Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.12
手関節部疼痛性疾患―その診断と治療
 
手関節部疼痛性疾患の診断の進め方 池田 和夫
手関節痛の診断においては,まず問診で疾患名を想起し,次に疼痛部位に特異的な疾患を想定しながら,表面解剖から理解される部位の圧痛点を特定していく作業が重要である.
手根骨骨折の診断と治療 副島  修
手根骨骨折は初期治療にて適切な対応がなされず,その後の治療に難渋することが少なくない.手関節周囲の外傷後は常に本骨折の存在を念頭に置き,詳細に局所所見を検索することが重要である.
手根不安定症の診断と治療 松下 和彦ほか
手根不安定症の診断は,徒手検査,各種画像診断により行い,最終的には関節鏡にて確定する.靱帯損傷の程度,受傷よりの期間などにより治療法を選択する.
三角線維軟骨複合体損傷の診断と治療 三輪 啓之ほか
TFCC損傷の診断方法と手術適応,ループ針を用いた独自の鏡視下縫合術の方法と治療成績について述べた.
手関節部絞扼性神経障害の診断と治療 岡島誠一郎ほか
手関節部における代表的な絞扼性末梢神経障害は手根管症候群とGuyon管症候群(尺骨神経管症候群)である.両疾患ともに外来診療で比較的多く目にする機会の多い疾患である.各々の疾患の診断および治療について概説した.
変形性手関節症の診断と治療―橈骨遠位端骨折遺残変形,
 SNAC wristを中心として―
戸部 正博ほか
橈骨遠位端骨折変形治癒やSNAC wristによる変形性手関節症の診断と治療について記載した.橈骨遠位端骨折では橈骨手根関節の変形を防止する初期治療が重要であり,SNAC wristでは病期に合わせた治療方法の選択が必要である.
RA手関節治療における筋腱リアライメントと
 手関節尺側安定化の意義
高木 理彰ほか
筋腱のリアライメントと尺側安定化を併用した滑膜切除・関節形成術は,比較的進行したRA手関節障害においても関節安定性の再獲得に有効で,今後のRAの薬物治療の進歩と合わせて将来的な変形を抑制する可能性がある.
尺骨突き上げ症候群の診断と治療 中村 俊康
尺骨突き上げ症候群の病態概念,症状,診断,治療について詳述した.
手関節部腫瘍性疾患の診断と治療 工藤  悟ほか
手関節部に発生する腫瘍性疾患として最も頻度の多いガングリオンの診断と治療,特に鏡視下治療の有用性について発生部位ごとに述べた.
Kienbock病の診断と治療 岩崎 倫政ほか
Kienbock病の診断には単純X線検査およびMRI検査が有用である.治療法は画像所見による病期分類に基づき選択される.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.11
新鮮・陳旧性足関節捻挫の診断と治療
 
足関節捻挫の病態 熊井  司ほか
足関節捻挫の病態を理解するためには,足関節・足部にある多くの靱帯の正確な位置と機能についての情報が要求される.最も損傷されることの多い前距腓靱帯についての知識は不可欠である.
足関節捻挫の鑑別診断 奥田 龍三ほか
足関節捻挫の診断にあたっては鑑別すべき外傷や疾患を認識するとともに,これらの診断のポイントを熟知することが誤診や見逃しを未然に防ぐために重要である.
新鮮足関節外側靱帯損傷の診断と治療 森川 潤一
個々の症例に適した治療法を選択する(オーダーメイド治療)ために,新鮮足関節外側靱帯損傷の診断ポイントとそれぞれの治療法の特徴と実際について述べる.
陳旧性足関節外側靱帯損傷の診断と治療 野口 昌彦
前距腓靱帯前進術,前距腓靱帯補強術,前距腓靱帯再建術,前距腓・踵腓靱帯再建術のうち,それぞれの患者にとって有効な術式を選択すべきである.
小児の足関節外側靱帯損傷の診断と治療 中山正一郎ほか
小児の足関節外側靱帯損傷の診断においては裂離骨折の存在を常に念頭に置くべきであり,ストレス撮影により骨片の転位や重症度を判定したうえで治療法を選択する必要がある.
遠位脛腓靱帯損傷の診断と治療 高尾 昌人ほか
遠位脛腓靱帯損傷は,足関節鏡により確実に診断できる.鏡視下ストレステストの結果に基づいて行うsyndesmosis screw固定術は,低侵襲で良好な治療成績が得られる術式である.
