Monthly Book Derma. No.168
注入剤による治療 実践マニュアル
 
注入剤による治療―総論― 高柳  進
コラーゲン,ヒアルロン酸,脂肪などの注入や,ボツリヌストキシン,多血小板血漿,ハイドロキシアパタイトを使用した治療経験について述べた.
しわの治療:ウシ・ヒト・ブタ由来コラーゲンとヒアルロン酸を使用 征矢野進一
患部の状態(皮膚の厚さや硬さなど)を考慮して注入製剤の種類を検討し,吸収の早いものから使い始めることが肝要である.
しわの治療:ボツリヌス毒素製剤を使用 白壁 征夫ほか
BOTOX Vistaを用いた顔面の若返り法は顔面表情筋の解剖を熟知すれば,しわを改善するだけではなく挙筋と下制筋のどちらかを緩めることにより膨らましたり,平らにすることも可能である.
陥凹の治療:自己脂肪注入,幹細胞注入について 吉村浩太郎
脂肪注入移植はSLEやロンバーグ病をはじめ,さまざまな陥凹変形に対して,手術瘢痕を残すことなく,軟らかく自然な組織を再現することを可能にする.脂肪幹細胞をはじめとした研究が進み,近年大きな進展がみられている.
陥凹の治療:多血小板注入について 川添  剛ほか
近年,しわ,たるみ,陥凹の治療として用いられている,多血小板血漿(PRP;platelet-rich plasma)注入療法に関して,基礎・臨床両面から概説する.
外形を変える治療:コラーゲンやヒアルロン酸製剤による
隆鼻・隆顎などの治療
征矢野進一
患部の状態(皮膚の厚さや硬さなど)を考慮して注入製剤の種類を検討し,適切な種類の注入製剤を使うことが肝要である.
外形を変える治療:ハイドロキシアパタイト製剤による
隆鼻術,隆顎術,しわの治療
衣笠 哲雄
隆鼻術や隆顎術における注入剤として用いる際に,カルシウム・ハイドロキシアパタイト注入剤は,従来のヒアルロン酸注入剤に比べ,よりファインでシャープな立ち上がりが得られ,その持続期間も18〜24か月の長期にわたる.
外形を変える治療:A型ボツリヌス菌毒素製剤(BTXA)による
筋肉減量治療―いわゆる「えら」および「ふくらはぎ」縮小術について―
青木  律
A型ボツリヌス菌毒素製剤の注射は患者の肉体的負担が少なく,効果が高い方法である.適応に当たっては,その生理および解剖を熟知し,手技を十分習得したうえで行うべきと考える.
外形を変える治療:注入治療による乳房の改善―自己脂肪移植など― 吉村浩太郎
脂肪注入移植は手術瘢痕を残すことなく,軟らかく自然な乳房を再現することを可能にする.脂肪幹細胞をはじめとした近年の脂肪移植技術の進歩により,従来不適切とされてきた乳房への応用も改めて評価されている.
注入治療における合併症とその対策 佐藤 和夫ほか
美容的に顔にfillerを注入する手技は容易だが,心停止,失明,鼻翼および下口唇欠損などが起きると事は重大となる.さらに注入された非吸収性異物全摘出となるとさらに困難となる.
Monthly Book Derma. No.167
皮膚潰瘍治療戦略 update
 
新しい創傷治癒の考え方と近未来 玉井 克人
骨髄からの血流を介した間葉系幹細胞供給システムが存在し,創傷治癒に寄与している.
糖尿病性潰瘍・壊疽 中川  登ほか
糖尿病性足病変(diabetic foot)は皮膚科医が初診時に的確な診察を行い,その原因を見極め治療に導くことが大切である.
閉塞性動脈硬化症,バージャー病 外山 康之ほか
近年,薬物療法やカテーテルによる血管内治療,バイパス手術といった既存の治療法では改善が見込まれない重症虚血肢に対する血管新生療法の長期効果と安全性が報告された.
静脈うっ滞性下腿潰瘍 是枝  哲
静脈うっ滞性潰瘍は下腿潰瘍のなかで頻度が高く,そのなかでも下肢静脈瘤の患者の場合,適切に圧迫療法,手術療法,硬化療法などを施行することで速やかに治癒が期待できる.
