Monthly Book ENTONI. No.117
味覚・嗅覚障害に対する診療戦略
 
味覚障害概論update 愛場 庸雅
味覚障害は,食生活,合併症,薬剤,心理,高齢化社会などの要因からもたらされる生活習慣病であり,患者のライフスタイルを全人的な視点で診る必要がある.
味覚障害の検査 生井 明浩
味覚機能検査(電気味覚検査,濾紙ディスク味覚検査)および血清亜鉛,鉄,銅,UIBC値,血清アルブミン値およびその他を組み合わせることにより,正確な診断が可能である.
味覚障害の治療 池田  稔ほか
治療の前に十分な原因・病態を検討することが重要.原因に合わせて治療を選択する.治療には,亜鉛剤,ビタミン剤などを主体に,必要があれば鉄剤,口内乾燥症状改善薬などを投与する.
味覚障害と唾液分泌障害 任  智美ほか
味覚障害や舌痛症は背景に口腔内乾燥が存在することがある.今回,唾液量との関係を当科のデータをもとに言及した.
中耳手術と味覚障害 阪上 雅史
中耳手術後の味覚障害は避けられないので,起こる可能性や予後を術前にインフォームドコンセントすることが肝要である.
嗅覚障害概論update 太田  康
嗅覚障害は障害部位から呼吸性,嗅粘膜性,末梢神経性,中枢神経性に分類され,原因から感冒後,副鼻腔炎,アレルギー性鼻炎,嗅裂炎,頭部外傷後,先天性,アルツハイマー病,亜鉛欠乏,原因不明などに分類される.
嗅覚障害の検査 三輪 高喜
国内外で行われている嗅覚機能検査について概説した.我が国で行われている,基準嗅力検査,静脈性嗅覚検査,嗅覚同定能検査について実際の検査方法とその有用性について述べている.
嗅覚障害の治療 小林 正佳
嗅覚障害の治療について,ステロイド薬点鼻療法の歴史,根拠,効果,短所,改良法を中心に解説し,さらに現在行われている他の主な治療法も紹介した.
慢性副鼻腔炎による嗅覚障害と鼻内視鏡手術 都築 建三ほか
嗅覚障害の原因でもっとも多い副鼻腔炎に対する手術治療(ESS)に関して,周術期,手術(嗅裂処理)の工夫,治療効果について概説する.
特殊な嗅覚障害
―異嗅症・外傷性嗅覚障害など―
井之口 昭ほか
外傷性嗅覚障害と異嗅症の臨床的事項について概説し,アルツハイマー病やパーキンソン病にみられる嗅覚識別障害の実際について解説した.
Monthly Book ENTONI. No.116
頭頸部癌診療のABC―診療所における基本戦略―
 
診療所における頭頸部癌 苦瓜 知彦
頭頸部癌患者は増加しており,癌患者の発見,治療施設への紹介,治療後の患者のフォローアップなど耳鼻咽喉科診療所の果たすべき役割は大きい.
外耳・中耳癌 大上 研二
外耳道炎,中耳炎と臨床的には鑑別が困難な外耳・中耳癌について,診療所における診断の注意点について解説した.特に病理診断医との連携の重要性を強調した.
鼻副鼻腔癌 松根 彰志ほか
鼻副鼻腔癌の早期発見における,診療所の役割は重要であり,高度な検査機器がなくてもその役割をはたすことは可能である.
口腔・中咽頭癌 山本 祐三ほか
口腔咽頭には癌および病因の異なる様々な腫瘤性疾患や潰瘍性疾患が発生する.これらの疾患の特徴と鑑別点を解説し,生検を含めた診療所での対応について述べた.
唾液腺癌―診療所における対応― 笠井  創
大唾液腺,小唾液腺を含め診療所の立場から唾液腺腫瘍とその他の唾液腺腫脹をきたす疾患の鑑別診断を述べた.病診連携に沿って,唾液腺癌患者への説明の要点を示した.
上咽頭癌 三輪 高喜
上咽頭癌は早期に見つけにくい癌であり,頸部リンパ節腫脹,耳症状,鼻症状,脳神経症状があれば,必ずファイバースコープでの観察を行わねばならない.治療後は口腔乾燥が必発であり,その対応についても述べた.