三角靱帯損傷の診断と治療 大関  覚
三角靱帯損傷は腓骨骨折を伴っていることが多く,正確な骨折整復と靱帯縫合術を行えば良好な成績を期待できる.
足関節捻挫に伴う関節内病変の診断と治療 長谷川 惇
足関節後遺障害例に対し,関節包,関節軟骨,外側靱帯,外果分離骨などを鏡視することにより,より深く病態を知ることができ,治療に対して有用な知見が得られる.
距骨下関節不安定症と腓骨筋痙直性扁平足の診断と治療 杉本 和也ほか
腓骨筋痙直性扁平足や足根洞症候群は距骨下関節における神経受容器の刺激によって腓骨筋の制御に異常をきたした状態であり,大変興味深い疾患である.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.10
最新関節リウマチ診断・治療マニュアル
 
A.リウマチ性疾患の基礎知識
  リウマチ性疾患と免疫反応 瀧澤 泰伸ほか
リウマチ性疾患を含む自己免疫疾患発症についての仮説とともに,関節リウマチに関する新しい知見を主として免疫担当細胞との関係に焦点をあてて概説した.
  リウマチ性疾患と炎症
   ―早期RA滑膜組織における遺伝子発現プロファイル―
椿  崇仁ほか
早期RA滑膜組織のマイクロアレイ解析で得られた知見を紹介し,RA滑膜表層病巣局所における遺伝子発現プロファイルの特徴を概説した.
  滑膜,関節軟骨の基礎知識 豊島 良太ほか
関節疾患の病態把握に必須な知識として,可動(滑膜)関節に特徴的な組織である滑膜と関節軟骨の構造と機能を中心に基礎的な内容を記述した.
  リウマチ性疾患の病理,病態 伊藤 吉賢ほか
関節を構成する組織の特徴と関節リウマチの進行に伴いどのような過程で破壊が進行していくかについて,各stageごとに病理組織的見地より記述した.
B.リウマチ性疾患の診断(総論)
  関節リウマチ患者の関節の診察 松井 宣夫
早期関節リウマチの診断には画像診断の前に,リウマチ患者の全身の隅ない診察がまず大切である点を強調したい.
  免疫血清学的検査(新しいリウマトイド因子測定法) 仲田 三平
1987年のACRの診断基準の項目のひとつにリウマトイド因子(RF)陽性がある.RFのRAに対する感度と特異性より優れていると考えられているのが抗CCP抗体であり,早期診断に有用である.
  リウマチ性疾患の画像診断 勝呂  徹
炎症と関節の変化を正確に捉えるためには,単純X線画像の詳細を正確に読影することが必要である.
  関節液検査,関節鏡検査 堀内  極ほか
関節液の中に存在する関節マーカーは,関節破壊をリアルタイムに評価し,リウマチ治療薬の効果判定に応用できる可能性がある.関節鏡は関節内構造体を直接評価することが可能であり,疾患の鑑別にも有効である.
  関節リウマチの臨床評価と薬効評価 川合 眞一ほか
関節リウマチ(RA)の治療薬は近年大きく進歩しており,それらの臨床試験にはRA炎症と結果・転帰を調べるいくつかの基準が使われている.RA患者に有用な治療薬を提供するためには,適切な薬効評価によるエビデンスの確立が必要である.
  リウマチ性疾患の鑑別診断 深沢  徹ほか
関節炎を呈する代表的な疾患である関節リウマチを中心に,リウマチ性疾患の具体的な診断のアプローチについて述べる.
C.関節リウマチの治療
  消炎鎮痛薬(含むCOX-2阻害薬,NSAIDs) 齋藤 輝信
関節リウマチ(RA)の薬物療法は,最近大きく変わり,消炎鎮痛剤の位置づけも脇役に転じた.それは本剤がRAの経過・予後を改善する作用はなく,時として重大な副作用を呈するからである.
  ステロイド薬 高崎 芳成
ステロイド薬は効果的にRAの関節炎を抑制するものの,しばしば重篤な副作用をもたらす.使用に際しては,その適応と副作用,さらにその対策について,医師ならびに患者の十分な理解が必要とされる.
  抗リウマチ薬 三森 経世
関節リウマチ薬物療法の中心となる抗リウマチ薬(DMARDs)の特徴と主要な薬剤の使い方を解説した.
  生物学的製剤,免疫抑制薬 亀田 秀人ほか
RAの治療目標は可及的速やかに臨床的寛解に導き関節破壊を阻止することであり,活動性の高いRA患者には免疫抑制薬,生物学的製剤,あるいは両者の併用を早期より行う.