放射線皮膚障害 神谷 秀喜
急性放射線障害は線量によっては深達性の場合もあり,外科的治療の適応となる.最近はIVRに伴う放射線障害も増加し,皮膚科医が積極的にかかわるべき領域である.
車椅子による褥瘡 立花 隆夫
車椅子褥瘡を予防,ケアあるいは治療するには,その特殊性を理解したうえで,車椅子と車椅子上での姿勢,クッション,および圧力分散が患者に適しているかを見極めることが大切である.
関節リウマチに伴う下腿潰瘍 長谷川道子
関節リウマチに伴う難治性下腿潰瘍の診療に当たっては,成因の分析とそれに基づいた治療法の選択が重要である.
神経障害による皮膚潰瘍 寺師 浩人ほか
神経障害による潰瘍は,知覚神経障害のみならず,自律神経障害,運動神経障害それぞれが創傷治癒を遅延させている.治療を進めるうえでフットウェアは重要な位置を占める.
薬剤注射部位に生じる皮膚潰瘍 土岐 清香
薬剤を皮下注,筋注した際に注射部位に潰瘍・壊死をきたす場合がある.注射部位に皮膚潰瘍を生じうる代表的な薬剤の種類,発症機序,予防対策,治療法について述べる.
壊疽性膿皮症 大熊 慶湖ほか
壊疽性膿皮症は,稀な疾患で原因不明の炎症性皮膚疾患である.難治例も多いが,顆粒球除去療法が著効した例を示し本症について解説する.
Monthly Book Derma. No.166
皮膚悪性腫瘍 診断と治療
 
メラノーマのセンチネルリンパ節生検の現状と今後 堤田  新ほか
センチネルリンパ節生検は,現在メラノーマの治療における標準治療となりつつある.最近では“日本におけるエビデンス”が蓄積され始めている.
ダーモスコピーによるメラノーマの鑑別診断 田中  勝
ダーモスコピーのポイントは「色」と「構造」である.色は,色素の組織中の深さと量で決まり,構造には表皮索の形と色素の出現過程が大きく影響する.
メラノーマの免疫療法の現状と今後 金本  彰ほか
米国ではFDAが1986年にINF-αを承認後も果敢に悪性黒色腫に対して,免疫療法の開発に取り組んでいる.一方,本邦では再発例には依然ダカルバジン頼りである.
メラノーマの重粒子線療法の適応と臨床的意義 寺本由紀子ほか
悪性黒色腫はこれまで放射線抵抗性とされてきたが,重粒子線は高い局所制御率を示し,少ない副作用で患者のQOLを低下させることなく治療が可能である.
メラノーマの進行期における治療戦略 山崎 直也
進行期悪性腫瘍の予後は非常に悪い.全身化学療法の効果は限定されており,治療成績の向上のためには各種局所治療の効果的な組み合わせを考えた戦略が必要である.
メラノーマの分子標的治療の臨床的展望 高田  実
近い将来にメラノーマの分子標的治療が可能になると思われる.それを有効に行うためには,腫瘍の遺伝子解析などにより適切に症例を選択することが重要である.
メラノーマの診療ガイドラインについて 古賀 弘志
メラノーマ診療の全体図をとらえるために,一度はガイドラインのCQおよびに推奨文に目を通しておいたほうがよい.患者が来た場合は,患者の目の前でガイドラインを広げつつ診療を行うべきである.
有棘細胞癌の診療ガイドラインについて 梅林 芳弘ほか
有棘細胞癌の診療上立ち上がってくる種々の疑問点に対し,新しいガイドラインではEBMの手法にのっとり,根拠となる文献を示しながら推奨文と解説を提示している.
基底細胞癌の診療ガイドラインについて 竹之内辰也
2007年に本邦で公開された基底細胞癌の診療ガイドラインについて解説した.次回改訂に向けては,日本人を対象としたエビデンスの充足が必要である.