喉頭癌 森  一功
しばらく経過観察でもよいのは白斑状の白斑症,表面滑らかな肉芽腫.レーザー蒸散するのは乳頭腫,粘膜波動のない腫瘤型白斑症.生検が必要なのは表面不整な肉芽腫.
甲状腺癌 保喜 克文
甲状腺癌の診断には十分な問診と触診が重要で,とにかく甲状腺疾患を疑って診察することである.全般に予後良好であるが,浸潤癌では呼吸困難が初発症状ということもある.
頸部リンパ節転移 冨田 俊樹
頸部リンパ節腫大を契機に頭頸部癌が発見されることは少なくない.診療所において転移リンパ節を見逃さないための留意点を中心に解説する.
下咽頭・頸部食道癌 久保田 彰
下咽頭・頸部食道癌の放射線治療の生存率とQOLの向上に,生活習慣の改善による二次癌の予防,NBI内視鏡検査による早期癌の検出,早期の嚥下訓練による晩期嚥下障害の軽減が寄与する.
Monthly Book ENTONI. No.115
高齢者の補聴―実地診療に役立つ最新の知識―
 
補聴器フィッティングの全体像の理解 細井 裕司
耳鼻科医にとってまず必要なことは,補聴器フィッティング全体像の理解と耳鼻科医と補聴器技能者との役割分担を知ることである.
補聴器の適応
―聴覚障害者の来院から適応決定まで―
西村 忠己
補聴器の適応を決定するのは耳鼻咽喉科医が行う必要がある.聴力や聴覚障害者の生活環境などを考慮し総合的に適応を判断する.
補聴器フィッティングの実際 杉内 智子
補聴器のデジタル化とともにそのフィッティング手法も変化した.装用耳の決定や器種選択から,定着してきたパーソナルコンピュータによるデジタル調整について解説した.
フィッティングされた補聴器の評価と上手な使用へのアドバイス 真鍋 敏毅
フィッティングされた補聴器の有効性を判断する上で重要な,補聴器適合検査の実際とその運用法および補聴器の使用上の注意点を解説した.
騒音下での聞き取り改善を目指して
―マルチチャンネル,指向性,環境適応型など―
松平登志正
音声と雑音が,入射方向,周波数特性,時間的変動等のいずれかで異なる場合には,それ手がかりに音声を選択的に増幅し,雑音下の聞こえを改善できる可能性がある.
オープンフィッティングとハウリング制御
―軽度難聴者の補聴器装用のために―
白石 君男
オープンフィッティングの補聴器は,耳あな型のように目立たないという外観と耳かけ型のもつ高度な機能の両面を兼ね備えることができる補聴器で,こもり感を大幅に軽減するため低音がほぼ正常な軽度難聴者に極めて有効である.
手術を要する補聴器(人工中耳,BAHA)と人工内耳と補聴器の併用 岩崎  聡ほか
体内に埋め込み手術を要する補聴機器である人工中耳・BAHA(埋め込み型骨導補聴器)と補聴器機能も併せ持った新たな人工内耳について紹介した.
補聴周辺機器,支援機器 佐野  肇
補聴周辺機器・聴覚支援機器は環境音や会話を聞き取るための機器で,周囲が騒がしい場所での会話,電話,テレビ,大きな部屋や会場での聞き取りなど特定の状況において有用性を発揮する.
補聴器に関連する法律,資格などと補聴器の供給 田内  光
補聴器関連の法律として薬事法,身体障害者福祉法,障害者自立支援法を解説し,日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医および認定補聴器技能者,認定補聴器専門店につき説明した.
Monthly Book ENTONI. No.114
口腔アレルギー症候群への対応
 
口腔アレルギー症候群とは 竹内 万彦
口腔アレルギー症候群とは,口腔粘膜における食物(果物・野菜)による接触蕁麻疹であり,症状発現は通常5分以内で,花粉症,ラテックスアレルギーに合併することが多い.
口腔アレルギー症候群の診断 猪又 直子
OASの診断では,果物や野菜が原因の場合,新鮮な食品そのものを用いるプリックテスト(プリック-プリックテスト)が有用である.さらにin vitro検査の阻害試験で花粉と食物の交差反応が確認されると,花粉感作が原因で生じた花粉-食物アレルギー症候群と診断できる.