  外科療法
   1.上 肢
   a) 手指・手関節 石川  肇
RA罹患手の把持・巧緻運動機能障害に対して,適切なタイミングで術式の選択を行えば,実用性のある手として機能の復元が可能であり,外科療法はきわめて有効な治療手段となりうる.
   b) リウマチ肘関節の外科的療法 西田圭一郎ほか
RA肘に対する外科療法の要は滑膜切除術と人工肘関節置換術(TEA)であり,Larsen grade 0-IIでは滑膜切除術を選択する.60歳以上で6か月以上持続する疼痛と可動域制限によりADL障害をきたし,Larsen grade III以上のRA肘に対する初回手術ではTEAを第一選択とする.Larsen grade Vとなって,強い不安定性を有するものでは,半拘束型のTEAを適応とする.
   c) RA肩関節の手術 竹村 達弥ほか
関節リウマチの診療マニュアルに沿ったリウマチ肩に対する手術適応および基本手技について,鏡視下滑膜切除術と人工肩関節置換術を中心に解説した.
   2.下 肢
   a) 股関節 齋藤  修ほか
臼底突出に対して自家骨頭を用い,morsellisedとsliced boneを作成しオリジナルな骨移植法にて再建した.術後,突出部が吸収され良好なremodelingがみられた.
   b) 膝関節 中川 研二
リウマチ膝に対するTKAは一般に良好な結果が得られるが,高度変形膝には周到な術前計画と工夫が必要である.最も重要なことは,感染に対する予防と対策である.
   c) リウマチ性足部・足関節疾患の治療 田中 康仁
関節リウマチによる足部病変の病態は多彩であり,病期や部位により治療法が異なる.前足部,中足部,後足部に分けて詳解した.
   3.頚椎,脊椎 徳橋 泰明ほか
頚椎病変では自然経過とリウマチ重症度,機能障害度を配慮した手術適応とタイミングが重要である.腰椎病変では,椎間板周辺の破壊や椎体の圧潰程度に応じた後方固定術を適応すべきである.
D.リウマチのリハビリテーション
  理学療法と装具療法 村澤  章
RAを扱うすべての整形外科医は,リハビリテーションの実施にあたって,RAの時期,患者の要求や目的などを考え,理学療法,作業療法,装具療法などを組み合わせ処方するように心がける.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.9
橈骨遠位端骨折治療マニュアル
 
保存療法
 1) 手関節背屈位ギプス治療のポイント 高畑 智嗣
背屈型の橈骨遠位端骨折は,麻酔下に整復して手関節背屈位ギプスで固定すると,多くの症例で整復目標を達成でき,臨床成績は良好である.
 2) 高齢者橈骨遠位端骨折に対する保存的治療の成績 山部 英行
高齢者の橈骨遠位端骨折では多少の変形治癒は必ずしも患者の満足度を損なわないことがあり,治療法の選択にあたりX線のみでなく,患者の活動性や生活様式などを総合的に判断する必要がある.
手術的治療
<経皮ピンニング>
 1) 橈骨遠位端骨折に対する髄内固定法
  ―NODEアンカリングシステムを用いて―
名越  充ほか
本法は橈骨遠位端骨折に対して,近位から遠位方向に打ち込んで固定する髄内固定法であり,骨粗鬆症を伴った症例に有効である.
 2) Modified Kapandji pinning法について 西尾 泰彦
橈骨遠位端骨折に対するネジ付きK鋼線を用いたmodified Kapandji pinningは低侵襲で安定した整復位保持が得られる優れた方法である.
<プレート固定>
 1) 橈骨遠位端骨折に対する掌側アプローチによる
  condylar stabilizing法
清重 佳郎
橈骨関節面および軟骨下骨を矢状面で円弧とみなし,その円弧に接線を引くようにlocking pinを刺入,接点でcantilever 様に関節面骨片をsubchondral “tangential” supportすることがcondylar stabilizing法の原理である.
 2) 背側プレート法(double plating法)について 本城  昌
高度な関節内骨折を伴う橈骨遠位端骨折は,治療に難渋することが少なくない.適切な固定法のひとつとして,背側double plating法がある.これに習熟することは,その応用も含め,治療戦略上,有益である.
<創外固定>
 1) Bridge type創外固定による治療 宍戸 孝明ほか
橈骨遠位端骨折に対しbridge type創外固定器を応用し治療する際の手術適応,手術のコツ,利点欠点,合併症について概説し,さらに医療経済的観点についても言及した.
