整形外科最小侵襲手術ジャーナル No.47
外来・日帰り手術における現況と諸問題
 
〈Editorial〉 橋詰 博行
 
整形外科日帰り手術の現状 三笠 元彦
本邦では,日帰り手術/day surgery(DS)は普及していない.その理由はDSが病院経営上の利点が少なく,患者からの要望がまだ表に出てこないことによる.また,行政も積極的にDSを推進せず,静観している.
整形外科日帰り手術の麻酔 西江 宏行ほか
日帰り手術成功のためには医療従事者,患者,家族の理解と,超音波ガイド下末梢神経ブロック,PONV対策が重要である.
デイサージャリーの医療過誤・トラブルを防ぐために 高瀬 浩造
外来・日帰り手術は現代医療サービスの花形商品であると同時に低侵襲・高リスク医療でもある.その実施における注意事項とチェック項目について解説する.
整形外科日帰り・一泊手術のクリティカルパス 今田 光一
クリティカルパスは,その通りに行えばよい,というセットオーダー,チェックリストではない.作り方,運用法を誤るとリスク発生源にもなりうる.アウトカムを意識した適切なパスの運用は,そうでない場合に比べ,短期入院手術の質と安全性,医療者の作業効率を飛躍的に上げることができる.
手根管とばね指の日帰り手術
 ―周術期の患者ガイド―
楢崎 慎二ほか
当院における手根管症候群に対する鏡視下手根管開放術と弾発指に対する経皮腱鞘切開の手術の実際と周術期の患者ガイドについて紹介する.
上肢の日帰り内視鏡手術―肘・手―
 〜肘部管症候群と手根管症候群の内視鏡手術〜
吉田  綾ほか
肘部管症候群や手根管症候群の内視鏡手術を外来日帰り手術として行う際の注意点と問題点について述べる.
上肢の日帰り内視鏡手術―肩―
 〜局所麻酔下肩内視鏡手術〜
今田 光一
局所麻酔で行う肩内視鏡手術は,遷延する苦痛を解決できる有効な方法である.保存療法,全身麻酔関節鏡手術と並んでマスターしておきたい.
下肢の日帰り手術 中川 泰彰ほか
当院では設備が整っているため,麻酔科管理の全身麻酔を基本とした1泊入院の膝,足関節鏡視下手術を下肢の日帰り手術として行っている.
日帰り手術におけるアキレス腱経皮縫合術
 ―超音波ガイドを用いて―
冬賀 秀一
アキレス腱断裂に対する超音波ガイドを用いた経皮縫合術は,腓腹神経損傷などの合併症を防止することができ,低侵襲で日帰り手術を可能にする術式である.
日帰り手術の医療費の問題 土井 一輝
日帰り手術は病院にとっては診療報酬上の利点はないが,患者が短期入院を望む傾向にあるので,導入せざるを得ないであろう.
整形外科最小侵襲手術ジャーナル No.46
ロッキングプレート―使用法のコツとpitfall―
 