口腔アレルギー症候群に伴う全身症状 谷口 裕子
口腔アレルギー症候群は稀にアナフィラキシーを伴うことがある.発症時の治療とともに,予防対策が重要である.
小児の口腔アレルギー症候群の特徴 杉井 京子ほか
小児はOAS以外の食物アレルギー合併例が多い.花粉症発症例は少ないが,花粉特異的IgE抗体陽性者は多い.食物,花粉が共に感作抗原として関与している可能性がある.
口腔アレルギー症候群の治療 近藤 康人
花粉症免疫療法によるOAS治療効果に関しては賛否両論あり.本論ではこれまでに報告された各々の代表的な論文を取り上げ検証する.
口腔アレルギー症候群と食物アレルギー 徳田 玲子ほか
食物アレルギーはその感作成立機構によって,クラス1とクラス2に分類される.本稿ではOASに関してクラス2食物アレルギーという観点から解説する.
スギ花粉症と口腔アレルギー症候群 石田  孝
スギ花粉症患者のOASを診断するためには,診察時の問診がもっとも重要である.シラカンバ・イネ科(カモガヤ,チモシーなど)・雑草(ブタクサ,ヨモギなど)花粉の重複感作にも留意する必要がある.
ラッテクスアレルギーと口腔アレルギー症候群 大砂 博之
ラテックスアレルギーの約1/2〜1/3に,latex-fruit syndromeを合併する.果物アレルギーがある場合は,ラテックスアレルギーの検討も必要である.
シラカバ花粉症と口腔アレルギー症候群 朝倉 光司
シラカバ花粉症ではBet v 1およびその関連抗原を介したバラ科果物のOASが特徴的である.他の花粉症合併例では,プロフィリンを介したOASも加わる.
生肉による口腔アレルギー症候群 坂井田 寛ほか
稀な食肉による口腔アレルギー症候群について症例を提示した.アレルゲンは哺乳動物間で相同性が高く,交差抗原性を示すアルブミンである.
口腔アレルギー症候群の予防 赤澤  晃
口腔アレルギー症候群の発症予防は,現時点ではアレルゲンからの回避である.将来的には,治療として経口免疫療法の可能性が期待される.
Monthly Book ENTONI. No.113
耳鼻咽喉科外来診療―私の工夫―
 
外耳道異物・耳垢塞栓除去 桂  弘和ほか
外耳道異物と耳垢塞栓は日常診察で扱うことの多い疾患であり,外耳道内での操作が必要であるため鼓膜や外耳道をいかに損傷せずに取り出すかが大きなポイントとなる.
幼小児反復性中耳炎 丸山裕美子
小児急性中耳炎・遅延性中耳炎・反復性中耳炎に対する当院での外来診療の実際を紹介する.局所・患児・保護者への対応について,現時点における工夫を具体的に示した.
小児急性中耳炎の鼓膜切開術
―OtoLAM®を中心として―
上出 洋介
OtoLAMは万能の鼓膜切開デバイスではない.乳幼児ではやはり難しく,技術を習得する必要がある.一方で今まで指摘される機会の少なかった中耳粘膜病態を正確に把握することが可能となった.
慢性中耳炎術前術後処理 高橋 晴雄
慢性中耳炎に対して行われる鼓室形成術は遊離組織移植を伴う形成手術であり,感染は非常に不利な条件である.術前後には極力感染・炎症を消退させることが重要である.
耳管の処置治療 守田 雅弘
耳管狭窄症では,通気処置時は指の操作でパルス状に加圧する.耳管開放症では,Bezold末,ルゴールなどの薬液を耳管内に塗布する.生理食塩水の耳管内への注入も有効で安全に際限なく使用できる.
簡易平衡検査 江上 徹也
多忙な外来診療の中でめまい・ふらつきを要領よく診療するための平衡機能・神経学的検査の簡易化の工夫とともに危険なめまいの見逃し予防対策を解説した.