 2) Non-bridging創外固定器(Compack®)による治療 森田 晃造ほか
橈側進入型non-bridging創外固定は細径ピンを使用することにより,bridging使用による長期手関節固定の問題点を解消しつつ,non-bridging法の適応を従来よりも拡大できる.
 3) Non-bridge創外固定器(フレックスII;MES社製)
  による治療
田中 利和ほか
AO分類C2型までの不安定型橈骨遠位端骨折は,術中に整復位が得られれば,フレックスII創外固定器で早期可動域訓練が可能で,除去後も良好な整復位が得られる.
<手術補助治療>
 1) リン酸カルシウム骨セメントの応用 日高 典昭
橈骨遠位端骨折の治療においてリン酸カルシウム骨セメントの果たす役割,手術適応,手術方法ならびに合併症を防ぐための手技上のポイントについて述べる.
 2) β-TCP(オスフェリオン)の応用 蔡  詩岳ほか
橈骨遠位端骨折の骨欠損部にβ-TCPを充填した場合,すみやかなβ-TCPの吸収と骨組織による修復ならびに良好な術後成績が得られたことから,β-TCPは有用な骨補填材であると考える.
 3) 骨セメントの応用 山内 大輔ほか
橈骨遠位端骨折に対する髄内セメント固定法の適応と手術手技のポイントについて述べた.本法は簡便で固定性も良く,高齢者の橈骨遠位端骨折には第一選択となる手術法である.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.8
肩関節総合画像診断マニュアル
 
<画像診断手順>
肩の画像診断とその手順
 ―肩の画像診断のポイントと手順―
三笠 元彦
画像診断の順はX線検査で骨疾患をスクリーニングし,次に,MRI,超音波検査で腱板断裂を,関節造影で腱板疎部損傷を,MRAで関節唇損傷を診断する.最後に関節鏡を行う.
<X線診断(1)>
肩のX線診断―通常の撮影法と特殊な撮影― 鈴木 一秀
肩関節疾患に対する単純X線診断は骨性病変の診断のみならず,視点を変えることで腱板および肩甲胸郭関節の機能を客観的に評価できる有用な画像診断法である.
<X線診断(2)>
スポーツ障害肩に対するX線撮影 原  正文
スポーツ障害肩のゼロポジション肢位の単純X線から関節不安定性と腱板機能の関係や関節唇と腱板の衝突であるインターナルインピンジメントについて考えた.
<MRI(1)>
肩関節のMRIとMRA 皆川 洋至
腱板断裂では大結節の3つのfacet,肩関節不安定症では下関節上腕靱帯が読影の鍵になる.複数スライスでそれぞれの全体像を把握することが重要である.
<MRI(2)>
Open MRIを用いたダイナミック撮影と今後の展望 建道 寿教ほか
Open MRIを用いることにより,様々な外転肢位をとることが可能となった.機能的肢位での撮影が施行され種々の条件下で健常人や腱板断裂での肩甲上腕関節の動態解析,動揺肩での病態などが評価された.
<CT>
肩のCT画像 中里 伸也ほか
肩の疾患の画像診断あるいは術式の決定,術後の検討において,単純CT, CTアルトロ,3D-CT, MPR-CTそれぞれの適応と特徴をしっかりと頭に入れ,より侵襲の少ない,より情報の多い画像法を選択すべきである.
<超音波>
肩の超音波画像―撮像の工夫と今後の展望― 杉本 勝正
整形外科における超音波検査は発展段階にあり,工夫次第では他の検査法に無い画像診断が可能である.まず第一歩は超音波器機を簡単に使用できる環境を整え,数多くの患者に応用することである.
<核医学と肩腫瘍>
肩周囲の骨軟部腫瘍における核医学検査の有用性
 ―特に骨シンチグラフィー,タリウムシンチグラフィーについて―
武田  健ほか
骨シンチグラフィー,タリウムシンチグラフィーを中心とした核医学検査が骨軟部腫瘍の良・悪性の鑑別に施行されている.肩甲帯周囲の腫瘍に対する核医学検査の有用性について述べた.
<関節造影>
肩関節造影の意義と応用 橋本  淳ほか
関節造影は動態観察やjoint distensionを行うことができ,肩関節疾患には有用な検査である.MRIと対比して関節造影の意義を述べ,代表的な肩関節疾患の関節造影所見やjoint distensionの有効性も記載した.