乳房外パジェット病の診療ガイドラインについて 清原 隆宏
乳房外パジェット病の標準的治療は外科療法である.浸潤癌にはセンチネルリンパ節生検が,片側所属リンパ節転移には根治的リンパ節郭清が推奨される.両側リンパ節転移や遠隔転移には化学療法や放射線療法が中心となる.
Monthly Book Derma. No.165
これはやってはいけない 美容皮膚診療
 
美容皮膚科の現状 古川 福実
美容皮膚科の現状を,学問大系としての発想と飛躍が必要である,との思いから記述した.学問的思想を伴わない美容皮膚科こそが「やってはいけない美容皮膚診療」であろう.
悪性疾患を見逃すな―ダーモスコピーの活用― 橋本  学ほか
ホクロ,シミの治療の際に重要なことは,確実な診断が求められる悪性疾患を見逃さないことである.ダーモスコピーが良性,悪性の鑑別に役立つ.
やってはいけない美容施術―セカンドオピニオンでの実例― 高田 章好
医師・患者ともに安全でできるだけ持続効果のある注入剤を求めているが,注入は簡単にできてもトラブルを生じるとその処置は外科的になることを考えて選択せねばならない.
疾患別
 ホクロ治療でやってはいけないこと 大原 國章
外観の改善が得られなければトラブルを招くことがあるし,再発についても事前の説明が必要.最も重大なのは皮膚癌の見落とし,誤診である.小さな基底細胞上皮腫,悪性黒子は臨床診断が難しい.
 シミ治療でやってはいけないこと 長濱 通子
正しいシミ治療を行うために,シミの的確な診断と治療選択の重要性について臨床例を挙げて論じた.
 レーザー脱毛でやってはいけないこと 鈴木 晴恵
既にレーザー脱毛が広く普及しているエステ業界に対し,合併症の予防を含めた模範となるような脱毛技術を示し,多毛症例に潜んでいる疾患を発見・治療するなどが医師としてのレーザー脱毛へのかかわり方であろう.
治療方法別
 ケミカルピーリングによる治療でやってはいけないこと 山本 有紀
本稿では,ケミカルピーリングの治療で知っておかなければならない知識や実際の治療における注意点を列挙する.
 IPLによる治療でやってはいけないこと 根岸  圭ほか
IPLによる美容皮膚治療が普及している.汎用性の高い治療であるが,合併症や効果が不十分な例を見かける現状がある.本稿ではこれらの対策について概説する.
 レーザーによる治療でやってはいけないこと 秋田 浩孝
主に,(1)レーザー治療機器の理論,(2)眼球に対する安全性,(3)レーザー機器の使用に付随して起きる問題,(4)レーザー治療を行う際に注意すべき皮膚疾患を中心に報告する.
 注入療法による治療でやってはいけないこと 征矢野進一
患部の状態(皮膚の厚さや硬さなど)を考慮して注入製剤の種類を検討し,吸収の早いものから使い始めることが肝要である.
行政面
 クレーム対応時にやってはいけないこと 田邉  昇
(1)相手を知らずに対応するな,(2)クレームか苦情か区別せずに対応するべからず,(3)単独での対応,記録なしの対応はするな,(4)説明義務違反を安易に認めるな,(5)金を先に呈示するな,(6)示談書は契約書,素人が書くべからず,(7)交通事故基準を無視するなかれ,(8)刑事事件にするべからず,(9)謝罪は誠意などと思うな,(10)聞かずに話すな.
 自費診療と保険診療
 ―診療費用請求に関してやってはいけないこと―
宮崎 孝夫
美容皮膚科の大部分の診療行為を行ううえで,ともすれば忘れがちな保険適応とならない診療(自費診療)報酬請求に関しての注意点について記載した.
Monthly Book Derma. No.164
小児皮膚診療 パーフェクトガイド
 
I.日常的にみられる小児の皮膚疾患
 新生児期の生理的変化・乳児湿疹 高山有由美ほか
新生児にみられる皮膚変化のほとんどは一過性で自然消退するものが多く,それらを部位別にまとめた.また,乳児脂漏性湿疹とアトピー性皮膚炎との鑑別についても述べる.