小児鼻処置の工夫 工藤 典代ほか
鼻症状のある小児にガーゼによるこう鼻を行い,小児鼻副鼻腔炎の重症例,遷延例は,鼻腔を十分に観察し鼻処置,中鼻道開大処置を行う.症状改善のない場合は上顎洞穿刺洗浄を行うこともある.鼻腔所見に応じて鼻処置を工夫し行うことは,小児鼻副鼻腔炎の治療において適切な抗生剤の使用と並んで重要である.
副鼻腔自然口開大,洗浄処置 鴻  信義
副鼻腔洗浄の目的・役割と実際の手技を解説した.また,最近開発された新しい自然口開大・洗浄用の機器について紹介した.
鼻出血止血法および鼻咽腔止血法 藤枝 重治ほか
鼻出血止血法の基本は,ボスミン付きガーゼの挿入であるが,最近は吸収性外用止血材,アルギン酸塩被覆材などが効果的である.一旦止血後,電気凝固すると良い.
副鼻腔(上顎洞)穿刺 松根 彰志
副鼻腔穿刺は,急性副鼻腔炎や慢性副鼻腔炎の急性増悪さらには副鼻腔嚢胞などに対する,外科的なドレナージ処置の1つであり,日常臨床で大変重要な手技である.
嗅覚障害の治療 井之口 昭
鼻副鼻腔炎嗅覚障害に対するステロイド,マクロライド,手術による改善度,感冒後嗅覚障害に対する漢方治療,ステロイド点鼻の効果的な実施法について述べた.
血管運動性鼻炎 湯田 厚司ほか
血管運動性鼻炎は,抗原や刺激要因が不明で鼻アレルギー類似症状を示す.自律神経の関与が考えられるが,著効薬がない.喘息移行にも注意が必要である.
舌痛症の治療 市村 恵一
舌痛症の診療に当たっては,shared decision makingが重要である.決定的な治療法はないながら,近年判明してきた成因から導かれるいくつかの手段を組み合わせて,改善を図る.
味覚障害の治療 池田  稔ほか
味覚障害の原因として頻度が高いのは,亜鉛欠乏を基礎としたものであり,亜鉛剤の内服治療が有効である.口内乾燥や口内炎による味覚障害への対処法についても述べた.
扁桃処置と上咽頭処置 原渕 保明ほか
扁桃処置として,陰窩洗浄法,レーダー吸引法を,また上咽頭処置について解説する.
扁桃炎,扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍の処置 上村 尚樹
1.急性扁桃炎,膿瘍における起炎菌の現状と薬剤感受性
2.急性扁桃炎に対するスコアリングシステム
3.扁桃周囲膿瘍における局所麻酔と切開手技
4.ステロイドの併用(その投与量と期間)
喉頭・咽頭の異物摘出 森  一功
喉頭・咽頭異物の摘出のポイントは以下のとおり.(1) 局所麻酔でほとんどすべてが決まる.(2) 昨今では電子スコープ下での摘出が容易である.(3) 無理はしない.
間接喉頭鏡下喉頭処置 鮫島 靖浩
間接喉頭鏡下処置は記録に残せない,細かい操作が困難,習熟に時間を要するなどのデメリットがあるが,習熟すると一人で速やかに処置を行うことが可能で大変有用である.
喉頭ポリープ,結節の保存療法 松永  敦
喉頭の非腫瘍性病変に対して丁寧な問診や音声治療を行うことで高まる保存治療の可能性を述べる.
喉頭アレルギーの診断と治療 内藤 健晴
慢性型喉頭アレルギーに対する薬物療法は診断基準を兼ねて抗ヒスタミン薬内服が主となり,ステロイド吸入,漢方薬も考慮される.
中・下咽頭におけるNBIの有用性 篠崎  剛ほか
NBI(narrow band imaging)システムによる観察は通常光と比較して表在病変の描出に優れているため,血管異型の検出や病変範囲の確認に有用である.
小児気道閉塞の外来での対応 平林 秀樹
小児の気道閉塞の診断・治療は,迅速な原因の特定が重要である.耳鼻咽喉科医は上気道疾患か下気道疾患か,緊急処置が必要か否かの的確な判断が必要で,喉頭内視鏡検査が有効な診断法である.
ネブライザーおよび超音波ネブライザー 鈴木 賢二
ネブライザー療法は,疼痛なしに高濃度に速やかに薬液を目標に到達させることができ,血液中移行が僅かで副作用を回避することができ,安全で簡便で有用な治療法である.