<コンピュータ診断>
肩の画像解析とコンピュータシミュレーション 菅本 一臣
様々な診断機器の発達とそれを解析するコンピュータの著しい進歩によりこれまでと全く異なるキネマティクスの解析手法が確立されようとしている.3D-MRIや3D-CTまたは従来のイメージ画像を用いてこれまで知り得なかったin vivoでの(実際に関節を動かせている最中の)骨関節の動きを正確にかつ動画として観察,解析することが可能となった.
<最新の肩関節画像診断>
暗視野法を利用した新しい整形外科画像診断法の開発 国定 俊之ほか
「放射光」を利用し,「X線暗視野法」という独特な手法により関節軟骨を撮影することに成功した.生体に近い条件で,肩関節の上腕骨頭の軟骨がきれいに描出できた.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.7
骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の診断と治療
 
骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の疫学 藤原佐枝子
骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折について,日本人の有病率,発生率,危険因子を中心に,欧米,アジアの疫学調査との比較を記載した.
骨粗鬆症性脊椎椎体骨折に伴うADL・QOL障害 宮腰 尚久
骨粗鬆症性脊椎椎体骨折によるADLやQOLの障害は二次的に生じる脊柱変形と関連がある.脊柱変形の中でも特に全後弯でADLやQOLが障害されやすい.
骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の自覚症状と理学所見による鑑別診断 石河 紀之ほか
本症の痛みや麻痺などの症状を病態に則し解説し,その理学所見について述べた.また同様の症状を呈す他の脊椎疾患,非脊椎疾患との鑑別診断について述べた.
骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折の単純X線像による診断 曽根 照喜
単純X線像による椎体変形の評価では,X線斜入射などによる撮像の歪みを考慮した正しい椎体形態の認識が重要である.
骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折のMRIによる診断と予後予測 中野 哲雄
MRIは骨粗鬆症性圧迫骨折を正確に診断することができる.また,予後もある程度予測することができる.
骨粗鬆症性脊椎椎体骨折の保存的治療 佐々木邦雄
骨粗鬆症性椎体骨折の新鮮期例(受傷後3〜4週)は,適切な保存的治療にて良好な骨癒合が獲得できる.初期の確実な骨折の診断を単純X線(特に矯正位X線撮影)とCTにて行う.治療の基本は装具療法であるが,症例の脊柱アライメントを考え処方する.
骨粗鬆症性椎体圧潰に対する前方脊柱再建術 伊東  学ほか
骨粗鬆症性椎体圧潰の前方手術治療は病態に対し理にかなった方法であるが,高度な骨粗鬆症患者や多椎体骨折患者では限界がある.患者の全身状態や骨粗鬆症の程度を勘案し,慎重に手術適応を考えるべきである.
神経障害を伴う骨粗鬆症性脊椎骨折に対する
 後方アプローチによる手術療法
永田 見生
後方進入で椎弓切除と椎体切除により全周性に硬膜と神経根の十分な除圧を行い,脊椎を短縮しワイヤーで固定する方法は,1椎間の操作で問題が解決できる症例では有用である.
骨粗鬆症性椎体偽関節に対する椎体形成術の手術成績
 ―骨セメントと骨ペーストの比較―
高橋  淳ほか
骨粗鬆症性椎体偽関節に対する椎弓根スクリューを併用した椎体形成術における,補填物としての骨セメントと骨ペーストとの比較について検討した.
さらなる骨粗鬆症性骨折予防の薬物治療 片桐 浩史ほか
近年使用可能となったビスホスホネートやSERMは既存の椎体骨折を有する患者においても,新たな椎体骨折発生を抑制することが大規模臨床試験で証明されている.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.6
CRPS(RSD)の診断と治療
 
CRPS type I(RSD)の症状と診断基準 浜田 良機ほか
CRPS type I(RSD)の臨床症状と診断に際して,注目すべき事項は,(1) 先行する外傷や手術の存在,(2) その程度や治癒経過からは説明できない自発痛の存在,(3) allodyniaあるいは痛覚過敏の存在である.そして (1) と (2) の事項に相当する疼痛をみる症例に対しては,CRPS type Iの発症極早期と考えて,CRPS type I(RSD)に対して有効とされている治療を開始すべきである.
CRPS(RSD)の診断と治療方針 小川 節郎
RSDにおける疼痛機序鑑別診断に用いられる薬理学的疼痛機序判別試験とその結果に基づいた治療法の選択について述べた.