 アトピー性皮膚炎 朝比奈昭彦
アトピー性皮膚炎の病態には,アレルゲンに対する過敏性や免疫異常を示すアレルギーの側面と,ドライスキンでさまざまな刺激に敏感となる非アレルギーの側面がある.
 おむつ皮膚炎・汗疹・多汗症 松村 由美
おむつ皮膚炎,汗疹,多汗症の成立機序,治療(予防)について概説した.最近の紙おむつについての知見やスキンケアに基づいたおむつ皮膚炎の治療についても詳述した.
 脱毛症 大山  学
小児にみられる脱毛症について,特に円形脱毛症とその鑑別疾患(脱毛を呈する遺伝性疾患,トリコチロマニア,休止期脱毛,頭部白癬など)に重点を置き,特徴・診断・治療について解説した.
 中毒疹・薬疹 阿南  隆
小児の中毒疹と薬疹の特徴について概説する.薬疹の診断は適切に行われるべきであり,過大評価は避けねばならない.重症薬疹では遅発性合併症についての注意も必要である.
 虫刺症 石崎 純子
幼児では蚊刺症で著明な腫張をきたしやすい.幼小児にアタマジラミの小流行が続いている.マダニ刺症は頭部にも好発する.虫刺症に続発する二次感染に注意する.
 蕁麻疹・アナフィラキシー 幸野  健
蕁麻疹はありふれた疾患であるが,いくつかの病型ではアナフィラキシーも起こりうることを銘記しておくべきである.
 接触皮膚炎 幸田  太
小児の皮膚は生理的に接触皮膚炎を起こしやすい条件を備えている.治療の根本は原因物質の除去である.そのためには原因物質を明らかにし,適正な生活指導を行うことが求められる.
 爪の異常 齊藤 典充
子どもにみられる爪疾患には,先天性と後天性がある.また爪疾患には限局性のものと,全身疾患の部分症状として変化をきたすものがあり,特徴のある臨床症状を示す.
II.小児に多い皮膚感染症
 伝染性膿痂疹・SSSS 西嶋 攝子
伝染性膿痂疹,SSSSはいずれも表皮剥脱毒素(ET)を産生する黄色ブドウ球菌の感染によって発症する夏季における小児の代表的な細菌感染症である.
 伝染性軟属腫・尋常性疣贅・扁平疣贅 石地 尚興
小児によくみられる伝染性軟属腫,疣贅ともによい治療法がなく,症例によって治療法を工夫する必要がある.
 単純ヘルペスウイルス感染症 渡辺 大輔
単純ヘルペスウイルス(HSV)による小児の皮膚病変は多彩である.本稿では小児のHSV感染症の疫学,臨床症状,診断,治療について解説する.
 水痘・帯状疱疹 細矢 光亮
水痘・帯状疱疹ウイルスは,飛沫核(空気)感染するため,感受性者が多い集団でいったん発症すると,流行は長期間持続する.従って,集団生活に入る前にワクチンを接種しておくことが重要である.
 手足口病・エンテロウイルス感染症 藤田 彩乃
手足口病は夏風邪の一つであり,通常は軽症であるが,エンテロウイルス71の流行によっては中枢神経合併症を伴い重症化することもある.
 麻疹・風疹・突発性発疹・伝染性紅斑 清島真理子
麻疹,風疹,突発性発疹,伝染性紅斑は小児に好発する急性ウイルス性発疹症である.通常予後は良好であるが,ときに重症化例,後遺症を残す例があるので注意が必要である.
 白癬・カンジダ症・スポロトリコーシス 加藤 卓朗
白癬,カンジダ症,スポロトリコーシスの臨床症状は多彩で,診断は真菌検査(特に直接鏡検)で行う.治療は抗真菌薬の外用と内服の選択が重要である.
III.全身疾患に伴う皮膚病変
 川崎病(Kawasaki disease) 出光 俊郎ほか
皮膚科医の役割は発熱と発疹を伴う患者の皮膚粘膜所見から川崎病の早期診断を的確に行うことにある.初期に免疫グロブリン治療を行えば,発熱期間の短縮,炎症反応の早期改善,冠動脈病変の発生を抑制することが可能である.
