に生じることが多い.
スポーツ障害に伴う肩甲帯部痛 筒井 廣明
肩甲帯部痛を呈するスポーツ障害として多い投球障害肩を中心に,損傷に至るストーリー構築のための診断と治療に対する考え方,治療方法を中心に記した.
肩甲帯部痛をきたす末梢神経疾患 西浦 康正
肩甲帯部痛をきたす末梢神経疾患として,神経痛性筋萎縮症,肩周辺の末梢神経障害である肩甲上神経・腋窩神経・長胸神経麻痺などについて概説した.
肩甲帯部痛をきたす頚椎疾患 神保 静夫ほか
頚椎病変から肩甲帯部痛をきたす機序について諸家の報告を基に考察する.頚椎運動で誘発される肩甲帯部痛では頚椎疾患の存在を念頭に,慎重な診察を行うべきである.
外傷性頚部症候群に伴う肩甲帯部痛 小谷 善久ほか
外傷性頚部症候群では頚部痛に加え肩甲帯部痛を伴うことが稀ではない.本症と筋筋膜性疼痛症候群(myofascial pain syndrome)との関連も含めた最近の知見について概説した.
肩甲帯部痛をきたす内科疾患 松本美富士
肩甲帯部に疼痛を訴える,急性ないし慢性の疾患のほとんどが整形外科の対象であるが,多くのリウマチ性疾患や内科的疾患が時に紛れ込んでいることがあり,整形外科診療で注意を要する.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.23 No.2
こだわりの整形外科保存療法―私の工夫―
 
肩関節周囲炎に対する関節拡張法(joint distension) 津田 英一ほか
Joint distentionでは肩関節挙上,内旋マニピュレーションを行い肩甲下滑液包の閉塞を開放する.効果の維持にはホームエクササイズを中心とした理学療法を併用することが有用である.
上腕骨近位端骨折に対する保存療法
―下垂位での早期運動療法について―
石黒  隆
骨折部の適合性が得られ,立位での振り子運動が可能なものに対して受傷後1週から積極的に下垂位での振り子運動を行った.本法により良好な可動域と骨癒合が獲得されている.
橈骨遠位端骨折の背屈位固定による保存療法 高畑 智嗣
橈骨遠位端骨折に対する丁寧な保存療法は成績良好であり,手術を望まない患者の期待に応えるものである.筆者がこだわる積極的保存療法の麻酔,整復,固定,後療法それぞれの工夫を紹介する.
指基節骨・中手骨骨折の早期運動療法 石黒  隆
手の骨折の治療にあたっては,MP関節の伸展位拘縮や腱との癒着を予防することが極めて大切である.筆者が行っているMP関節屈曲位での早期運動療法について紹介した.
舟状骨骨折と保存療法 井上 五郎
新鮮舟状骨骨折はscaphoid castで平均8週間固定すれば,93%の確率で骨癒合が得られる.固定後6〜8週間目のX線写真所見で予後を推測する.
膝OAの膝軟性装具療法 戸田 佳孝ほか
膝OAに対する軟性装具の作用機序は重心動揺の補正であり,前後方向よりも左右方向の動揺を補正する機能のみを有する比較的軽量な装具が優れている.
AKA-博田法による運動器の痛みの診断と治療 住田 憲是
運動器の痛みの全貌はAKA-博田法なしには理解できず,その診断治療には必須のものである.
変形性膝関節症に対する振り子運動療法
―軟骨に負荷をかけずに滑液を潤滑させて治す―
山野 慶樹ほか
障害された関節軟骨に負荷をかけずに,関節液を潤滑させて軟骨温存を促す理にかなった,単純な高齢者にも日常容易に施行できる有用な運動療法である.
骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に対する外来保存療法
(吉良式着脱プラスチックギプス固定法)
吉良 貞伸
骨粗鬆症性椎体圧迫骨折の外来保存療法として,筆者の考案した着脱式プラスチックギプス固定法の手順と留意点について述べる.
慢性腰痛症,腰下肢痛に対するコルセット筋強化療法 浜西 千秋
コルセット筋の日常的な筋力数値評価と,安全な座位でのエクササイズを導入することにより,患者を腰痛とそれに伴う積年の不安から解放することが可能である.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.23 No.1
高齢者橈骨遠位端骨折の治療
 
高齢者橈骨遠位端骨折に対する保存的治療 南野 光彦ほか
高齢者橈骨遠位端骨折は,不安定型で転位が高度であっても,患者の主観的評価は高いため,解剖学的整復位を目指すだけではなく,患者側の諸条件を十分考慮して治療法を選択すべきである.
高齢者橈骨遠位端骨折の治療―掌側ロッキングプレート固定と
ノンロッキングプレート固定との比較―
長田 伝重
掌側ロッキングプレートとノンロッキングプレートとの比較をバイオメカニクスの面,臨床成績の面から比較検討したところ,掌側ロッキングプレートが優れていた.また,DRV Locking Plateの手技についても述べた.
掌側ロッキングプレート固定とnon-bridging型創外固定との比較 坂野 裕昭
不安定型橈骨遠位端骨折に対するnon-bridging創外固定術と掌側ロッキングプレートは,ともに適応の遵守と正確な手術手技にて良好な成績が得られる.
高齢者橈骨遠位端骨折の治療
―リン酸カルシウム骨セメントを用いた治療―
戸部 正博
リン酸カルシウム骨セメントを使用した高齢者橈骨遠位端骨折の治療について言及した.リン酸カルシウム骨セメントは単独では使用困難であり,強固な固定法と早期運動療法が可能な固定法の選択が必須である.
橈骨遠位端関節内骨折に対するfragment specific fixation
―高齢者症例への応用の展望―
金城 養典ほか
橈骨遠位端関節内骨折は,骨折型が多様で罹患年齢も幅広く,症例に応じた固定材料の選択が望ましい.HC50 Universal Radius Plate Systemを用いたfragment specific fixationは,様々な症例に対応することができる有効な治療法である.
橈骨遠位端骨折に対する髄内釘固定法―MICRONAIL®法― 衣笠 清人ほか
高齢者の橈骨遠位端骨折では粗鬆骨に対する固定力と局所に対する低侵襲性に十分な注意を払う必要があり,MICRONAIL®による髄内固定法は両方のバランスのとれた有用な方法である.
高齢者橈骨遠位端骨折に対する鏡視下整復術 安部 幸雄
高齢者の橈骨遠位端骨折における鏡視下整復術の適応,方法,意義について述べた.青壮年ほど厳密ではないが関節面の良好な整復とTFCC損傷への処置は術後疼痛を最小限に抑えることができる.
高齢者橈骨遠位端骨折変形治癒に対する矯正骨切り術
―open wedge osteotomy―
佐藤 和毅
高齢者であっても,関節可動域制限などの愁訴を有し,症状改善へのモチベーションが高い橈骨遠位端骨折変形治癒症例に対し,矯正骨切り術は有用な手術法である.
高齢者橈骨遠位端骨折に合併した三角線維軟骨複合体損傷 森谷 浩治
高齢者の橈骨遠位端骨折に合併するTFCC損傷は慢性手関節痛の原因になりうるため,骨折治療のみに囚われることなく,損傷形態に応じた治療および後療法を選択することが望ましい.
高齢者橈骨遠位端骨折の治療に伴う腱断裂 長尾 聡哉
橈骨遠位端骨折に合併する腱断裂として長母指伸筋腱がよく知られているが,近年掌側プレート固定に伴う長母指屈筋腱断裂の報告も散見される.本骨折を治療する際には腱断裂発症の可能性を念頭に入れる必要がある.