〈Editorial〉 田中  正
 
ロッキングプレートを用いた上腕骨近位端骨折の治療 高田 直也
LHSP®,PHILOS®をはじめとした上腕骨近位端骨折用のロッキングプレートの特徴,手術中のコツ,注意点などについて述べる.
上腕骨近位端・骨幹部骨折に対するMIPO 小林  誠ほか
上腕骨骨折をMIPOで治療する場合,腋窩神経,橈骨神経の解剖を熟知することが必須である.徒手整復が容易であるほどMIPOも容易であり,容易な症例から経験を積むことを勧める.
上腕骨遠位部骨折におけるロッキングプレートの有用性 衣笠 清人ほか
成人の上腕骨遠位部骨折,中でも骨粗鬆化や粉砕の著しいものに対してはロッキングプレートを用いたダブルプレート法が有用である.
ロッキングプレートを用いた前腕骨骨幹部骨折の治療 大塚  誠ほか
前腕骨骨幹部骨折は関節内骨折として治療するが,骨折型により固定法を使い分ける必要がある.LCPの使用により固定性が向上し,また症例により低侵襲のMIPOを選択することも可能である.
橈骨遠位端骨折に対するロッキングプレートの有用性 清重 佳郎
橈骨関節面および軟骨下骨を矢状面で円弧とみなし,その円弧に接線を引くようにlocking pinを刺入,その接点でcantilever様に関節面骨片をsubchondral“tangential”supportすることが本法の原理である.
橈骨遠位端骨折に対するプレート法
 ―ロッキングプレートを用いたMIPO―
峰原 宏昌ほか
橈骨遠位端骨折の手術療法の目的は,正確な整復による合併症の低減と早期可動域訓練による正常な可動域の確保,および早期社会復帰である.本稿ではLCPを用いた掌側アプローチのMIPOにおける手技と注意点について紹介する.
ロッキングプレートを用いた大腿骨骨幹部〜遠位端骨折の治療 澤口  毅
大腿骨骨幹部,遠位部骨折に対するロッキングプレート固定は侵襲が少なく骨片の血行を温存できる有用な方法であるが,整復不良を生じないよう十分な注意が必要である.
脛骨近位部骨折におけるロッキングプレートの有用性 橋本 晋平ほか
脛骨近位部骨折の治療戦略と,この部に対する従来法とロッキングプレートの使用における有用性を,症例を通じて述べた.
ロッキングプレートを用いたピロン骨折の治療 長野 博志
ロッキングプレートを用いたピロン骨折の治療の適応と限界,その実際およびピットフォールなどについて述べた.軟部組織の取り扱いとアライメント,関節面の整復が特に重要である.
ロッキングプレートを用いた下肢長管骨骨折の治療―特殊例― 田中  正ほか
ロッキングプレートの良好な固定力を生かして,原則から少し外れた方法で使用した例を供覧し,日常遭遇する可能性のある特殊例に対処する一助としてほしい.
ロッキングプレートのコツとpitfall・その対処法 佐藤  徹
ロッキングプレートは従来のプレート固定法の概念を大きく変えるインプラントである.Locking screw使用に際し,従来法とは異なる原則,コツやpitfallについてわかり易く説明する.
整形外科最小侵襲手術ジャーナル No.45
頚椎神経根障害に対する最小侵襲手術
 
〈Editorial〉 吉田 宗人
 
頚部神経根症に対する内視鏡下後方椎間孔拡大術 中川 幸洋ほか
頚部神経根症に対する内視鏡下椎間孔拡大術は,斜視鏡による内視鏡特有の術野のもとに,直視下の手術に比べて手暗がりになることなく良好な視野を獲得しながら手術が行えることが特徴である.
内視鏡下後方椎間孔拡大術のコツとpitfall 八木 省次
本術式は,頚部神経根症に対する術式の中で,現時点では,最も低侵襲なものと思われる.しかし,手技は習熟を要し,手術合併症を起こせば重篤なものと思われ,そのコツとpitfallに十分留意する必要がある.
頚部神経根症に対する肉眼下の後方椎間孔拡大術 田中 靖久
頚部神経根症に対する後方椎間孔拡大術で最も重要と思われる手順は,黄色靱帯の切除や神経根の展開に先駆けて,air-drillを駆使し,徹底して骨の切除を完了させることにある.
頚部神経根周囲の病態―顕微鏡下手術所見から― 住田 忠幸ほか
3,000例を超える頚椎顕微鏡視下手術の経験から,頚部神経根症の多彩な病態と,疾患に応じた後方除圧のポイントを,術中顕微鏡写真を提示して詳述する.
頚部神経根症に対する後方椎間孔拡大術
 ―肉眼,顕微鏡,内視鏡手術の比較―
山崎 昭義
頚椎神経根症に対しては,後方からの椎間孔拡大術が有用である.しかも肉眼,顕微鏡よりは内視鏡の方が低侵襲であり,より望ましい方法である.
頚椎症性脊髄神経根症に対する椎弓形成術を併用した
 顕微鏡下椎間孔拡大術
笹井 邦彦
本術式による安定した成績を得るためには,顕微鏡下での洗練された,一定水準の手術テクニックの修得が必要である.本稿では,効果的かつ安全に行うための適応と手術手技のポイントを中心に述べる.
多椎間頚部脊髄神経根症に対する前側方アプローチ
 ―antero-lateral partial vertebrectomy;ALPV―
小原  進
この術式は椎体側方や後方の病変を手術用顕微鏡を用いて直視下に根治的に除去し神経症状を改善させるものである.多椎間レベルであっても可能で,最大のメリットは骨移植を要しない点である.
整形外科最小侵襲手術ジャーナル No.44
腱板損傷の最小侵襲手術
 