CRPS(RSD)の治療
 ―早期ステロイド療法とリハビリテーションの役割―
井関 一道ほか
CRPS早期診断のポイントは外傷後に遷延する炎症である.炎症症状のある初期CRPSには経口または局所静脈内ステロイド投与による早期治療が有効である.
CRPS(RSD)の治療―薬物療法と交代浴の実際― 戸田 克広ほか
CRPSの治療として薬物療法・交代浴・理学療法などの組み合わせ治療が望ましい.鎮痛補助薬やノイロトロピンが薬物治療の中心である.
CRPS(RSD)の漢方治療―漢方薬治療の実際― 松村 崇史
RSDを「外傷の過大治癒反応」ととらえて,それを生体に有利な方向に調節,利用しながら自己治癒へと導く.そのために漢方薬を活用している.
CRPS(RSD)の治療―ブロック療法の実際― 石橋  徹
CRPS(RSD)の治療は,特に上肢のCRPSであれば,伸筋と屈筋の同時収縮とこわばりの橈側偏位現象から早期診断をして,星状神経節ブロックを始めとする各種の神経ブロックを早期に開始することが求められる.
CRPS(RSD)の治療
 ―リハビリテーションを中心としたチーム医療の取り組み―
藤澤 幸三ほか
CRPSの治療はチーム医療,チームアプローチの考え方が大切である.まず行うべきことは患者との信頼関係構築であり,これが治療結果を左右する.
機能回復だけでなく心理的,精神的サポート支援もリハビリの目的である.
CRPSの病態と治療
 ―Type2(カウザルギー)に対する全神経切除術―
射場 浩介ほか
難治性CRPS症例に対して神経損傷部末梢の全神経切除術を行い良好な長期術後成績を得た.さらに,その病態について考察する.
CRPS(RSD)の治療
 ―CRPSの慢性化した疼痛に対する究極の疼痛コントロール―
柴田 政彦
CRPSとは複数の因子が複雑に寄与した病態の総称であり,治療にあたっては個々の症例でどのような因子が重要で修正あるいは治療可能かを判断し対応することが重要である.
CRPS(RSD)の診断と治療―精神科的アプローチ― 久村 正樹ほか
CRPS/RSDは治療に難渋する疾患といえよう.これはCRPS/RSDに限らないが,このように治療が難しい疾患では,十分なinformed consentを得て身体面の治療にあたる必要がある.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.5
膝関節疾患外来診療マニュアル
 
A.総 論
膝関節の機能解剖とバイオメカニクス 遠山 晴一ほか
機能解剖学的ならびにバイオメカニクス的研究の基礎知識ならびに膝関節の診療において有用性が高いと考えられる機能解剖学的ならびにバイオメカニクス的知見を解説した.
膝関節疾患の診察方法 吉矢 晋一
膝関節疾患診察の手順・方法について,問診,視触診,理学的所見の各項目別に記載した.また,対象疾患別に系統立った評価を行うための要点・注意点についても述べた.
膝関節疾患の画像診断(MRIを中心に) 数面 義雄ほか
MRIの信号度は水分と脂肪の量を反映することを理解し,撮影条件による画像の特徴に注意することで,病態を正確に把握することができる.
B.外傷性疾患
膝前十字靱帯損傷に対する治療 夏梅 隆至ほか
膝前十字靱帯損傷に対する治療法について述べた.最近の進歩としてハムストリング筋腱を用いた解剖学的な二重束再建法を紹介した.
膝後十字靱帯損傷に対する治療 大越 康充
膝後十字靱帯損傷の治療に関する最近の知見について詳述した.また,筆者らの至適ランニング・ルートを実現する関節鏡視下再建術とその臨床成績について述べた.
膝内側側副靱帯および後外側支持機構損傷に対する治療 王寺 享弘
関節弛緩さらに外反膝がみられるMCLの第3度単独損傷は一次修復を考慮する.ACL+MCL損傷の陳旧例は,必要であればMCL再建術を併用する.PLS損傷は機能解剖を十分に理解する必要がある.
筋・腱損傷(大腿四頭筋・腱,膝蓋腱) 須田 康文ほか
膝伸展機構損傷に対しては十分な強度を有する補強材料で解剖学的再建を行い,早期より筋力訓練,可動域訓練を開始することが重要である.
半月板損傷の診断と治療 和田 佑一ほか
半月板損傷の手術治療を中心に半月板切除術と縫合術について述べた.半月板機能温存のために今後さらなる縫合術の進歩が期待される.