 新生児エリテマトーデス・SLE・シェーグレン症候群 谷川 瑛子
NLEの皮疹は通常6か月で消退する.小児SLEの皮疹は蝶形紅斑が最も多く,DLEなどの慢性型皮疹は稀である.小児SjSでは乾燥症状を欠くことが特徴である.
 皮膚筋炎・全身性強皮症 永井 弥生ほか
皮膚筋炎,全身性強皮症の小児例は稀だが,成人とは異なる特徴を有し,小児独自の診断基準作成が提唱されている.限局性強皮症は小児にも好発し,機能的予後が問題となることがある.
 紫 斑 中野 敏明ほか
紫斑の原因,臨床所見と診断の進め方,また小児の臨床でよく遭遇するHenoch-Schönlein purpura(idiopathic thrombocytopenic purpura)と特発性血小板減少性紫斑病について,その臨床的特徴と鑑別疾患,診断,治療法を中心に解説する.
IV.先天性皮膚疾患
 いちご状血管腫・ポートワイン母斑 岩本  拓
いちご状血管腫とポートワイン母斑について概説した.いちご状血管腫では増殖性変化をきたす前に治療すること,ポートワイン母斑では深部病変を発見することが重要である.
 扁平母斑・神経線維腫症1型・2型・Albright症候群 川内 康弘
いわゆるカフェオレ斑を呈する疾患は,扁平母斑が最もありふれたものであるが,ときに神経線維腫症1(NF1),神経線維腫症2(NF2),Albright症候群などの先天性母斑症の皮膚症状である場合もある.
 太田母斑・異所性蒙古斑 百澤  明
Qスイッチレーザーによるレーザー治療が第一選択であり,治療法は既に確立されている.最もメラニンに対する吸収のよいQスイッチルビーレーザーが第一選択のレーザーであるが,QスイッチアレキサンドライトレーザーやQスイッチNd:YAGレーザーの特徴を理解して,使い分けることも,さらなる治療の質の向上に必要なことである.
 色素細胞母斑・神経皮膚黒皮症・Spitz母斑 宇原  久
メラノーマ発生予防のために大型の母斑は切除したほうがよいのか? 中枢神経病変の早期発見のためにMRIは有用なのか?
 白皮症・脱色素性母斑・伊藤白斑・結節性硬化症 占部 和敬
先天性の色素脱失を示す小児の疾患について解説した.
 色素失調症・色素血管母斑症 馬場 直子
母斑が初発症状となり,神経系はじめ他臓器の種々の合併症を持つ可能性のある,色素失調症と色素血管母斑症について,診断と治療,長期フォローの要点を述べた.
 表皮水疱症 秋山 真志
表皮水疱症は,解剖学的水疱形成部位により3型に分類される.単純型は表皮内に,接合部型はlamina lucidaに,栄養障害型はlamina densaの下方に水疱を生じる.
 乾癬・類乾癬・掌蹠角化症・毛孔性紅色粃糠疹 濱田 尚宏
小児の乾癬,類乾癬,毛孔性紅色粃糠疹の臨床的特徴や診断,治療について概説する.また,遺伝性皮膚疾患である掌蹠角化症の病型分類を,最近明らかになりつつあるそれぞれの病因分子を含めて簡潔にまとめた.
 肥満細胞症 古橋 卓也ほか
肥満細胞症の分類,検査,治療に関して概説した.分類では,Metcalfe・Haaseの分類改変,WHO分類を紹介.必要な検査や治療についても,概説した.
 魚鱗癬・魚鱗癬様紅皮症・魚鱗癬症候群 石河  晃
先天性魚鱗癬は紅斑を伴わない尋常性魚鱗癬,伴性遺伝性魚鱗癬と,紅斑を伴う水疱型および非水疱型魚鱗癬様紅皮症,さらに合併症を有する魚鱗癬症候群に大別される.正確な診断は予後の評価に重要である.
V.稀だが気をつけるべき皮膚疾患
 組織球症 今宿 晋作
組織球症にみられる皮疹は皮膚のみの疾患でなく,全身性疾患の一症状である.皮疹を生検すれば容易に的確な診断に至る.皮疹の存在を見落とさないこと,皮疹の生検を躊躇しないことが大切になる.