Editorial 菅谷 啓之
 
腱板の臨床解剖―棘上筋と棘下筋の停止部の形態― 秋田 恵一ほか
腱板構成筋である棘上筋と棘下筋の大結節への停止部を解剖し,調査した.腱板断裂ではこれまで棘上筋の断裂が多いとされてきたが,今回の結果から棘下筋の重要性がより強調されると考える.
腱板断裂の自然経過 皆川 洋至ほか
腱板断裂は加齢とともに頻度が増加するが,半分以上は無症候で腱板断裂そのものが疼痛とは直結しない.したがって,腱板断裂はひとつの“所見”ということになる.
無症候性腱板完全断裂の頻度 塩崎 浩之ほか
両肩関節造影検査結果から,加齢に伴い無症候性腱板完全断裂が普遍的に存在することを示した.
腱板断裂に対する運動療法と成績 鈴木 一秀ほか
腱板断裂に対する運動療法の考え方とポイント,治療成績を中心に詳述した.運動療法は個々の症例に適した訓練を選択することにより約80%の症例で良好な臨床成績が得られるが,断裂の大きな症例や疼痛・可動域の改善が2〜3か月で得られない症例は手術加療を選択する事が望ましい.
肩腱板不全断裂に対する関節鏡視下腱板修復術 瀧内 敏朗
腱板不全断裂で断裂の深さが腱板の厚みの1/2を超えるものは鏡視下腱板修復の適応であり,その臨床成績,スポーツ復帰はともに良好である.
Dual-row法による関節鏡視下腱板縫合術
 ―成績向上を目指して―
小林 尚史
解剖学的な特徴を把握して,dual-row法を用いた正確な手術を行えば,断裂が大きくても良い成績が得られるが,その限界も知っておく必要がある.
大広範囲腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術(一次修復) 武田 浩志
大広範囲腱板断裂は腱板の引き込みと変性が強く一次修復には困難が伴う.腱板のmobilizationと修復のデザインを説明した.特にユニークな補助切開を入れる方法を述べた.
腱板広範囲断裂に対する鏡視下パッチ法 藤田 耕司
腱板広範囲断裂に対する鏡視下手術はopen法と同様,修復腱板の過緊張などによるcuff integrityの低下が危惧される.鏡視下パッチ法について,その術式,術後成績,利点,問題点について述べる.
肩甲下筋腱断裂に対する鏡視下手術 前田 和彦ほか
肩峰下滑液包鏡視による肩甲下筋腱修復術は,様々なサイズの断裂に対応可能であり,ビューイングポータルとしての肩峰前角部ポータルの使用と,肢位の工夫により良好な視野の下での肩甲下筋腱縫合が可能である.
鏡視下腱板修復術の後療法 高村  隆ほか
術後の後療法は疼痛管理が重要である.鏡視下手術は,術後の肩関節機能に与える悪影響を最小限に抑えることが可能なため,機能的改善が早く,後療法が進めやすい利点がある.
整形外科最小侵襲手術ジャーナル No.43
肘関節鏡視下手術の手順とpitfall
 