妊婦・授乳婦への薬物投与 佐藤  章ほか
女性に投薬する場合には,妊娠しているかどうかを確認することと,使用する必要性がリスクを超える場合に使用し,その説明と同意をとることが重要である.
外来での消毒・滅菌 重野浩一郎
適切な洗浄,消毒や滅菌は医療関連感染を未然に防ぎ,病原微生物のヒト-ヒト間の伝播を予防する.
Monthly Book ENTONI. No.112
耳鼻咽喉科クリニックで必要な感染対策
 
耳鼻咽喉科における感染制御の難しさ 林  俊治ほか
耳鼻咽喉科は医療関連感染の制御が難しい科である.この現状を解決するためには,耳鼻咽喉科の特殊性を考慮した感染制御ガイドラインを作る必要がある.
手指の衛生 大久保 憲
医療現場では速乾性擦式アルコール製剤を使用した擦式消毒法がもっとも推奨される方法となった.一方,アルコールに抵抗性の微生物を考慮して流水と石鹸を使用した手洗いも重要である.
耳鼻咽喉科クリニックで必要な感染制御
―消毒薬の適正使用を中心に―
木津 純子
感染制御の基本の一つは適正な消毒である.医療現場における消毒薬の選択方法,使用上の注意点について具体的に述べる.
内視鏡の洗浄 平田 敦美
内視鏡の洗浄・消毒の際には,使用内視鏡の構造を知り,適切な洗浄剤・消毒剤を使用し,適切な方法により処理することが大切である.
針刺し事故の予防と対策 柳下 芳寛
医療従事者は血液媒介感染症の危険性が高い.感染防止にB型肝炎ワクチンは有効で,リキャップ禁止と安全器材で針刺し事故は減少する.感染阻止とフォローアップ,労災手続き,精神的サポートにも配慮する.
手術部位の感染防止 草地 信也ほか
米国のエビデンスが全て日本の医療に適合するわけではない.正しい術後管理は極めて質が高い日本の手術技術,周術期管理とエビデンスの協調であるべきである.
多剤耐性菌対策 大毛 宏喜ほか
多剤耐性菌の中でも,耳鼻咽喉科領域で今後重要性が高まることが予想される,MRSAとESBL産生菌について述べる.
結核,麻疹・水痘対策 矢野 邦夫
空気感染隔離室ではスモークチューブによる空気流の毎日の測定が必要であり,N95マスクではフィットテストおよびシールチェックが不可欠である.
中心静脈カテーテルの感染防止対策 井上 善文
中心静脈カテーテルに関連した感染症は,院内感染の重要な要因となっている.適切な管理を行うことにより,その発生率を最小限に抑えることが可能である.
新型インフルエンザ対策
―医療と社会の機能を維持するために―
森澤 雄司
新型インフルエンザPandemic(H1N1)2009ウイルス世界大流行の状況を概説して,臨床および公衆衛生的な対策を議論する.
耳鼻咽喉科クリニックにおける感染防止対策
―私はこうしている―
森  繁人
耳鼻咽喉科診療所における感染予防対策の自験例について,とくにネブライザーの感染対策,患者間の感染予防と抗生剤・マクロライドの処方に関して重点を置いて紹介し,考察を加えた.
Monthly Book ENTONI. No.111
顔面神経麻痺治療update
 
顔面神経麻痺の疫学と診断 古田  康
末梢性顔面神経麻痺,特にBell麻痺とHunt症候群の疫学・病因について述べ,また原因の鑑別診断について症例を提示しながらそのポイントを解説した.
麻痺の重症度と予後診断 青柳  優ほか
予後診断では電気刺激によりWaller変性の程度を判定するが,刺激部位でWaller変性が完成する発症7日目以降でないと正確な診断はできない.
Bell麻痺,Hunt症候群の保存治療 羽藤 直人
病因ウイルスや麻痺程度,発症からの経過日数,合併症の有無は症例ごとに異なるため,抗ウイルス薬とステロイド薬を用いた保存治療はテーラーメードに行うべきである.