膝関節軟骨損傷に対する治療 中川 泰彰
局所的な軟骨損傷に対し,硝子軟骨に置換できる自家骨軟骨移植術や培養軟骨細胞移植術などの治療法が存在するので,軟骨損傷の早期診断に努めるべきである.
膝周辺の骨折と治療方法(鏡視下手術を含む) 笹重 善朗ほか
関節の機能障害をできるだけ最小にする治療法を選ぶことが重要で,観血的治療においては早期訓練が可能となる強固な内固定を心がける.
膝関節周辺の過労性障害に対する治療 石橋 恭之ほか
膝関節は過労性障害(overuse障害)の好発部位である.その治療は保存療法が中心であり,発症原因を十分検討し,再発予防の指導を行うことが重要である.
C.炎症性疾患・骨壊死
変形性膝関節症に対する保存的治療 古賀 良生ほか
膝関節症の治療法は患者の障害度で決める.保存療法の目的は炎症の対処と進行防止に大別され,継続するため肥満や内反変形などの進行因子との関係について説明を要する.
変形性膝関節症に対する手術的治療 岩佐 潤二ほか
変形性膝関節症に対する各手術的治療法は,適応を選び,適切な手技で行えば良好な成績が得られるが,術前の十分な検討と患者へのインフォームドコンセントが不可欠である.
関節リウマチの膝関節障害 水田 博志ほか
RA膝では,病態に応じて基礎療法,薬物療法,リハビリテーション,手術療法を的確に組み合わせ,関節機能を可及的に維持していくことが重要である.
化膿性膝関節炎の診断と治療 小林 龍生
抗生剤投与前に関節液の培養検査を行い,合併症を有する場合の重症化や,小児での成長障害を抑えるため灌流,滑膜切除など行い,迅速慎重に対応する必要がある.
大腿骨顆部骨壊死の診断と治療 竹内 良平ほか
特発性膝骨壊死で内反が高度な症例や壊死巣の大きなものは,高位脛骨骨切り術の良い適応である.ステロイド性膝骨壊死の治療は,保存療法が第一選択である.
膝離断性骨軟骨炎の診断と治療 出家 正隆ほか
最近2年間の症例に基づき,離断性骨軟骨炎の病態,発生頻度,その治療法について記載した.
膝蓋大腿関節障害の診断と治療 松末 吉隆
膝蓋大腿関節障害の種々病態を述べ,その診断のコツとポイント,保存療法の適応と方法を述べ,手術方法についても概説した.
膝関節周囲の腫瘍性病変(良性・悪性) 山本 憲男ほか
膝関節周囲は,良性,悪性を問わず様々な種類の原発性骨・軟部腫瘍が好発する部位である.腫瘍の好発する部位,年齢,特徴的画像所見などを理解すれば,系統立てて腫瘍を把握し,治療に当たることができる.
膝関節疾患に対する再生医療の現状 中村 憲正ほか
膝関節疾患での再生医療の中心となる軟骨と骨の再生医療の現状について概説する.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.2
外来でみる急性腰痛―その診断と治療―
 
外来での急性腰痛の診断 見松健太郎
外来での急性腰痛の診断では痛みのセンサーがどこで作用しているかをよく考えて問診,理学所見をとる.椎間板線維輪の断裂,椎間関節,靱帯,椎間板ヘルニアなど由来の疼痛の頻度が高い.
急性腰痛の自己管理と予防 川上 俊文
急性腰痛の治療法は千差万別であるが,どの治療法を選んでも予後はかなり良い.しかしその中に半数以上は再発・慢性化する例があり,その予防に病期を考慮した整形外科の一般知識を活用すべきである.
非特異的腰痛症に対する運動療法 渡部 泰幸ほか
非特異的腰痛に対する運動療法は,確立された処方はない.代表的手技について論述するが,より効果的な運動療法を実証することが今後の研究課題である.
スポーツ医学からみた腰痛対策
 ―根治療法:身体の上手な使い方を身につける―
渡會 公治
スポーツ動作のみならず日常動作のなかでもフォームが悪いと,より大きなメカニカルストレスがかかり腰痛が起こる.身体の知識,意識を高め,身体の使い方を向上することで対応できる.
急性腰痛に対するMcKenzie法の適応と成績 鈴木 信治
非特異性腰痛に対する運動療法を成功させるには,腰痛病変が椎間板性か,椎間関節性かを明確にし,さらに後者は腰椎前弯の状態を把握し,それによってどのような運動を行うべきかを詳述した.