 光線過敏症 八木 宏明
小児期の光線過敏症は,稀な疾患であることが多いが,悪性腫瘍や全身症状を伴い予後不良なものが多いことから,日常診療においても見逃してはならない重要な疾患である.
Monthly Book Derma. No.163
遺伝子がかかわる皮膚疾患 入門
―責任遺伝子がはっきりした疾患―
 
初心者のための遺伝子疾患用語集 坂部 純一
遺伝子疾患を理解するためには,遺伝子の構造や遺伝子からタンパクが合成されるメカニズムなど(遺伝の基本)を理解する必要がある.
遺伝性角化症 山本 明美
遺伝性角化症には魚鱗癬や掌蹠角化症などが含まれるが,それぞれ多くの病型がある.原因遺伝子が知られているものはその病態を知ることにより疾患の理解を深めることができる.
アトピー性皮膚炎,尋常性魚鱗癬とフィラグリン遺伝子変異 秋山 真志
我々は欧州人以外で初めて,日本人尋常性魚鱗癬患者においてフィラグリン遺伝子変異6個を同定し,フィラグリン遺伝子変異が日本人アトピー性皮膚炎患者の25%以上で発症因子となっていることを明らかにした.
Darier病,Hailey-Hailey病と遺伝子変異 高木  敦ほか
Darier病とHailey-Hailey病はそれぞれATP2A2ATP2C1遺伝子が責任遺伝子であり,類縁疾患ととらえられている.両疾患は臨床的にも類似点を有し,病態の理解が重要である.
表皮水疱症の診断と治療 澤村 大輔
表皮水疱症の病態を理解し,その診断と治療の現状を知る.
遺伝子変異による毛と爪の疾患 中村 元信
遺伝子変異による毛と爪の疾患の臨床症状をよく理解し,炎症性疾患などとの鑑別をしっかりと行い,副作用の強い無効な治療をしないように留意することが重要である.
遺伝子変異による色素異常症 鈴木 民夫
メラニン合成障害が臨床的には多様な色素異常症をもたらす.原因遺伝子が明らかになっている疾患について,その遺伝子とともに病態について概説する.
自己炎症性疾患の症状と遺伝子変異 佐藤 貴史ほか
自己炎症性疾患は,自然免疫系の破綻により周期熱や特有の皮膚症状を呈する疾患群である.クライオピリン関連周期性症候群と若年発症サルコイドーシスについて分子メカニズムを含め,自験例を中心に紹介する.
母斑症と遺伝子変異 川内 康弘
1990年代に代表的な母斑症である神経線維腫症1,結節性硬化症の責任遺伝子が同定され,それぞれの遺伝子変異と発現形質(症状)や病態との関係が明らかになりつつある.
Ehlers-Danlos症候群と遺伝子変異 籏持  淳
Ehlers-Danlos症候群は皮膚の過伸展,関節の過可動,組織の脆弱性を特徴とする遺伝性結合組織疾患である.主な病型は6型に分類されるが,多くはコラーゲン自体あるいはその分子形成にかかわる酵素の遺伝子異常によって引き起こされる.
Monthly Book Derma. No.162
誤診予防マニュアル
 
誤診と言われないために 田邉  昇
単に診断と結果が違っていても,それは「誤診」ではなく法的責任はない.診断プロセスに誤りがないことが重要であり,そこを意識してカルテ記載をすることが重要である.
誤診をしないための病歴のとり方 井上 勝平
誤診をしない病歴のとり方は皮疹を的確に把握し,それを補完する適切な問診を行うことに尽きる.
In vivo検査の解釈 森田 栄伸
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの経口負荷試験は陽性となれば原因抗原の確定診断となるが,陰性の場合には必ずしも原因から除外はできない.
病理組織の解釈 清原 隆宏ほか
誤診しやすい病理組織像を示す疾患を正確に診断するための王道や近道はない.丁寧に真摯にHE所見を読み,誤診を犯さないために謙虚な姿勢で確定診断へのアプローチをすることが大切である.