外傷性顔面神経麻痺 池田  稔
側頭骨骨折は縦骨折と横骨折に分けられる.多くは縦骨折であり顔面神経麻痺,伝音難聴,耳出血がみられる.横骨折は高度の顔面神経障害と内耳障害が高率に合併する.
小児の顔面神経麻痺 寺田 喜平
小児顔面神経麻痺は多彩で,Bell麻痺,Hunt症候群,先天性,外傷性,耳炎性の順で多かった.乳幼児は先天性や耳炎性が,学童にHunt症候群が多かった.
顔面神経麻痺のリハビリテーション 中村 克彦
顔面神経麻痺後の病的共同運動は,ミラーバイオフィードバックによる予防が可能である.予後診断法を行い,神経障害の程度に応じたミラーバイオフィードバックを指導する.
手術適応決定因子 萩森 伸一
顔面神経麻痺の手術決定因子について,顔面神経減荷術と神経吻合・移植術,形成外科的手術に分けて解説した.疾患や発症からの時間経過によって術式が異なるので,手術時期を逸しないよう注意しなければならない.
顔面神経麻痺の観血的治療 村上 信五ほか
顔面神経麻痺の観血的治療には,顔面神経減荷術はじめ,神経移植・吻合術,筋移行術などの動的再建術,眉毛・口角の吊り上げ術などの整容的(静的)形成手術,さらには病的共同運動に対する選択的筋切除術などがある.これらの手術において重要なことは,顔面神経減荷術では手術適応と手術時期を逸しないこと,動的再建術では適切な神経や筋を用いること,整容的形成手術では種々の方法を組み合わせることである.
顔面神経麻痺Q & A
Monthly Book ENTONI. No.110
耳鼻咽喉科医が知っておきたい漢方薬のイロハ
 
めまい 渡辺 行雄ほか
めまいに対して有効性があるとされている漢方薬と,その生薬成分および薬理作用を理解するとともに,これを基礎としてめまい症例に対してどのように漢方薬が応用されているかの実際を理解していただきたい.
耳 鳴 齋藤  晶ほか
西洋医学的病名からの処方選択および漢方医学的な知識を利用した処方選択について述べた.後者は,入門・初級・中級編の3つのステップに分けて説明した.
頭 痛 金子  達
炎症性頭痛には川弓茶調散が有効である.片頭痛は五苓散,呉茱萸湯などが常用処方で,緊張性頭痛は葛根湯,柴胡加竜骨牡蛎湯,加味逍遙散,釣藤散などが常用処方である.
小児反復性中耳炎 丸山裕美子ほか
2歳未満児の易感染性の一因として免疫能の未熟さが挙げられる.乳幼児反復性中耳炎に補剤を使用し,宿主の免疫能をサポートすることの有用性を示した.
神経性嗅覚障害 三輪 高喜
感冒罹患後嗅覚障害,外傷性嗅覚障害などの神経性嗅覚障害に対する漢方治療の有効性を当帰芍薬散を中心に述べた.
アレルギー性鼻炎 山際 幹和
アレルギー性鼻炎の漢方治療は,西洋医学・薬学的根拠に立脚し,小青竜湯などの麻黄含有漢方薬を主たる選択肢として,患者の体質と症候を考慮しながら実践すべきである.
咽喉頭異常感症 荻野  敏
咽喉頭異常感症に対して多くの治療薬が用いられる.漢方薬,その中でも柴朴湯は有効性は高く,証を考慮せずに広く使用できることから投与する価値のある漢方薬といえる.
老人性嗄声 望月 隆一ほか
老人性嗄声に対する補中益気湯の効果について紹介する.嗄声や発声困難感などの自覚症状や,最大発声持続時間が有意に改善した.
慢性咳嗽に対する漢方薬の選択法 内藤 健晴
耳鼻咽喉科領域の慢性咳嗽では喉頭アレルギーには麦門冬湯,麻黄附子細辛湯が,慢性副鼻腔炎には葛根湯加川弓辛夷が,胃食道逆流には六君子湯が有用と思われる.
胃食道逆流症 渡嘉敷亮二
GERDによる咽喉頭症状の治療には胃運動能の改善に目を向ける必要があり,六君子湯などの消化管運動改善薬による治療効果が期待できる.