急性腰痛(ぎっくり腰)に対する治療―90-90牽引を中心に― 吉田  徹ほか
ぎっくり腰の原因は椎間関節の「ずれ」と考える.90-90牽引やマニピュレーションで「ずれ」を整復し,腰椎の伸展運動療法と前屈運動の制限で整復位保持をはかる.
急性腰痛に対する土居式伸展位下肢自重牽引療法 土居 通泰
従来の牽引法と異なる独創的な病因論に基づく本法は,簡便性,即効性,短期経済性,安全性,難再発性,長期持続性などに加え,年齢,性別,病期を問わない広適応性,好結果などの点で患者志向性が極めて高い.
急性腰痛に対する関節運動学的アプローチ(AKA-博田法) 住田 憲是ほか
関節運動学的アプローチ(AKA-博田法)は急性腰痛に対してその原因解明とその治療法に大きな進歩をもたらせた.
腰椎椎間関節性疼痛の診断と治療 田口 敏彦
神経脱落症状がなく,局所症状のみを呈する腰痛は,椎間関節腰痛の頻度が高く,その診断と治療についてのポイントを解説した.
椎間板性腰痛の診断と治療 兵藤 弘訓ほか
非特異的急性腰痛の主たる原因は椎間板性のものであり,これに対する椎間板ブロック療法は極めて有用な治療法である.
仙腸関節性腰殿部痛の診断と治療 村上 栄一ほか
仙腸関節性疼痛は腰痛の約1割を占め,10〜80代までの老若男女に発症する.疼痛の特徴は仙腸関節裂隙の外縁部を中心とした殿部痛であり,この疼痛域に注目すると多くの腰椎疾患の痛みと区別が可能である.仙腸関節後方の靱帯領域へのブロックが効果的である.
Monthly Book Orthopaedics. Vol.18 No.1
スポーツ選手の筋・腱付着部障害の診療
 
腱・腱付着部炎の病態に対する実験的研究 中村 立一ほか
腱炎は炎症ではなく線維間の解離や微小断裂であり,その修復過程における過負荷が慢性腱炎の原因である.適切な治療方針の決定には正しい病態の把握が重要である.
筋・腱付着部障害に対する画像診断―MRIを中心として― 立花 陽明ほか
筋・腱付着部障害のMR診断では,的確な撮像条件と撮像方向について留意し,腱および周囲の信号強度変化と腱の形態変化について評価することが重要である.
筋・腱付着部障害の保存的療法―最新的療法を含めて― 和田 佑一ほか
大切な競枝を控えたスポーツ選手の筋・腱付着部障害において,すみやかにスポーツへ復帰させる必要がある場合,衝撃波療法はこのような状況に最も適した治療法である.
肘の筋・腱付着部障害―テニス肘― 薄井 正道
スポーツ障害としてのテニス肘の発生には手関節・手指伸筋腱の上腕骨外顆起始部(extensor cuff)の加齢変化が関与する.
投球障害肩(肩の筋・腱付着部障害)の診断と治療 西中 直也ほか
投球障害肩の病態は単独で存在することはほとんどない.各病態を個々に把握するのはもちろん肩関節複合体として,さらには投球動作が全身の運動連鎖であることを念頭に置き診断,治療を行っていくのが重要である.
膝蓋靱帯炎の診断と治療 根岸 慎一ほか
膝蓋靱帯炎の診断は,臨床症状から比較的容易であるが,治療において保存療法に抵抗する例は数多く存在する.手術治療は,適応を絞って行う必要がある.
難治性膝蓋靱帯炎への手術療法 徳谷  聡ほか
保存療法に抵抗するようなジャンパー膝は,膝蓋靱帯の変性を伴っており,これが痛みを誘発していると考えられるため,スポーツ復帰には手術療法を考慮すべきである.
オスグッド病の診断と治療 平野  篤
オスグッド病は早期診断と安静保存療法でossicleを形成せずに短期間で治癒させることが可能である.
アキレス腱周囲炎の診断と治療 鳥居  俊
アキレス腱に発生する障害には狭義の腱周囲炎,腱実質の障害(腱症),腱付着部障害の3つがあり,前2者は移行しうる.病態を考えた診断と治療が必要である.
シンスプリントの診断と治療―MRI画像を含めて― 奥脇  透
シンスプリントの症例では,MRIにて骨膜周囲や骨髄の信号変化を示すことがあり,骨髄信号に変化が認められた場合には,疲労骨折に注意すべきである.