〈Editorial〉 橋詰 博行ほか
 
肘関節鏡視下手術の変遷 松浦 哲也ほか
肘関節鏡視下手術の体位,ポータル,適応,合併症といった基本的事項について歴史的変遷をもとに述べる.
肘関節の関節鏡および鏡視下手術(腹臥位) 島田 幸造
肘関節は比較的小さい関節腔の近くを重要な神経,血管束が走行しており,その鏡視下手術には事前の準備が重要である.鏡視下手術を念頭に置いたポジショニングとしての腹臥位による肘関節手技の概要を紹介した.
肘関節鏡(側臥位)の基本手技と手順 高橋 敏明ほか
術前診断を的確に行い,病変部に対しての処置を考え,術前プランとしてポータル部位,処置の手順を綿密に計画することが重要である.
肘関節鏡視下手術(仰臥位)の基本手技と手順 後藤 英之
仰臥位の肘関節鏡では上腕部に手台を用い小さな枕をいれて肘関節を浮かせた状態にするとよい.また前方鏡視では肩を外転および水平外旋すると内側からのアプローチが容易になる.
RA肘に対する関節鏡視下滑膜切除術の手術手技と注意点 橋詰 謙三ほか
我々の行っているRA肘に対する鏡視下滑膜切除術の手術手技,注意点,手術成績について述べた.
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(外側型野球肘)に対する
 肘関節鏡視下骨釘移植術の手技とpitfall
中村 俊康
上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎に対する肘関節鏡視下での骨釘移植術の手技とpitfallについて報告した.本手術の適応は分離初期の離断性骨軟骨炎で,離断部の関節軟骨の連続性があり,分離部の転位がない,またはわずかな症例である.分離部が明らかに転位した例や遊離期例では鏡視下に整復,骨釘固定することは困難である.肘関節鏡視下での骨釘挿入は肘関節強屈曲位で後方から行い,術後は2週間の外固定後,自動可動訓練を開始する.
スポーツ肘関節障害に対する肘関節鏡手術手技とpitfall 山崎 哲也
スポーツ肘関節障害のうち,全ての手術操作を関節鏡視下に行っている疾患の手術適応,手術手技とpitfallおよび手術成績を記述した.
肘関節鏡視下の橈骨頭骨折整復固定手術 中村 俊康
肘関節鏡視下での橈骨頭整復固定術について詳述した.Mason 2型骨折がよい適応で,前方および後方鏡視を併用しながら,エレバトリウムを用いて骨折を整復し,吸収性ポリ乳酸ピンなどで骨片を固定する.
内視鏡視下肘部管開放手術 鶴田 敏幸
小皮切による鏡視を利用した肘部管開放術である.直視下にて尺骨神経の剥離を行ったあと,遠位側,近位側のentrapment pointsを鏡視下にて切離する方法で,内側上顆の切除も皮切内で対応可能である.
USE systemを用いた肘部管症候群の内視鏡手術 吉田  綾ほか
USE systemを用いた肘部管症候群の内視鏡手術は局所麻酔下に外来日帰り手術で行える低侵襲手術である.本法の実際について説明する.
整形外科最小侵襲手術ジャーナル No.42
股・膝関節の最小侵襲手術
 
〈Editorial〉 出沢  明
 
人工股関節置換術における2-incisionアプローチの
 手術手技と臨床成績
平川 和男ほか
イメージを使用し,ブラインドで行う部分も多い特殊な方法であるため難易度も高いが筋腱切離をほとんど行わないためにリカバリーの早い有用な方法である.
小切開前側方進入人工股関節置換術の周術期合併症からみた
 臨床成績
樋口富士男
人工股関節置換術を最小侵襲手術として前側方進入法で実施する場合の術中の工夫を述べ,その臨床成績を周術期の合併症から分析した.術後の脱臼率は2.1%,再置換率は1.2%であった.
小切開後方アプローチ人工股関節の臨床結果 中村  茂
小切開後方進入法は,インプラントの設置精度や合併症頻度が標準切開後方進入法と同等で安全性が高く,術中出血量が少ない.
Postero-lateral Mini One IncisionによるTHAの
 手術手技のポイントと臨床成績の検討
田中 泰弘
後側方法によるMIS-THAの手術手技の詳細を報告し,従来法では得られないいくつかの利点に関して記述した.
股関節人工骨頭の臨床成績 吉原  潔ほか
小皮切での人工骨頭挿入術は美容的にも手術侵襲を小さくする意味でも有意義であるが,そのためにインプラント設置の正確性が損なわれてはならない.
Navigationシステムを用いた人工膝関節置換術 高亀 克典ほか
ナビゲーションシステムの利点,欠点を理解していただきこのシステムでは軟部組織バランスの定量評価が今後可能になる可能性が高い.
膝屈曲獲得最小侵襲手術TKA
 (良好なバランス獲得の工夫について)
金粕 浩一
最小侵襲人工膝関節全置換術において,術後深屈曲が得られた際にも安全で良好な治療成績をめざして,現在筆者が行っている手術手技と注意点について述べた.
オックスフォード型片側置換術―さらに小切開を目指して― 吉田研二郎
オックスフォード型片側置換手術を最小切開で注意する点を術中写真を中心に解説した.膝の姿位とレトラクションによるウインドウ手術の概念で手術を進めることがポイントである.
MIS-TKAにおける軟部組織バランス 水野 清典ほか
MIS-TKAにおける軟部組織バランスの調節方法の現状での問題点を解説した.MISでは展開が小さいため,骨切り前に軟部組織バランスを十分調節することが難しい.