皮膚真菌症診療のピットフォール 望月  隆
真菌検査は,正しい診断を通して患者の利益になるばかりでなく,皮膚科医の自己研鑽にも役立つため,励行したい.
抗核抗体検査(各論)の解釈 室  慶直
抗核抗体検査をオーダーし,その結果をどのように有効活用していけばよいか考察した.抗核抗体の結果のみで確定診断を行ったり,除外診断を行うことはあってはならない.
誤診しやすいダーモスコピー所見 宮嵜  敦
ダーモスコピーの誤診には所見をとり違える場合と複数の疾患に認められえる所見を知らずに診断を誤る場合がある.多くの所見を組み合わせて診断することが重要である.
下腿の紅斑・紫斑 永井 弥生ほか
結節性紅斑とその鑑別疾患,蜂窩織炎と鑑別を要する深部静脈血栓症やうっ滞性脂肪織炎,下腿に紫斑を生じる疾患の鑑別について概説した.
皮下結節 田村 敦志
皮下結節を診察する際には触診により病変の深さ,皮膚や下床との関係を把握し,表面の性状,硬さ,圧痛の有無などから鑑別する.
梅 毒 大里 和久
梅毒患者か梅毒治癒後の抗体保有者かの適正な鑑別が医原性梅毒を予防する.STS抗体と抗Tp抗体との相関によって病期の判別は可能であり治療の要否につながる.
単純疱疹と帯状疱疹の鑑別点は? 小野 文武ほか
臨床的に鑑別に苦慮する単純疱疹と帯状疱疹の診断に有用な手段を提示する.
ウイルス性発疹症か? 薬疹か? 塩原 哲夫
実際には,薬剤とウイルスの両者が発症に関与する病態のほうがはるかに多い. 我々は便宜上, 一方の関与が強い場合に薬疹あるいはウイルス性発疹症と診断してきたにすぎない.そのような両者の密接な関係を述べる一方で,現時点での両者の鑑別点についても触れた.
Monthly Book Derma. No.161
在宅皮膚診療マニュアル
 
皮膚科医による在宅医療―心のケアも含めて― 岡村理栄子
高齢者が増え,在宅療養者が増えた.皮膚科医は専門の知識を往診やケアの方法の講演会などにも求められている.心のケアも含め皮膚科医は優れた往診医となる可能性が大きく,それにこたえるべきである.
在宅での褥瘡の対処法―除圧を中心に― 袋  秀平
日本褥瘡学会の調査研究により,皮膚科医が在宅褥瘡診療に介入することの有用性が証明された.また,褥瘡の管理・治療において特に重要な除圧について述べる.
在宅における褥瘡の治療の実際 種田 明生
褥瘡治療はチーム医療であり,患者家族,看護師・ケアマネジャーとの連携が最も重要.
在宅褥瘡治療は家族が中心であり,処置の基本は“simple is best”.
在宅でのフットケア―下肢潰瘍の対処法― 鳥居 秀嗣
下肢潰瘍の原因は多彩であり,うっ滞性のものでは下肢挙上や弾性包帯の使用,虚血性のものでは内服治療が必要となる.局所療法は外用剤や被覆材による肉芽新生,上皮化促進である.
在宅での湿疹・皮膚炎群の治療 矢口  均
高齢者の湿疹・皮膚炎は,老化に伴う皮膚のバリア機能の低下が主な原因であるため,外用・内服療法以外に,入浴・洗身や保湿方法などの生活指導が重要である.
在宅での水疱症の対処法 小林誠一郎ほか
早期診断と各症例に合わせた治療方針を立てることが必要である.
在宅・施設での疥癬の対処法 山口  潤
高齢者の疥癬は非典型的であること,現在の高齢者の動きは複雑になっていることに注意する.集団発生では角化型疥癬をまず治療することが必要である.
在宅での真菌症の治療 丸山 隆児
在宅療養者には白癬と皮膚カンジダ症が高頻度にみられる.両者を的確に診断し個々の患者に最適な治療・予防策を示すことで患者のQOL向上に貢献することができる.