整形外科最小侵襲手術ジャーナル No.55
肩の鏡視下手術の基本手技
 
<Editorial> 望月  由
 
肩関節の機能解剖 望月 智之ほか
反復性肩関節脱臼の鏡視下手術を行ううえで重要と思われる関節唇と関節上腕靱帯について,および腱板損傷の鏡視下手術を行ううえで重要と思われる腱板筋群の形態と上腕骨停止部について記載した.
肩関節のバイオメカニクス 山本 宣幸ほか
肩関節鏡視下手術のうち最も一般的である鏡視下Bankart修復術と鏡視下腱板修復術に関係するバイオメカニクスの最新の知見を我々が行った実験結果を元に解説した.
肩関節鏡視下手術の基本操作 中川 照彦ほか
肩の鏡視下手術における縫合法と組織への糸かけ法について解説する.縫合法ではレボノットとWestin knotについて,糸かけ法ではループ糸リレーのoutside法とinside法およびシングルノットリレーについて述べる.
外傷性肩関節前方不安定症に対する肩関節鏡視下手術
 ―suture anchor法―
岩堀 裕介
入念な術前・術中所見の検討により適応選択を誤らないこと,3ポータルを使用してブラインドでの処置は避けること,下関節上腕靱帯関節唇複合体の剥離を徹底し十分な上方への引き上げを行うことが重要.
反復性肩関節脱臼に対する肩関節鏡視下手術
 ―DAFF法―
水野 直子ほか
ペアのsuture anchorを用いて,IGHL-関節唇をfootprintへ固定するDAFF法の優れている点は,first anchorを挿入さえすれば,あとはstep by stepに手技を進めていくことができる点である.
反復性肩関節脱臼に対する肩関節鏡視下手術
 ―追加手術方法―
後藤 英之
反復性肩関節脱臼の鏡視下手術の追加処置として関節包の縫縮,骨性Bankart病変やHAGL病変,SLAP病変の修復,Rotator interval closureについて詳述する.
腱板損傷に対する肩関節鏡視下手術
 ―suture anchor法―
小林 尚史
腱板修復の基本的なコンセプトと長頭腱を残した具体的な修復方法,また,バイオロジカルな観点からの工夫を取り入れたsuture anchor法を解説する.
腱板損傷に対する肩関節鏡視下手術
 ―suture bridge変法―
柴田 陽三
鏡視下腱板修復術;
(利点)整容的に優れている.三角筋に対する侵襲がない.術後疼痛が少ない.
(欠点)手技が煩雑,難易度が高い.
Suture bridge変法は手技が簡便で習得が容易である.
腱板損傷に対する肩関節鏡視下手術
 ―transosseous法―
永田 義彦ほか
本邦での直視下腱板修復術のgold standardであるtransosseous with bone trough法を鏡視下で行う方法を独自に開発したので,その術式の詳細を解説する.
腱板損傷に対する肩関節鏡視下手術
 ―肩甲下筋損傷―
井手 淳二
鏡視下肩甲下筋修復時に,上腕骨頭を後方へ引いて前方にスペースを作るようにする.腱部分が全て断裂している場合(grade 2),残存する筋性部分をメルクマールにして上方(近位)へ剥離をすすめると断裂し癒着した腱性部分が同定できる.
整形外科最小侵襲手術ジャーナル No.54
最小侵襲人工股・膝関節全置換術―適応とその手技―
 
<Editorial> 平川 和男
 
股関節
MIS-THA 4種類のアプローチの概要とメリット・デメリット 岩城 啓好
小皮切前外側アプローチ(AL Mini-one),小皮切前側方アプローチ(MIS-AL),小皮切後側方アプローチ(Mini-PL),小皮切前方アプローチ(DAA)各手術のメリット・デメリットについて解説する.
Mini-one A/L法とOCM A/L法の適応分類 塚本理一郎ほか
Mini-one A/L法,OCM A/L法はともに,最初の10〜20例は要注意である.
アプローチの決定はアルゴリズムに従いきちんとした適応分類が必要と考える.
Mini-posterior法の概略と成績 中村  茂
術後脱臼を予防するためのポイントは,トライアル・インプラントを挿入して安定性テストを行うこと,および最終インプラント挿入後に後方関節包を大転子にプルアウト法にて縫着することである.
CT-basedナビゲーションを併用したOCM A/L法 徳永 邦彦ほか
MISによる視野の制限を補い,正確な手術を再現性よく行うためにナビゲーションの併用は有用である.
MIS-THA DAA法の適応と限界―小切開後方進入法と比較して― 中田 活也ほか
DAA法における大腿骨操作の際には,大転子内側と頚部接合部の上外側関節包を適切に切開して大腿骨の前方挙上を十分行い,適宜内転位をとって大腿骨を側方移動させることが重要である.
OCM A/L THA法の適応と限界 中村 琢哉
筋腱切離を行わないOCM A/L THA法を的確に行うには,手技上のコツを熟知し,習得するとともに,術者自身の手術適応を見極めることが重要である.手技を習得するにつれ,適応は広くなる.
膝関節
MIS-TKA各種アプローチについて 福島 重宣
MIS-TKAのアプローチにはmini para patellarアプローチ,trivectorアプローチ,mini mid-vastusアプローチ,mini subvastusアプローチ,quad sparingアプローチがある.それぞれのアプローチの長短を熟知し慣れることで,症例ごと選択することが大切である.
Medial para patellar approach法によるTKAについて 村田 英明ほか
Medial para patellar法TKAは患者の条件や膝の変形の程度に関係なく応用でき,困難例であれば術中に展開を大きくでき,広い手術野を得る利点がある.
Mini mid-vastus approachによるMIS-TKA 王寺 享弘
MIS-TKAの展開法としてQS,minimal medial para patellar,mini mid-vastus,mini subvastusなどがあり,内側広筋へ2cmほどに切開を延長するmini mid-vastus approachは膝蓋骨を比較的容易に外側によけることが可能である.Quadriceps patellar junctionのtype2では膝蓋骨上極から,type3では内側広筋付着部から筋肉内の線維方向に切れ込むことにより内側広筋の膝蓋骨に付着する部分には侵襲を加えない.
Under vastus approach MIS-TKA―その方法と影響― 巽  一郎
大腿四頭筋の筋膜を完全に温存しTKAを行うunder vastus approachの方法を解説し,関節可動域回復率をパラメータとしてその成績を評価した.
MIS-QS―Quad Sparing Approach MIS-TKA― 杉本 和隆ほか
大腿四頭筋を完全に温存するのをMIS法と定義するとQS法が狭義のMIS-TKAであるが,狭い術野での手術がゆえの手術のコツ,pitfalls,ポイントについて解説する.
MIS-TKA これからの方向性 津村  弘
Gap techniqueにMISを適応した手技の紹介を通して,百花繚乱のTKAを,本当に良いものに収斂させる努力の必要性を示したい.